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自主映画を、撮る。その22

本編の前にまずは、今週の「HIRUMESHI!!」のコーナーから。

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三宮センタープラザ「本くるくる」にて沖縄そば+ラフテー丼セット堪能。レトルトや袋麺まであれこれ買い漁ってみたけれどなんかこうイマイチ修学旅行思い出の味に行き着かず辿り着いた地下食堂街、遂に理想の味へ邂逅。要らぬ蘊蓄かもわかりませんが、神戸産の小麦を使用するのが琉球そば沖縄産の小麦を使用するのが沖縄そばなんだそうです。イイハナシダナー。

以下、本題。

2022年、10月某日。

主宰は本戦へ向けひとりインプットを蓄える日々を送った。つまり、別稿の観劇レビューをご参照あれ。オリジナル脚本と思い出深い成井豊戯曲とを相次いで観ることができたのは、一体何の巡り合わせか。ご縁があれば是非、次回作以降コラボしてみたいものですなあ。刺激的な2作に向き合った結果その日のうちに新たな作品アイデアが浮かんできてしまったものですから。

詳しくはまた別の機会に。話はここから急に48時間本祭当日まで飛びます、10/21(金)先週までの暑さが嘘みたいに冷え込んだこの日。幸いにも天候には恵まれて。基本的に築100年超えの和住宅がベースとはなりますが、あわよくば外ロケも可能やでの気概でビッグタイトルを迎え討つ姿勢でお馴染みの80年代風カメラでもってメイキング撮影。とくとご覧あれ。

(※撮影の都合上、画面が上下反転する場面がございます。予めご了承下さい)

脚本班、翌朝にまで及ぶオフライン体制を決断。

言い出しっぺは主宰。オンライン環境ではどうしても絶妙に行き違い、細部の議論にもちょっとしたタイムラグが生まれてきそう。1分1秒が勝敗を左右するコンペ形式、できる限り長く顔を突き合わせて話をしておきたい。後輩は快くOKしてくれました。しかしこの時点で主宰の徹夜は確定、翌朝からの撮影班にも同行なおかつ編集組にも合流して細かなディレクションを行う。

楽しくなってきたじゃない、18時のキックオフイベントに向け相応の買出しを済ませFacebookライブ中継開始を今か今かと待った。定刻。我々のチームリーダーは仕事終わりのイベント参加とあってまさかのスーツ姿で。A Groupに入ってましたのでわりかし早段階で登壇の声が掛かる。くじ引きで決まる作品テーマ、今回見事引き当てましたのは。

「ドッペルゲンガー/人違い」「モキュメンタリー」

なるほどいずれかのテーマあるいはその両方を作品に盛り込む必要がある。そこから48時間のカウントダウンまで数十分間。案の定イベント会場の微弱なネット環境により配信が中断するトラブルにも見舞われましたけど、まあウチが無害ならぶっちゃけ関係ねえっすわ。イベント終盤には登場人物名と職業、小道具や盛り込むべきセリフの発表もあった。概ね予想の範疇か。

ぶっ飛んだお題が来たらどうしようかと思ってたんですけど。19時の鐘の音と共に48時間映画祭がスタート、前々からそれなりに試験対策を重ねてきた脚本班はわずか開始6分で1本目のログラインを完成させ。ひとまず、監督に報告。すぐさま2本目、3本目のアイデアへと取り掛かっていきました。幸先は良好か、350のノンアルビールを1本だけ開けた。

人物名「鬼丸昌也/真美」、職業「クレーム処理担当」

最終的に「ドッペルゲンガー/人違い」と「モキュメンタリー」、どちらを選択するかの判断は21時からのZOOM全体会議にて決する流れ。まだまだ時間はたっぷりある、とりま各テーマ1作ずつ拵えたところで衝撃の事実が判明。なんと明日参加予定の後輩の一人に双子の兄弟がいるらしい、慌てて電話。キャスティングが叶えば、この時点で前者の撮影で確定する流れ。

まあ現実はそう甘くないですわ。先約があるらしく22日(土)は終日、時間が取れないとのこと。確かそれが20時頃だったと記憶していて。良い意味でも「モキュメンタリー」へと着実に舵取りされていったのかなあと、今冷静に振り返ると感じたりします。変にクヨクヨしたり打ちひしがれたりする感じは我々にはありませんでした。当たって砕けろですよ、ここまで来たら。

小道具「体温計/湿度計」、セリフ「いいけど、一回だけだよ(OK, but just one time.)」

水銀体温計の捜索依頼をグループLINEに投下したのも、19時台の後半だったのでは。過去の受賞作を一通り洗った結果、やはり指定されたセリフも重大局面それこそオチ近辺に使用することによってインパクトやメッセージ性が付与される印象。お題として消費するのではなく、作品の軸に据える意識。青写真は描けた。返す返すも、問題は21時以降のタイム感になるのかなと。

つまりそれは明日以降を見据えたタイム感でもあって。たとい30分、1時間でも仮眠が取れたら脚本班はよりフレッシュな頭で演出/当日の脚本修正にメモリを割くことができる。徹夜した大学生のレポート程度の出来栄えじゃ到底満足できませんから。寝ない覚悟は持ちつつも、あわよくば寝る。32のおじさんだっています。何かあっては困る。

季節外れの心霊体験。

開始数時間でまず問題となったのは、先述の水銀体温計捜索です。最悪故障していても良い、編集でなんとかできるはず。主宰も子ども時代ギリッギリ使った記憶があるようなないような。という訳で祖母→母の順に一応架電、返答を待ちます。監督の実家にも1本あるとの噂、とはいえ撮影現場の古民家でも並行して捜索を行なった。その最中、不思議な出来事がありまして。

鍵が締め切られた誰もいないはずの敷地内でなぜか2箇所、明かりが付いている。母屋突き当たりのトイレ前と、離れの資材置き場。泥棒?不審者か?それなりに霊感の強い家系に生まれた主宰には、すぐにそれが霊の仕業だと感覚的にわかった。しかも悪霊ではなく、せがれの映画撮影を心配そうに、あるいは楽しそうに眺める守り神の温かみにすら感じられた。証拠映像。

主宰実家にて所在確認、監督宅にも無事1本あった。

ご先祖様その節は本当にありがとうございました。ご丁寧に、トイレの場所まで案内してくれるだなんて。最新鋭の皮膚赤外線体温計でなくなぜ、水銀にこだわったのかについては是非本編にてご確認いただければと思います。20時半。30分後の全体会議に向けて呼吸を整えるのには、十分すぎる時間が生まれた。談笑がてら、洋邦問わずリファレンスとなる作品を探す。

根幹となるのは『おくりびと』あるいは『Dr.コトー診療所』、そこから『インセプション』のラストで味わえる分岐感と突き放されるあの雰囲気。大阪大会でグランプリを手中に収めれば、次の舞台は米Filmapaloozaです。アメリカ人には絶対ウケるだろうなー、この立地でこの世界観だもんなー、なんて脚本班一同早くも0次会のテンションです。

次回、急転直下の全体会議→撮影当日編。

とことん勿体ぶりますよ。なんせ主宰は結局この48時間中たった3時間少々しか寝ておりません、つまり45時間分の記憶/エピソードがあって。本当に色々なことが起こりました。次回お送りする「全体会議」がその一つの山場であったことは間違いありません、せっかく拵えた脚本が想像以上にウケをもらえず?なんか脱線がてら広げていった別案がヤケに盛り上がって??

結果、深夜の泣き落とし作戦にまで発展???もう信じられません。本当に信じられません。あの数時間は一体何やったんや。しかし皆さん、これこそがモノづくりです。カオスってこういうことを言うのですきっと。始まってみないとわからない48時間本祭の魅力が存分に詰まっておりますので、是非ご期待ください。それではまた。

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