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アートのお部屋

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#銀座

時を超える応挙の幻想

時を超える応挙の幻想

その日、銀座を歩いていたウサギとカメは、赤い建物の前で足を止めた。「ここは日本最古の画廊と言われている資生堂ギャラリーだね」カメがそう言うと、二人は手を取り、入口へ向かって歩き出した。

地下へと続く細い階段は、どこか秘密めいた雰囲気を漂わせており、二人は引き寄せられるように足を踏み入れた。

薄暗いギャラリーに足を踏み入れると、ひんやりとした空気が二人の肌に触れた。目の前に広がっていたのは、どこ

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地球に舞い降りた宇宙猫

地球に舞い降りた宇宙猫

その日、ウサギとカメは銀座で見た「宇宙猫」に導かれ、岡本太郎記念館へ向かっていた。洗練された表参道の街並みを後にし、館内に足を踏み入れると、瞬く間に異世界への旅が始まった。

展示室に入ると、「BIG CAT BANG 宇宙猫の大冒険」と題された映像が目に飛び込み、二人は思わず立ち止まった。ウサギはその映像に目を奪われ、カメもゆっくりとその世界に引き込まれていった。

「始まりは爆発だ。爆発のあと

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アニメの主人公気分で

アニメの主人公気分で

同じような毎日が続くある日、ウサギとカメは目的もなく、銀座のショッピングストリートを歩いていた。そんなふたりが、ふと足を止めたのは銀座三越だった。

エスカレーターを上がると、目の前に広がったのは「トムとジェリー」の世界。アニメの中から飛び出してきたキャラクターたちが、楽しげに二人を迎え入れてくれた。

「ねえ、トムとジェリーって、本当は仲がいいのかな?  それとも、やっぱり敵同士なのかしら…?」

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夢は森のパン屋さん

夢は森のパン屋さん

図書館の予約棚に並んだ本の背表紙を、ウサギはさっきからじっと見つめていた。
「今、こういう本が読まれているのね」

ウサギの視線がふと止まった。その先には一冊の絵本があった。「『パンどろぼう』……なんだか、気になるわね」と、彼女は呟いた。どこか懐かしくて、不思議な温かさが、そのタイトルに漂っていた。

その時、偶然カメがそばを通りかかった。
「その絵本、面白いよ。これからその世界に行ってみようよ」

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光の世界の金魚たち

光の世界の金魚たち

図書館の静けさの中、カメが書架の間を彷徨っていると、入り口の方から、突然、荒い息づかいが聞こえてきた。カメがそちらに目をやると、ウサギが膝に手を当て、肩で息をしているのが見えた。

「毎日こんなに暑いのに、無理しないでね」と、カメは心配そうに声をかけた。ウサギは息を整えながら、少し微笑んだ。
「走るのは大好き。でも、走り終わった後って…やっぱりきついわ」

「頑張ってる君と一緒に行きたい場所がある

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ギャラリーの二人展

ギャラリーの二人展

急用ができたカメと一旦別れたウサギは、待ち合わせまでの時間を持て余して東急プラザ銀座を一人で歩いていた。あてもなく歩き続けていると、ふとアートギャラリーの前で足を止めた。

ギャラリーには、二人の画家による絵画が飾られていた。それぞれの世界観で丁寧に描かれた作品をひとつひとつ眺めていると、画家のプロフィールが目に留まった。

「uraraさんは、画家になる夢を抱きながらも、一度は大学で法律を学ぶこ

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宙を飛ぶ大きな猫

宙を飛ぶ大きな猫

その日、ウサギとカメはGINZA SIXの広々とした吹き抜けの下で足を止めた。二人の目は、天井から吊り下げられた大きなオブジェに釘付けになっていた。ウサギはカメの袖をそっと引いて、小さな声で囁いた。

「ねえ、見て、あれ…。私の目には岡本太郎の太陽の塔に見えるんだけど?」

カメは目を細め、その大きなオブジェをじっと見つめた。しばらくの間、二人の間に静かな時間が流れた。

やがて、彼は穏やかに口を

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