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鼻に太い針刺されて洗う治療、針は再利用されている。先生に忠告して、やめてもらうべきです。

2017年3月の日本醫亊新報に関西医大の朝子幹也教授が書いていました。「抗菌薬の普及が不十分だった時代,外科的手技が重要な治療方法であった。シュミットはかつて耳鼻咽喉科で広く行われていた処置であるが,近年ではあまり行われなくなってきている。

昔はバイト先で毎週「シュミット洗浄して。あれ気持ちいい。」というマゾ気質のお婆ちゃん患者がいました。今は,激しい頭痛の急性副鼻腔炎でも,長期作用の抗生剤点滴とクラビットの内服7日に,鎮痛剤を多めに処方すると乗り切れます。頬や頭が痛い時に,さらに痛いシュミットすると患者に嫌われます。

しかし,病院には「シュミットを10回繰り返しましたが,レントゲンで上顎陰影が消えませんので手術お願いします」と紹介がきます。「何度も治そうと頑張ったのですねえ」と感服しましたが,手術してみると真菌でした。病院であれば, CTの石灰化で疑って,MRIで診断です。「真菌だから手術しないと治らなかったよ」と患者に説明すると,「シュミットの痛い思いはなんだったんでしょう。痛いのは慣れるけど,何度やっても刺す前が怖くて。もうあの耳鼻科にはゆきません。」と言われました。

シュミットを外す理由がもう一つあります。2017年の春と夏に兵庫医大と大阪市立医大で,耳の手術のドリル先端を洗って使い回したとニュースになりました。よく洗っても穴の中に他人の組織が入りこんでいて,除去できないのが理由です。「もったいないから削れなくなるまで再利用しろ」と教えられたのは,昔の話です。今やドリル先端1本4000円を使い捨てです。ドリルでもそうなのに,シュミット針を使い回ししますか?

高価な針なので洗浄して熱滅菌して再利用しています。今や病院では針を再滅菌に出せなくなりました。同じ理由で,鼓膜切開刀もフェザーの使い捨て刀にしています。よく切れるから痛みが軽いし,穿孔残さずに閉鎖します。ドリルや針の再利用が禁止の時代になりましたので,シュミット針も許されません。私はシュミット針の使用をやめました。

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