#小説
今日が終わるときっと消えてしまうから、書いておきたいことがあります。
日が長くなってきました。
仕事を終えた家路、空に瞬き始めた星を見つけることが楽しみだった12月は、慌ただしく過ぎ去っていきました。いつもより暖かい冬の日、見上げると帰り道の空は、橙色と紺色が陣取り合戦を始めているところでした。
12月を終え、1月が始まり、私は昨日あったものが今日も同じようにあるとは限らないことを再び教えられました。誰かの犠牲の上で学ぶことは胸が苦しく、そして悲しいと感じます。
ぽっかりと空いた穴が、教えてくれる。
冷たい風が吹いた。
風は肌を撫ぜる。
肌を撫ぜたはずだったのに、
風は僕の中に入ってきて
僕は体の中に穴が空いてるって気づいた。
知りたくなかった。
ぽっかり空いた穴なんて。
秋はこれだから嫌だ。
寂しくなる。
春に花が咲いて、
夏に弾けて、
いつの間にやら穴が空いて
秋になって落ちてゆく。
僕は地団駄を踏んだ。
踏めるだけ踏んだ。
足元が緩んでいく。
足が沈んでいく。
僕は泣い