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読書日記

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自分が読んだ本の感想記録をまとめました
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【読書日記】想像ラジオ / いとうせいこう

【読書日記】想像ラジオ / いとうせいこう

2023年8月11日 読了。

東日本大震災をテーマにした小説で、いとうせいこうとしても久しぶりに筆をとったフィクション小説だったとか。

以前参加した読書会のあとに参加者と色々と本の話をしていて話題に上がった本だったので、気になって読んでみたのだけれど、「いとうせいこうってただのおもしろサブカルおじさんじゃないんだな」と改めて思い知らされるほど良い本だった。

あらすじは、津波にさらわれて杉の木

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【読書日記】薬指の標本 / 小川洋子

【読書日記】薬指の標本 / 小川洋子

2023年1月16日 読了

小川洋子作品の中では『博士の愛した数式』と並んで代表作のイメージがあるが、小川洋子ファンを自称しながらなぜか今まで読んでこなかった一冊。

読むきっかけになったのは、以前から気になっていた「おひとりさま専用の喫茶店」に行ったこと。
10席ほどの喫茶店で、一つ一つの席に特徴があり置いてある本の種類も席によって異なる、とても素敵な場所だった。

自分がなんとなく腰を掛けた

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【読書日記】国境の南、太陽の西 / 村上春樹

【読書日記】国境の南、太陽の西 / 村上春樹

2023年3月4日 読了

小説なり、映画なり、音楽なり、「この作品は自分のために作られた作品だ」と錯覚してしまうことほど気持ちの良い体験というのはなかなか無いと思う。ましてやそんな、中高生のときに体験するような錯覚を、まさか今になってさせてもらえるとは思いもしなかった。

村上春樹の長編(中編)の中では珍しく、精神世界や非現実的な現象が出てこない、リアル設定の恋愛小説(短編以外でファンタジー要素

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【読書日記】侍女の物語 / マーガレット・アトウッド

【読書日記】侍女の物語 / マーガレット・アトウッド

2023年1月14日読了

2023年が始まって最初に読んだ小説。ディストピア小説として有名な作品で、1985年発表だが2017年にHuluでドラマ化されていたことを後から知った。Twitterでディストピア小説のおすすめ!というツイートを見かけてこの作品を知り、前から気になっていたが、想像以上に凄い内容で、新年一発目から大当たりだった。

放射能汚染などによる問題で女性の不妊率や奇形児の誕生率が

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【読書日記】向日葵の咲かない夏 / 道尾秀介

【読書日記】向日葵の咲かない夏 / 道尾秀介

2022年12月17日 読了

※本と一緒に撮った写真が無かったので全く関係ない画像ですみません。

この本を読むのは2回目で、どんでん返しミステリーが好きな友達に薦めたら久々に読みたくなったので6年ぶりに再読。

小学校のクラスメイトでいじめられっ子のS君の首吊り死体を発見してしまった主人公のもとに、S君の生まれ変わりだと名乗る蜘蛛が現れ、「僕は自殺じゃなくて殺されたんだ」と主人公に告げる、とい

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【読書日記】同志少女よ、敵を撃て / 逢坂 冬馬

【読書日記】同志少女よ、敵を撃て / 逢坂 冬馬

2022年12月12日 読了。

アガサ・クリスティ賞史上初のの選考委員全員が最高得点をつけた作品ということで、本屋でもやたら平積みされていた話題の小説。
自分はあまり話題作に注目することが少ないのだけど、この作品が気になった理由は、Amazonのオーディブルで朗読を担当しているのが声優の青木瑠璃子さんであったからだ。何を隠そう青木瑠璃子さんは私の推しなのだ(声優としてというより、youtubeの

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【読書日記】オーデュボンの祈り / 伊坂幸太郎

【読書日記】オーデュボンの祈り / 伊坂幸太郎

2022年11月14日読了。

伊坂幸太郎デビュー作。伊坂作品をほとんど読んだことがない自分に友人が「好きそう」と薦めてくれたので読んでみた。伊坂作品は『死神の精度』だけ読んだことがあるがそこまで印象に残らなかったし、『ゴールデンスランバー』は映画だけ見たことがあるが正直かなり微妙だったので、伊坂幸太郎に対してあまり良い印象を持っていなかった。

しかし、この『オーデュボンの祈り』はとても面白かっ

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【読書日記】変愛小説集 日本作家編

【読書日記】変愛小説集 日本作家編

2022年10月17日読了。

「変な恋愛小説」というテーマで編集されたオムニバス短編集。本当は海外作家のものがまとめられたやつを読みたかったのだけど、図書館で間違って日本作家編を予約してしまい、せっかくなので読んだ。

「変な恋愛小説」というテーマではあるものの、あくまで参加している作家にはそれを伝えず、ただ「恋愛」をテーマに書き下ろしてほしいと伝えたとか。この作家なら絶対変な一編が上がってくる

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【読書日記】ブランコのむこうで / 星新一

【読書日記】ブランコのむこうで / 星新一

2022年9月3日 読了

ブックオフの100円コーナーに見慣れない星新一の本があったので買ってみたら、星新一にしてはめずらしい長編で、しかもSFではなかった。

児童文学のような雰囲気の作品で、少年が夢の中の自分と入れ替わってしまい、いろんな人が見ている夢の世界を彷徨ってしまうという話。

夢の中でまぶたを閉じると現実の世界を覗けるのだが、夢を見ている主たちは、現実世界では病気だったり、子供を事

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【読書日記】ぼくには数字が風景に見える / ダニエル・タメット

【読書日記】ぼくには数字が風景に見える / ダニエル・タメット

2022年9月2日読了。

小説しか読まない自分にとって珍しくエッセイ。自分が好きな作家である小川洋子が絶賛していると帯に書いてあるのを見て、気になって手に取ったが、ドキュメンタリー小説のような感覚で読めた。

著者のダニエル・タメットはサヴァン症候群という自閉症やアスペルガーの障害を持っていて、数字や言語が形を持って浮かんでくるという共感覚の持ち主。この本では彼が生まれてからの生い立ちが時系列順

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【読書日記】未来からのホットライン / ジェイムズ・P・ホーガン

【読書日記】未来からのホットライン / ジェイムズ・P・ホーガン

2022年8月20日 読了。

この小説の原題「Trice upon a time」が映画『シン・ヱヴァンゲリヲン』のサブタイトルになっているというので気になって読み始めたが、読んでみてびっくり、内容が露骨に『シュタインズゲート』で、あとから知ったがシュタインズゲートの元ネタとなった作品らしい。
シュタゲの元ネタといえば『バタフライエフェクト』の印象が強かったが、実はこっちの方が直接的な元ネタだっ

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【読書日記】カエアンの聖衣 / バリントン・J・ベイリー

【読書日記】カエアンの聖衣 / バリントン・J・ベイリー

2022年7月14日読了。

スーツの繊維が知性を持ち人間を支配するという、アニメ『キルラキル』の元ネタになったSF小説。あとがき解説も中島かずきが書いている。
キルラキルの元ネタと書いたけど、中島かずき自身が「この作品がなかったらグレンラガンもキルラキルも生まれなかった」と言っているくらい、キルラキルに限らずそもそもの中島かずきの創作観に影響を与えているとのこと。

実際読んでみるとめちゃくちゃ

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【読書日記】幼年期の終わり / アーサー・C・クラーク

【読書日記】幼年期の終わり / アーサー・C・クラーク

2022年6月15日読了。

SFの古典的名作と名高い作品だけど初めて読んだ。まず、想像以上に読みやすいことに驚いた!
クラークの作品というと「2001年宇宙の旅」の印象があって、これは2回見て2回とも寝落ちして、しばらくしてからちゃんと見たけどやっぱりちんぷんかんぷんだったので、難解な話なのだろうと思っていた。

しかし「幼年期の終わり」はいざ読んでみると展開もわかりやすいし続きも気になって面白

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【読書日記】観光 / ラッタウット・ラープチャルーンサップ

【読書日記】観光 / ラッタウット・ラープチャルーンサップ

2022年5月29日読了。

タイ系アメリカ人作家の短編集で、この作品はTaknal(おすすめ本のすれ違いアプリ)で知った。「こんな素晴らしい文章を読んだことがない」と紹介されていて、Amazonレビューも絶賛の嵐だったので、ほーん、と思って読んでみたら、その期待を遥かに超えてきた。

間違いなく今まで読んだ短編集のなかでズバ抜けていた。収録されていた7編すべてが素晴らしい(短編集で全編素晴らしい

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