耳鼻科医の情報発信

診察室では口で説明することが多いです。説明を補足するために図や映像をまとめました。手術…

耳鼻科医の情報発信

診察室では口で説明することが多いです。説明を補足するために図や映像をまとめました。手術動画や写真については,「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」に従って,説明と同意,情報の機密,匿名化など適切な対応をしています。

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  • 手術動画のまとめ

    扁桃腺、鼻、頭頸部、耳など手術のニュアンスが伝わるよう、短い動画をYoutubeにまとめています。自分の手術前に鑑賞すると、イメージが湧くと思います。https://www.youtube.com/channel/UCyIagZJ0pY6ETqLMn31auQw

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    顔面神経麻痺のリハビリ

    顔面神経麻痺の時に自分でリハビリします。顔のマッサージです。医者がやり方を説明しますので、毎日リハビリしましょう。
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    睡眠の悩み

    日本人はどうしてよく眠れないのか。どうしたら良いのか。検査について説明します。
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    睡眠検査と結果の解釈

    睡眠検査の流れを説明します。CPAPを導入するために必要な検査結果です。簡易検査で重症の無呼吸があれば、一発でCPAPの保険適応です。しかし、中等度の時は、追加の詳しい検査で基準をパスして、ようやく保険適応になります。
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「1ヶ月で12万円、3割の自己負担として月に3万6000円、年間だと40万円も支払う治療を誰がするんだ? 手術した方が安いじゃないか。」こんなに流行るとは思いませんでした。

理由は、お金の抜け道があり、私の患者さんは、年間に12万円にまで減額され

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昔、昭和の頃は、針やメスは貴重でした。ブラックジャックもメスを研いで何度も使っていました。しかし、いくら綺麗に洗浄して殺菌したとしても、他人の血液はどこかに付着してます。使い回してはいけません。昭和の予防接種は、小学生を一列に並ばせて、順番に同じ針で刺しました。よって多くの日本人がB型肝炎に感染し、集団訴訟になりました。

群馬大学では10年前から、高崎医療センターは耳鼻科を始めた5年前から、鼓膜

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痛みと熱に苦しんだワクチンの効果も、限定的です。感染した時に、重症化はしないでしょうが、感染はしそうです。麻疹のように終生免疫(1度打ったら生涯安心)にはならず、インフルエンザのように毎年打たなくてはなり

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去年から新薬が出ました。「0.1%アレジオンLX」これが最強です。私は去年から、これ1本で満足しています。薬価は高くて1mlあたり500円もします。

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昨年から、製薬会社の供給を上回る発注があって、スギの錠剤が不足しています。今年も鳥居薬品から通達があって、舌下錠を販売しないそうです。今、東南アジアに急ピッチで工場を作っていて、2025年から竣工予定です。原料は、花粉です。日本ではスギの花粉の採取が間に合わないので、海外でスギを植えて、花粉を集めているようです。

東南アジアで、スギ花粉症が始まらないでしょうか? 心配です。

販売しないと書きま

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麻痺の多くは「特発性顔面神経麻痺」、ストレスのせいで顔が曲がります。報告した人の名前から「ベル麻痺」と呼ばれています。「特発性」は医学用語で、原因が分からないという意味です。子供からお年寄りまで、男女を問わず発症しますが、正しく治療すれば、良く治ります。単純ヘルペスウイルスが原因と言われています。ストレスで免疫力が

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とある地域の老人ばかりが入院する病院で、月に何度か嚥下回診をしています。あまりに誤嚥肺炎で入退院を繰り返す老人が多く、1人しかいないST(言語療法士)さん、看護師さん、栄養士さん、歯科衛生士さんと協力して、なんとかしようと格闘しています。

口腔ケア:お口の中を綺麗にして、バイ菌を飲み込まないようにする。
食事調整:その人が食べやすい形態に、病院食を工夫する。
嚥下リハビリ:筋力つけて、飲み込む力

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自分の意思に合わせて、下肢の動きをアシストする装着型サイボーグです。Hybrid Assist Limbの頭文字をとってHALと言い、国も多額の研究費をだしました。脳梗塞や下肢切断だけでなく、ALSをはじめ、神経難病にも保険適応があります。個人で使えるのか、調べてみました。

日本神経治療学会が発表している、適正使用ガイドです。医療保険が通ると、発表されるものです。

https://www.js

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昨日また、瞬きでしか意思表示できない、寝たきりの人の気管切開でした。神経変性症で、意識はクリア、頭脳も明晰、でも手足は動かせず、声も出ず、食事も鼻から流動食です。肺炎を繰り返して、年末、医療の手薄な時期に、かかりつけ医(退官した某大学神経内科の元教授)がお休みしたいからと、当院の内科に搬送されました。

しゃべれたうちに、終末期をどうするか話合いがあり、本人とご家族でDNAR (Do Not At

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やっと観たALS映画。10年前の映画で、博士が亡くなる数年前に封切りでした。オスカーの主演男優賞を取っていたのですが、つい見逃していました。主演のエディ・レッドメインは、今やファンタスティック・ビーストの主役で有名です。妻役は、ローグワン・Star Warsのヒロインです。お二人とも、さすがイギリスの名俳優で、ホーキング博士そっくり、素晴らしい演技でした。

ALSのホーキング博士、闘病の経緯、2

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耳鼻科医ですが、在宅療養を続けるALS筋萎縮性側索硬化症の患者さんに、長く関わりました。その経緯、在宅での生活を記録します。

下咽頭癌だと思ったらALSだった

10年も前で、主治医と指導医は大学病院を辞めているので、もう時効です。飲み込みが悪い、誤嚥する症状で受診、下咽頭の生検で癌がでました。進行している予想で、手術することになり、喉頭も取りました。取ってみたら「早期癌」でした。放射線治療でも

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大学時代の友人が50歳代で発症しました。叔母も同じ病気で50歳代でお亡くなりのようで、遺伝性が疑われています。神

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