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針やメスの再利用は禁止

昔、昭和の頃は、針やメスは貴重でした。ブラックジャックもメスを研いで何度も使っていました。しかし、いくら綺麗に洗浄して殺菌したとしても、他人の血液はどこかに付着してます。使い回してはいけません。昭和の予防接種は、小学生を一列に並ばせて、順番に同じ針で刺しました。よって多くの日本人がB型肝炎に感染し、集団訴訟になりました。

ネット記事から転載、おそらく手塚プロの許可なし、私も承諾なく転載

群馬大学では10年前から、高崎医療センターは耳鼻科を始めた5年前から、鼓膜切開刀は使い捨て(ディスポ製品)を使っています(上写真フェザー製)。切れ味抜群で(あまり)痛くありません。

しかし、いまだに使い回しの鼓膜メスを使っている病院もあります。
ある患者さんが言いました。
「この病院で鼓膜切開するとあまり痛くない。前の病院の切開はものすごく痛いのと、先生が何度もなめし切りするので、嫌になりました。」

おそらく、使い回しでメスの先が「なまって」いるのと、よく切れないから、何度も何度も鼓膜を切る動作を繰り返したのでしょう。以下のメスは、耳鼻科でよく使われる、使い回しの鼓膜切開刀です。

メスの先が三角になっているのが特徴です。

先曲がり、先が三角のメスが出てきたら要注意

昔、私もこのメスをよく使っていました。購入してから10年も研いでいないので、鼓膜がなかなか切れません。ゴシゴシ上下にしごく感じで切りました。痛かっただろうなあ。研ぎに出すとお金がかかるので、切れなくなるまで10年使います。

消毒は、看護師さんが水でサーっと流して、オートクレーブ滅菌です。他の道具と一緒にガチャガチャ洗います。メスの先端が、余計に削れてしまいます。

今使っている、フェザーの替え刃は「すっ」とメスが入る感覚で、切れやすさが全然違います。痛みが軽いと思います。三角のメスが出てきたら、使い回しなので、自分が患者なら逃げ出します。ディスポのメスを使っている他の病院で、鼓膜を切ってもらいます。

何より、血が付着するメスを使い回しが嫌です。

同じように、上顎洞に針を刺す「シュミット」という処置がありました。以前、昔の治療で、今はやりませんと書きましたが、まだ、やっている病院がありました。

今月、受診した患者さん、シュミットを何度もされて痛いので、相談に来ました。病気は「副鼻腔真菌症」で、鼻の中にカビが生えています。シュミットでは治りません。手術が必要です。痛みに耐えて太い針を、何度も刺されるより、1度の全身麻酔手術で治した方が、私は良いと思います。

そして、その太い針は、誰か他の人の鼻に刺して、膿を抜いたり、洗ったりしたものです。何度も使い回しているので、針の先端はなまって痛いでしょう。汚いでしょう。よく洗ってくれているとは思いますが、他人の膿が通った管が、自分の鼻の骨を突き破ります。患者さんにはするけど、自分ではされたくない治療です。私は、されたくない治療を、患者さんにはしません。

骨を突き破るんです。痛いですよお。


千枚通しくらいの太さです。


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