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バックキャストは単なるエンタメ? ビジネスに使える3つの型
先日、未来予測とバックキャストの話をしました。今日はもう少し説明を追加しましょう。
素直にバックキャストすると他社と同じ結論になりがち
バックキャストは未来を想像するところから始まります。
再び感染症が蔓延したとき、社会はコロナ禍と同じ反応をするのだろうか
機械翻訳で言語の壁が取り払われたとき、労働市場はどうなるのだろうか
地域の患者さんと医師が共に高齢化したとき、医療の形態はどうなるの
未来予測にはビジネス面での価値があるのか?
未来予測は当たらない。専門家でも本当に当たらない。
未来予測はなぜ必要なのでしょうか。
ノーベル平和賞受賞者のノーマン・エンジェルが「戦争のコストは高すぎるため、ヨーロッパ全般の戦争は非常に起こりにくく、起こったとしても長続きはしない」と語った、そのわずか5年後に第一次大戦が勃発しました。生物学者のポール・エーリックが「今後10年間で、少なくとも年間1億-2億人が餓死するまで死亡率は上昇する」
DXで取り組むべき問題の設定方法? 上下からのリーダーシップを考える
以前のDXスキルツリー解説の中で、「DXニーズは経営課題と現場課題の交点である」「経営課題だが現場課題でないものは絵空事、現場課題だが経営課題でないものは些事」と述べました。本日はここをもう少し掘り下げたいと思います。
経営課題は粒度が大きすぎて、そのままでは変革ニーズにならない
例えば競合と熾烈なシェア争いとしている製造業を想定してみましょう。
ここで、経営課題を「5年後に競合を蹴落とし優
この研修には何の意味がある? 修了後の見通しを持つための『DXスキルツリー』
DX人材育成が難しいのは、DXの全体像が分かりづらいから
DX人材が足りない。もう何年もそういう声を聞き続けています。一方で、研修プログラムを受けた人材が、そのスキルをうまく活用できていないという話もよく聞きます。これって少しおかしいですよね。足りないんだったら、育成した人はなぜすぐ不足を埋められないのでしょうか。
個人的な感覚ですが、DXの進め方が分からないのがその原因だと思っています。どん
限界費用ゼロ社会は嘘だった? クラウド時代の誤算
"限界費用ゼロ社会"
デジタルで限界費用がゼロになるというのは、もはや当たり前の話でしょう。
限界費用の定義を手短かに復習するなら、例えばある製品を提供するとき、開発や設備投資などの初期費用は考慮せず、あと1つを製造するのに掛かるコストのことです。物理的な製品であれば原材料費が掛かるためにゼロにはなりえませんが、デジタルの場合には複製コストが無限にゼロに近いため、その特性を活かしたビジネスを考
そんなにデジタル依存で大丈夫? デジタルネイティブを考える
DXを考えるとき、いくつかの思考の軸があります。ユーザ体験、バックキャスト、デジタルネイティブ、サービスドミナントロジック、民主化、データ駆動などです。今日はこの中のデジタルネイティブに関して考えてみたいと思います。
デジタルネイティブにとっては、いつもデジタルがあるのが当たり前
デジタルネイティブ。要するに、物心ついたときからデジタルがあるという意味です。デジタルネイティブというのは、デジタ
昔と比べて、1人でできることが増えている? デジタルがホワイトカラーの多能工を可能にする
デジタルは何を変える力があるのでしょうか。今日はその中でも小さくて大きい問題を論じてみたいと思います。
スタートアップが経営できるのはITが進化しているから
わずか数十人のスタートアップ企業が高いパフォーマンスを保てる理由はなぜなのでしょう。
それは、専門家の価値が相対的に落ちているからです。
正確には、能力が高ければ高いほど価値を生み出す専門家と、一定レベルに達すれば差はない専門家が存在し
DXと情報システムの違い? 対立を乗り越えるための考察
デジタルと情報システムの違いが、思想の違いであって技術面ではないということは、これまで何度か述べてきました[1][2]。情報システムはOA (Office Automation) の延長として、効率化・省人化をその本分とします。一方でデジタルはインターネットの派生物であり、「つながる」「データを使う」ことで社会環境が変わり、新しいビジネスの姿が生まれるのがその本質です。この違いにこだわるのは、これ
もっとみる変革が不要な理由? 反DXの立場で考えてみた
変革が必要な話ばかりしているので、読者にはポジショントークに聞こえてしまっているかもしれません。ポジショントークは、ビジネスでは必ずしも否定されるものではありませんが、それでは金勘定を越えた、心を動かすようなメッセージ性は出せないと思っています。変革がしばしばボランティアで始めねばならない活動である以上、動いてほしいのは算盤ではなく心だからです。
ですから今回は、逆のポジション、つまり反DXの立
DXは技術導入だけではダメなのか? 変革に必要な準備
DXを推進する人たちは、口を揃えて「DXはXが大事、デジタルは変革の手段だ」と主張します。ですが、本当にデジタル技術の導入だけでは不足なのでしょうか。
デジタル技術の導入のみ行うということは、仕事のやり方はそのままにして、個別のプロセスを改善することを意味します。もちろん、個別のプロセスを改善する意味はあります。コスト削減、生産性向上、品質安定化など目に見える成果を生むからです。
ではそれ以上
ChatGPTで何が変わる? 仕事、情報の流通、知識の形
AIで仕事がなくなるのか、外注をヒントに考えてみる
ChatGPTなどの大規模言語モデル (LLM) は、どうやら本格的に業務に影響を与えそうです。例えばIBMはChatGPTの登場から間もない時期に、関連職の採用を控えるという方針を打ち出しました。今後ホワイトカラーの仕事がどうなるのか、目が離せません。
私たちの仕事もAIに置き換えられてしまうのでしょうか。技術的にある程度可能になったとき、
社内DXチームに必要な知識とは? (特に企画職)
DXの専門家は難しい立場に置かれている
先日「ビジネス側の人材にはITの知識が必要だ、それは機会を見逃さないためである」と述べました。ではDX専門組織の人間は、ビジネス側の人々が業務知識にプラスアルファして必死に勉強する間、安閑と惰眠を貪っていればいいのでしょうか。
もちろん、断じてノーです。
改めて言語化すると、DX専門組織というのも難儀なものです。ずっと事業に打ち込んでいる人たちの、これま
ChatGPTが定着すると箇条書きが重要になる?
以下の文章を読んでみてください。
これはChatGPTに以下の箇条書きを見せて作文してもらったものです。
DXとはデジタルを用いて様々なことを変革する行為である
ここで問題なのは、何がデジタルでどういう変革なのか、その中心的な概念を定義することである
なぜなら、全てを包含する言葉は何も語らないのと同じだから
しかし、デジタルとそうでないものを完璧に切り分けるのは難しい。いま既に多くの混乱