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シン映画日記『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

MOVIX三郷にてミッシェル・ヨー主演、ダニエルズ監督・脚本・製作最新作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を見てきた。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、中国系アメリカ人の日常の仕事の問題と家族の問題のヒューマンドラマを派手なパラレルワールドとシュールなSFで塗りたくった新感覚のSFラビリンス・ヒューマンドラマ。

コインランドリーを営む中国系アメリカ人のエブリンとウェイモンドのワン夫妻は確定申告をしにアメリカ合衆国内国歳入庁に訪れるが、税務問題に疎いエブリンは監察官・ディアドラの話に上の空で、意識が飛び、マルチバースの世界でウェイモンドと一緒にディアドラや駆け付けた警備員とバトルを繰り広げる。

要はエブリンがお店の確定申告と娘ジョイの多様的な恋愛問題といった理解不能な問題を抱えていて、これに対して意識が飛び、マルチバースの世界で駆け回ったり、バトルをしてしまう。
作中の3割ぐらいしかまともな意識の現在進行の話がなく、後はエブリンが意識を飛ばしたマルチバースと言っているパラレルワールドの世界を映像化している。
おそらく、マルチバースのようなSF描写がなければ『フェアウェル』や『ミナリ』、『ブルーバイユー』みたいな地味なアジア系アメリカ人のヒューマンドラマになっただろうけど、
そこに派手なマルチバースをぶち込んだのがミソなんだよね。

ストーリーは大まかにプロローグと3章のエピソードで構成され、
第一章の「なんにでも」の章ではマルチバースの世界に行くのに主に頭につけた機械を使うが、
第二章では機械等なしで、場合似よってはカットやコマごとに異世界に飛んだり、変化を見せる。

そのパラレルワールドというかマルチバースに行く感覚がかつてのスバイク・ジョーンズやミッシェル・ゴンドリーの映画みたいである。
って思ったら、監督・脚本・製作のダニエルズはスバイク・ジョーンズやミッシェル・ゴンドリーと同じくMV出身のクリエイターなんだね。納得。
エブリンやウェイモンドがコマ単位で様変わりする演出はマイケル・ジャクソンやエアロスミスのMVでも見られた手法だし、
背景がコロコロ変わるのも同じ手法とみた。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』はこれらの監督作品に『マトリックス』と『インセプション』をミックスしたアジア系のヒューマンドラマで、
こうした作品をデヴィッド・リンチの『インランド・エンパイア』並に捻ったのが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』である。


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