協働コーディネーターの役割【いちばん身近な協働論】
1、協働コーディネーターとは
立場の異なる主体が、同じ目的や目標に向かって、互いを生かし合いながら取り組んでいくという協働を叶えるために、各種調整を行うのが協働コーディネーターです。
NPO等の各主体の皆さんと協力し、「お声」に耳を傾け、行政の指針と上手く重なり合うように事業(プロジェクト)に反映させていきます。
協働コーディネーターの仕事は、異なるステークホルダー(利害関係者)の間に、虹のような架け橋をつくることと言えます🌈
▶協働コーディネーターとしての姿勢
良いまちを一緒に創っていこうと意思を持っているNPO等の方々は、活動への熱い想いを持っている場合が多いです。
その想いに興味を示し、耳を傾けていると、自然と尊敬の気持ちが湧いて来ます。
もちろん一部の「声の大きい人」が場の発言権を独占してしまう時があったり、クレームというような形で批判的なことを強く伝えられることがあったり、いろいろなことがあると思います。それが多様性のある協働の現場です。
けれど、それも含めて、活動に対して、まちづくりに対して、想いを持っているからこそです。
相手の方が取り組んでいる活動の内容や、活動への思いに興味と敬意を持つことが、協働コーディネーターとして、一番最初に必要な姿勢だと考えています。
できれば、相手に対して感じたことや、興味を持ったことを、言葉にして伝えると、アイスブレイクのような効果となり、相手との関係が和やかになっていきます。
「活動のInstagram拝見しました!いろいろな取り組みをされているんですね。」
「そのイベントの時、参加者の方々はどんな反応でしたか?」
「なぜその活動を始められたのですか?どんな想いがあったのですか?」
こんな風に声をかけた時、多くの方が目をキラキラさせて答えてくださいます。そんな時、私自身もとても嬉しく感じるものです。
2、協働の目的の共有・意識合わせ
次に、異なる立場の人たちが同じ目的に向かって協働していくにあたって、必要不可欠なのは、明確な目的の共有です。
大義名分としての目的ではなく、詳細にイメージが湧くような明確な目的を、しっかりと言語化し、丁寧に共有することが必要です。
最初期の段階で、互いの意識合わせを十分に行うことで、その後の協働のプロセスは大きく変わってきます。
この段階で、もしも趣旨に合わない場合には、一緒に取り組まないという選択肢もあって当然です。目的意識が明確でない状態のままプロジェクトが進んで、後になってギクシャクと揉めるよりも、最初期に明確な意識合わせをしておくことが重要です。
3、案は企画前に共有、企画途中にも共有
協働プロジェクトの企画は、確定してから共有するのではなく、企画前の段階から共有することで、異なる立場の方々の、さまざまな視点の意見・アイデアを出してもらうことができます。
例えば企画する前に…
「こういうプランがあったら、どう思いますか?」
「この課題について、なにか思うことはありますか?」
「これからどんな風になったらいいとお考えですか?」
というような対話をすることで、異なる立場の意見やお声をキャッチすることは、極めて重要です。そして、それを踏まえて企画案を練ります。
企画案が出来た段階でも、今一度共有し、さらに意見をもらいます。
寄せられる「お声」を全て反映するということではなく、一つ一つ検討しながら、必要なバランスを考えて取り入れていきます。
そうすることで、最初には着想し得なかったブラッシュアップされた企画が育っていきます。
4、皆にとって自分事となる協働プロジェクトと、「共演者」の広がり
さまざまな異なる主体の知見が合わさった企画は、協働に関わる人たち皆にとっての自分事となります。
主導権を持つ一主体が机上で作成した企画を、予定調和的に進めることとは全く異なります。
協働プロジェクトが進む過程で、さらに新しい芽が生まれたり、意見やアイデアが追加されたり、常に企画が育っていきます。
そして、ますます関わる人たち皆にとって自分事となる協働プロジェクトとなっていきます。
関わる人たちは協働の「共演者」であり、共演者となった人たちは積極的に協働プロジェクトに関心を寄せて、主体的に一緒に取り組む仲間です。
また、直接協働に携わっていなくても、その協働プロジェクトに関心を寄せたり、応援したりしてくれる人たちも、広い意味での共演者です。
関わる人たちにとって幸せな協働プロジェクトには、多くの共演者の広がりが生まれます。
5、報告とお礼、情報発信
協働プロジェクトを進めるにあたり、協働の共演者(関係者・応援者・フォロワー等)への報告とお礼をこまめに行うことで、継続的に共演者とコミュニケーションを取り、関係性を築いていくことができます。
広報等に協力してくれた方々に、その都度、結果報告とお礼をメールでお伝えする。
SNSで「参加者募集」や「イベント告知」の投稿をしたら、後日報告の投稿をお礼の言葉を添えてアップする。
協働プロジェクトの節目のタイミング(例えば年度末など)には、一年間の報告とお礼をお伝えする。
また、公開可能な情報であれば、HPに丁寧に情報を蓄積していくことで、検索して見つけて興味を持ってくれる人たちが出てきます。
せっかく皆で協力して行う素敵な協働なので、取り組み内容をしっかり可視化して、発信していくことは重要です!
▶満足度の高い協働を!
たくさんの「共演者」たちと一緒に、協働プロジェクトを育んでいくことは、とっても幸せな仕事です。
関わる人たち皆の満足感の高い協働の取り組みが、全国各地で充実していくことを願っています。
※このnoteでは、各地での協働の推進を目的に、協働や協働コーディネーターについての一般論や考察、個人での地域との関わりなどを発信しています。(行政の職務上知り得た個別具体的な事例については書けませんので、ご了承ください。)
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