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自主映画を、撮る。その19

本編の前にまずは、今週の「HIRUMESHI!!」のコーナーから。

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神戸三宮が世界に誇るべき銘店「十割蕎麦 MARU」にて本日の日替わり、蕎麦+鮪のたたき丼。この炎天下、仕事場から往復40分の道程をよくぞ歩き抜いた。ゆったり目の昼休憩にも感謝、一切の後悔もないただただ幸福な時間。美味しいお蕎麦屋さんこそがこの世に存在する最もメジャーかつ合法な「おくすり」ではなかろうかと、さすがにこれは通いますね。

以下、本編。

2022年、8月某日。

昨年末以来となる母校、夏休み中とはいえこんな静かなもんかね。ともかく午前一杯を脚本チームとの会議に割いた後、銘店「トップ珈琲」にて延長戦敢行。初顔合わせとは思えないほど具体論に踏み込み、映画熱が溢れ出る。才ある人間は遅刻という不遜まで盛大にやらかす、海のように広い心の主宰からすればもはや名作が生まれる確定演出なのです。

事故らなきゃいいじゃん、コロナさえかわせれば御の字じゃん。改めて脚本班の人事編成及び認識確認から。制作期限の都合上ある程度「決め打ち」で臨む必要があること、あくまで母校とその周辺地をロケーションに選ぶことで得るアドへ全振りする流れで概ね合致。あとは全体会議の中で追加候補地を選定し体制にさらなる厚みを持たせる、めちゃ戦略的。

「コンペを勝ち抜くための社会風刺」とは。

ますますトンガっていきましょう。つまり、お行儀の良い映画なんて撮る気は毛頭ない。様々意見があることは承知の上ですが、我々はかつていじめや自死を正面切って取り扱った作品で受賞歴がある。かといって免罪符にする気もサラサラない、やはり作品のメッセージ性を明確にする点において避けては通れぬ道。やりたいのならやっておくべきでは、という思い切り。

作り手としての葛藤を表現したり、あるいは要所でモラリティのブレーキを引く意識は決して忘れない。茶化すのではなく、またプロパガンダでもなくあくまで問題提起のための手段として。パペットになら許される、あるいはポップに建設的に出力できるなんてお話は以前どこかでしたはずです。あのバランス感を実写で表現するには何が必要なのか。

カルボナーラを食いながら、ラウンド2。

喫茶店の「大盛り」は舐めてかかっちゃダメ、それでも食いたかったんや。30過ぎの体に鞭打ちながらブレインストーミングは続きます、架空の脚本案なんてのも考えてみました。意外にスルスルできてしまい心底恐ろしくて、やっぱ若いアタマってエエなあ。作品テーマと具体作とを照らし合わせつつ話を進めていった割には、後輩達もなかなかに食らい付いてきてくれた。

内輪ノリを徹底排除するのであれば、大衆映画縛りでアイデアを膨らまそうかなんて言いながら始めた会議でしたが。よくよく考えれば、日本昔ばなしや怪談のクリシェが映画に活かせないはずはないですし。映画と舞台芸術を変に別個と捉える必要もないのかも、むしろ並列に見ることで生まれる表現を大切に育てていくそんな48時間にしたいですね。

「5分映画」というフォーマットに関する仮説。

要するに、タイムマネジメントの話です。2:3、1:2:2:1、4:1、1:4様々な配分を想定し具体的な作品名に落とし込んで考察してみました。この辺りは本戦に関わる部分ですのでこれ以上の詳細は控えますが、なるほどテーマや設定に適したフォーマットというものが確かに存在していて。大衆映画には大衆映画ある所以がちゃんとある。

ただ、あくまで「明確なオチ」ありきのシステムと言い換えることもできるはずで。型を理解した上で崩したりスカしたりしていくところにこそ、芸事の神髄がある。時に手枷足枷ともなりかねない「自分らしさ」を敢えて死守しつつ当日に臨みます。「オレ達のやり方」と違えば、明確に切り捨てる。返す返すもやっぱ若さは正義、いくつになってもこんな気持ちでいたい。

を経て、翌日のプロット会議雑感。

とはいえこれが単なる脚本班の自惚れで終わらぬよう、しっかり他者の目に触れさせておきましょう。予定なんて得てして崩れるもの、本番を想定したタイム感で挑むはずの会議が頭数まばらな状態から2時間ディレイで開始。ここから1週間で脚本書いて、撮影リハーサルの流れだったはずだけどな。しかーし海のように広い心の主宰はオコラナーイ。アワテナーイ。

この日時点での確定事項を以下、羅列していきますと。ロケーション→内容→配役の順で進めていく。メンバー所有の空き部屋を屋内、母校を屋外候補地とし使用許諾手続。脚本にはメタ的内容を込め、学生映画の延長上のよな雰囲気を残しつつ退廃的な方向で。演技経験重視のキャスティングで尖った特徴的キャラは控え目に。ロケ地を効果的に使い奥行きある画角を、等々。

ネタバレ御免。

次回は、脚本班会議+ロケハンの模様をお送りする感じになるでしょうか。予め想定しておいた雛型あるいは公式に実際の撮影地を当てはめてみた時、どんなイマジネーションが湧いてくるのか、それを撮影・編集班と一体どこまでイメージ共有できるか。あくまでも予行演習、お題が出るのは当日で。この綱渡り感生ごろし感は、なかなかにすり減りますがしかし癖になる。

主宰は当初音楽担当予定でしたが、どうやら脚本班のメインに据えられかつ当日の演技指導にも立ち会う雰囲気まで出ており。いよいよ二徹が現実味を帯びてまいりました、なかなかに楽しそうじゃないの。パッキパキの状態で作るからこその面白さもありますよね、平場じゃやりそうもない行動や思考回路でもって目の前の壁に挑む。オバサーの今ならまだできそう。

チーム名、決定。

そうそう。ぼちぼち早割の効くエントリー期限が迫ってきましたので、急遽チーム名のアンケートを敢行。数ある候補から決選投票までもつれ込んだ末、互いの名前をフュージョンするというまさかの展開に。冠詞の有無まで進学校らしくバチバチに議論した結果「Orange Candy House」に不時着。母校のシンボルであるオレンジ色の屋根に掛けて。

もう一つは過去の受賞作であるヘンゼルとグレーテルオマージュに掛けて、「お菓子の家」感を演出。当初後輩デザイナーへの外注も考えていましたが結局、参加メンバーから有志でイラスト募集をかけることに。せっかくだし三日月まで入れときますか、というところでLINEの通知が絶賛途絶え中で。この得も言われぬ爆弾ゲーム感がいかにも母校映画部っぽい。

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