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ショスタコーヴィチの交響曲第5番第4楽章の「本当」のテンポ(2)
前回は、ショスタコーヴィチの交響曲第5番第4楽章コーダのテンポ以外の、楽譜上の問題点を整理し、そもそもメトロノームによる速度表記とはどういうものなのかを、ベートーヴェンのアプローチによって確認し、ショスタコーヴィチの交響曲第5番第4楽章コーダのテンポ問題の特異性を示した。
今回は、いよいよ、その問題そのものに迫っていこう。
■楽譜が出版される前の録音から推測する
これまで出版された、ショスタ
子供用発表会曲の定番?~ショスタコーヴィチのピアノ曲《アクロバット》の謎
X/Twitterで「ショスタコーヴィチのピアノ曲《アクロバット》の元ネタが分からない」というポストを見かけた。
「ショスタコーヴィチにこんな曲名のピアノ曲はないはずだが」と思ってユーチューブで"shostakovich acrobat"と検索すると、小学校低学年から高学年まで、子供が発表会やコンクールでピアノを演奏する動画がいくつも出てくる。
どうやら、これは日本独特らしく、英語で検索しているの
実は誤植だらけのショスタコーヴィチ:交響曲第9番~そして初稿版と改訂版
■交響曲9番~改訂版について
程度の差はあるが、一度公表した作品を頻繁に改訂する作曲家として、マーラーやブルックナー、そしてシベリウスが有名だ(ストラヴィンスキーの場合は、彼らとはちょっと事情が違う)。
ショスタコーヴィチの場合、本人によるブルックナーの改訂癖に対する批判めいた文章の存在や、交響曲第13番やオラトリオ《森の歌》において、歌詞は替わっても音楽には一切の変更を施さなかったことなどか
ぶらす! ~彼女たちの奏でるビューティフルハーモニー~第5話
【練習番号D-2】陰謀②
生徒会長が生徒会室に戻ると、新聞部の部長が作業をしている姿が目に止まった。
「なんや、もう来とったんどすか」
「ああ、生徒会長。やっと戻ったのね。このまま放置されたらどうしようかと思ったわよ」
「そないな事するわけあらへんやろう。そやけど、石神井恵美はあと30分は来やしまへん。それまであんたに根っこが生えなええんどすけど」
「ははは。ここは居心地が良いからねえ。
ぶらす! ~彼女たちの奏でるビューティフルハーモニー~第4話
【練習番号D-1】陰謀②
入学式。
学校行事の中でそれは「儀式的行事」に分類され、「学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機付けとなるような活動」と定義されている。
とはいえ、本来その主体である新入生にとっては、正直どうでもいい儀式である。
何度もリハーサルを重ねてやっと行われる卒業式とは違い、入学式はただそこに座っていれば良いのだから、楽ち
ぶらす!~彼女たちの奏でるビューティフルハーモニー~第3話
【練習番号C】嵐の前のひと悶着
高校の入学式の日、高城沙織は石神井恵美、西条茉莉奈と知り合った。
その2人は、沙織と同じように、吹奏楽部に入部する予定だった。
しかし、帰宅した沙織は、石神井恵美から難題を吹きかけられてしまった。
果たして“万年NPC”を自認している沙織に、その問題を解決することが出来るのだろうか?
――翌朝
学校に着くと、石神井さんが既に待っていた。
私より遠くから
ぶらす!~彼女たちの奏でるビューティフルハーモニー~第2話
【練習番号B】始めての、共同作業。
――入学式の翌日。
今朝も昨日と同じでよく晴れ渡っている。
だけど春のこの時期、天候は不安定ですぐに崩れることも多いから、朝の天候だけで一日の天気を決め込むのは危険だ。実際、昨日は日が沈んでから少し天候が崩れた。
私、結構、晴れ女のつもりだったんだけどな。
小・中学生のときの遠足や体育祭などの学校行事のイベントで雨に降られた記憶はないし、高二のときの吹
ぶらす!~彼女たちの奏でるビューティフルハーモニー~第1話
プロを目指していた母親の影響で、小学3年生からトランペットを始めた高城沙織。中学の吹奏楽部では、コンクールで良い成績を収めることに固執していたが、ある出会いから、「音楽の本当の素晴らしさとは何か?」を自問するようになる。その「気づき」を与えてくれた少女、西条茉莉奈の後を追い、吹奏楽部としては中堅の女子校へ進学した沙織を待っていた、波乱の吹奏楽部生活とは?
同級生や上級生、他校生徒との、様々な出会
『ぼっち・ざ・ろっく!』細かすぎる全話演出解説を通して学ぶアニメ演出④-2
第5話「飛べない魚」その2第5話前回の記事はこちら。
今回も長くなりそうですので、四の五の言わずにスタートしましょう。
【クレショフ効果による心理描写】
ひとりの回想+モンタージュ・シークエンスが終わると、ひとりの様子がおかしいことに気付き、適当な理由を付けて合わせ練習を早々に切り上げる虹夏。
切り返しショット(カット・バックも同じ意)でひとりと虹夏の様子がそれぞれ描写されるが、ひとりをピ
なんでこんなCDを最初に買ったんだ?~CD初期の高校生の聴き方
初めてCDを聴いた衝撃
私が初めて買ったCDは、他の記事でも書いているが、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルによる演奏でショスタコーヴィチの交響曲第10番だ。
中身のCD自体は輸入盤で、それに日本側でパッケージングをした、今のメジャー・レーベルでは考えられないなんちゃって日本盤だ。プラザ合意後数年の時期だったので、輸入盤で買えば2,100円(おまけに当時は消費税なし)くらいで買え
連載:私を「クラシック沼」に落した穴(傑)作~その8(番外編)ショスタコーヴィチ偏愛の遍歴
さて、前回は、いきなり1990年夏に飛び、イギリス音楽沼に足を踏み入れたところまでをお話したが、今回はその前、ショスタコーヴィチにどのようにハマって行ったかを少し語るところから始めたい。
手元の資料を見ると、1988年5月に初めて新世界レコードに行ったが、2度めに行ったのはその一ヶ月後の6月26日(日曜)とある。
ショスタコ・ファン三種の神器
ショスタコーヴィチについては、その一ヶ月の間にい
連載:私を「クラシック沼」に落した穴(傑)作~その7
放送のエアー・チェックからディスク収集へのシフト
前回は、私が高校二年(1987年度)に、次々にハマっていったクラシック曲をアラカルト的に挙げてきた。
年度が明け、1988年の4月以降になると、経済的にも少し余裕が出来たところで、ある計画を実行することにした。
年末年始と春休み。バイトに明け暮れながらも、時間的余裕も出てきたことから、これからの事を考えることになった。
今までのように、ラジ
『ぼっち・ざ・ろっく!』細かすぎる全話演出解説を通して学ぶアニメ演出④-1
第5話「飛べない魚」という訳で、今回は前半のクライマックス、第5話についてのお話です。
タイトルが、第4話「ジャンピング・ガール(ズ)」と微妙に対になっているのが気になりますが、エピソードの内容自体の繋がりはないようです。
今回は、怒涛のライヴ・シーンがありますので、語ることはたくさんありますから、早速おっぱじめましょうか。
【キャラクターの衣装で定義する人物の内面描写】
それでは、この辺
『ぼっち・ざ・ろっく!』細かすぎる全話演出解説を通して学ぶアニメ演出③
2022年10月から放送が始まった『ぼっち・ざ・ろっく!』。
今更『けいおん!』の二番煎じ?と思ったが、見始めてみると、意外にも、これが驚くほど作り込まれた尖った演出の数々で、黙ってはいられなかった。
2022年12月28日より、DVD&ブルーレイが発売開始されるので、twitterでの私のツイートの解説と、新たに解説を書き起こし、第1話から『ぼっち・ざ・ろっく!』の各カットを細かく解説しながら
『ぼっち・ざ・ろっく!』細かすぎる全話演出解説を通して学ぶアニメ演出②
2022年10月から放送が始まった『ぼっち・ざ・ろっく!』。
今更『けいおん!』の二番煎じ?と思ったが、見始めてみると、意外にも、これが驚くほど作り込まれた尖った演出の数々で、黙ってはいられなかった。
2022年12月28日より、DVD&ブルーレイが発売開始されるので、twitterでの私のツイートの解説と、新たに解説を書き起こし、第1話から『ぼっち・ざ・ろっく!』の各カットを細かく解説しながら