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舌下免疫療法が流行る理由

昨年から、製薬会社の供給を上回る発注があって、スギの錠剤が不足しています。今年も鳥居薬品から通達があって、舌下錠を販売しないそうです。今、東南アジアに急ピッチで工場を作っていて、2025年から竣工予定です。原料は、花粉です。日本ではスギの花粉の採取が間に合わないので、海外でスギを植えて、花粉を集めているようです。

東南アジアで、スギ花粉症が始まらないでしょうか? 心配です。

販売しないと書きましたが、販売しています。販売しているのは8日目以降の5000単位の錠剤です。今まで初めてしまった人に対しては、続けるために処方できます。販売しないのは、2000単位の、初め7日に投与する錠剤です。

すなわち、本当は花粉はいっぱい持っているけど、供給を上回る発注があったから、これ以上、受注が増えないよう、新規の患者さんを制限しているのです。ではどうして、供給を上回る発注があったのでしょうか。医者なら皆、知っていることですが、どこにもネット情報がありません。チコちゃんに怒られるので、こっそり教えます。

舌下免疫が儲かるから、今まで花粉症に見向きもしなかったクリニックも処方を始めたから。

2年前の診療報酬改定で、「アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料」が取れるようになったからです。初回は2800円、2回目以降は毎月250円が、再診料と処方箋料に上乗せされます。

しかも、毎月処方するので、きちっと毎月、受診してくれて、再診料730円、外来管理加算520円、処方箋料680円、しめて1930円を、患者さんは毎月支払ってくれます。この他に、院外薬局に、スギ花粉錠剤の代金を支払います。3割の健康保険で、毎月2000円弱払って花粉症が良くなるなら、安いものですが、クリニックと院外薬局は大儲けできるのです。

加算ができて、小児科、内科、いろいろなクリニックが始めました。ちょっと頭にきたのは、家の近くに新規開業した脳外科の先生が、「脳外科、内科、アレルギー科」と標榜して、「花粉症の治療をしています」と宣伝していることです。大学にいる頃は、花粉症なんて診察していなかったのに。でも、それだけ、耳鼻科の特別な技術がなくても、花粉症の診断と治療はできるということですね。鼻を見ないで、採血だけして診断して、処方してします。耳鼻科の出る幕がなくて残念です。

耳鼻科で、専門的な花粉症の治療をしたい人も、舌下免疫治療ができないなんて、なんか理不尽です。金儲けじゃないでしょう。

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