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映画・ドラマレビュー

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Webドラマ「サンクチュアリ -聖域-」の聖域

Webドラマ「サンクチュアリ -聖域-」の聖域

NetflixのWebドラマ「サンクチュアリ -聖域-」を観た。引き込まれて一気に観てしまった。

中心となるストーリーは角界(相撲界)に入った荒くれ者の主人公が、周りを引っ掻き回しながらも成長していく物語で、嫌われ者だった彼は、最終的には相撲部屋の仲間を巻き込みつつ活気づけて行く。

それと並行して、政治部から左遷されて、相撲を取材する事になった女性記者が描かれる。
最初、相撲の古い慣習に呆れか

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1993年のアメリカ映画

1993年のアメリカ映画

"Untamed Heart"(1993年)[邦題: 忘れられない人]

この映画が出た頃、僕はアメリカ東部の短大の寮にいた。
レンタルビデオの自販機があって、その頃の映画は大体揃っていた。安かったので、友人におすすめを訊いて、いろいろと観た。

"Boyz n the hood"(1991年)
"Singles"(1992年)
"The man without a face"(1993年)
"B

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ドイツ映画 In den Gangen

ドイツ映画 In den Gangen

2019年5月9日に、妻と映画を観に行きました。JACK & BETTYという小さな映画館。
昔、中国映画祭を観に通ったところで、妻と来たのは2度目です。

邦題「希望の灯り」原題"In den Gangen"というドイツの映画を観ました。とても良かった。

巨大なスーパーマーケットでフォークリフトでの品物の出し入れや、棚の整理をする仕事をしている人々の日常を淡々と描いています。単調な日常の中にも

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父と「田園に死す」

父と「田園に死す」

田園に死す/ 寺山修司を久方ぶりに観た。強烈な映画だ。しかしほとんど内容を忘れていた。15年以上は前のこととはいえ、2度も観たのに、どうかしている。

僕がぼやっとしているということもあるが、忘れたのには1つ理由がある。
2度目に観た時、それは休日の朝、自宅でだったのだけれど、父親が眠そうに出てきて、僕が観ている映像を見るなり「あぁぁ」と呻いた。そしてこう言った。「これはあの風景だ。子供の頃、かわ

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映画 Gran Torino の仕掛け

映画 Gran Torino の仕掛け

昨年の10月にClint Eastwood監督・主演の「Gran Torino」を観た。
名作と言われる作品であるが、長らく観る気がしなかった。アジア人に差別的感情を持つアメリカの年配の白人男性と彼の車を盗みに入ったベトナム人の少年とが、時間をかけて友情を育むというシナリオが、しっくりこなかったからだ。

若い頃、僕は年配のアメリカの人種差別主義者(そう確信している)に、逃げ場の

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映画 Die Hard の社会性

映画 Die Hard の社会性

若かりし頃にはやった1988年のブルース・ウィルス主演のアクション映画「Die Hard」を3回連続で観てしまった。英語で観て、日本語で観て、また英語で観た。細かい所を1つ1つ確認し、メモを取りながら。

むかし観たときも、ただのアクション映画ではないと感じてはいたけれど、何ともこれは、社会派というレッテルが貼られてもおかしくない映画だと思います。そのような画一的見方をされるのが嫌で、アクション映

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多彩な小津安二郎の世界

多彩な小津安二郎の世界

2017の事になるけれど、妻と「小津安二郎の映画を観たことないね」という話になり、まず有名な「東京物語」を観たらことのほか良く、そのあと連続していくつか小津映画を観ました。観た作品は「東京物語」「麦秋」「晩春」「早春」「お早よう」です。

「お早よう」以外はどれも名作だろうと思います。内容も視点も実に多彩です。それでいて共通した雰囲気も確かにある。時代背景が近いのと、映像の撮り方が独特なのだろうと

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