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地球に舞い降りた宇宙猫

その日、ウサギとカメは銀座で見た「宇宙猫」に導かれ、岡本太郎記念館へ向かっていた。洗練された表参道の街並みを後にし、館内に足を踏み入れると、瞬く間に異世界への旅が始まった。

ヤノベケンジ「太郎と猫と太陽と」
宇宙猫

展示室に入ると、「BIG CAT BANG 宇宙猫の大冒険」と題された映像が目に飛び込み、二人は思わず立ち止まった。ウサギはその映像に目を奪われ、カメもゆっくりとその世界に引き込まれていった。

「始まりは爆発だ。爆発のあと、無数の宇宙船『LUCA号』が宇宙のかなたへと散っていく。その宇宙船に乗っているのは、たくさんの『宇宙猫』たち」

「やがて、LUCA号のひとつが地球を見つけた。『どうやらこの星には、まだ生き物がいないようだにゃ。さあ、みんなで命の種をまこう!』」

映像のナレーションが、宇宙猫と地球の出会いを、二人に優しく語りかけてくる。

「宇宙猫の大冒険」

「銀座の空を飛んでいたあの猫たち、あれって地球に命を運ぶために、遠い宇宙から来たんだね」ウサギはぽつりとつぶやいた。

「まさか、大阪の『太陽の塔』がそのときの宇宙船だったなんて、びっくりだね」カメは少し驚いた表情で返した。

GINZA SIX に浮かぶ「LUCA号」

「岡本太郎って、『芸術は爆発だ』って言ってたんだよね。それに、命に焦点を当てた作品もたくさん残してる。たとえば『生命の樹』みたいな…」ウサギは天井を見上げながら、ぼんやりとつぶやいた。

「ヤノベケンジは、岡本太郎のエネルギーをさらに広げて、太陽の塔の前日譚を、まるで壮大な神話みたいに作り上げたんだね」カメは静かに言葉をつなげた。

「生命の樹」と「宇宙猫」

「それにしても、太陽の塔にネコ耳を付けると、こんなにかわいい宇宙船になるのね。こんな宇宙船なら、私も乗ってみたいわ。」ウサギは、いつの間にか宇宙の果てまで楽しい空想を広げていた。

ネコ耳が可愛いの  by ウサギ

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