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子どもと美術

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子どもと一緒に見た美術館やら博物館やら。
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【読めないモノを読もうとして】本阿弥光悦の大宇宙 東京国立博物館

【読めないモノを読もうとして】本阿弥光悦の大宇宙 東京国立博物館

東博の展覧会は長男がどこからか匂いを嗅ぎつけて行きたい!となるが、今回は夫がずっと楽しみにしていた。
書の展示でフォント的な視点で興味関心があり、気になると。
あと俵屋宗達とのコラボ鶴絵巻ももう一度見たい、と。

美術館と違うので予備知識が多少必要&東博の混雑怖いから綿密なスケジュール管理必須!の私は一瞬怯むのだが好奇心には抗えず行く。
鳥好きの次男に関しては「鶴がいるよ」で誘う。

今回やったス

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【いとしさとせつなさと素朴な心と】みちのくいとしい仏たち 東京ステーションギャラリー

【いとしさとせつなさと素朴な心と】みちのくいとしい仏たち 東京ステーションギャラリー

今回は次男がどこかでチラシを入手し「コレ、なんかかわいいから見たい」と言われていたので、行ってみようということになった。

長男はサッカーの試合だったので次男と二人で行く予定だったが、天候不良で試合は延期。お出かけ先で外食にありつけるかも?という下心も見えつつ「オレも!」となり「では僕も」と夫も一緒に行くことになった。
結局、家族総出で東京駅へ。

今回の趣旨はこちら。

場内、撮影禁止なので実物

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【子も歩けば美術に当る】「歩く、赴く、移動する 1923→2020」 MOTコレクション & 小学生と見る豊嶋康子展 東京都現代美術館

【子も歩けば美術に当る】「歩く、赴く、移動する 1923→2020」 MOTコレクション & 小学生と見る豊嶋康子展 東京都現代美術館

東京都現代美術館のコレクション展示室の入れ替えがあったので早速訪問。

そして先日鑑賞し、すごく満足度の高かった豊嶋康子展を息子二人と見てみたく、誘ったら快諾されたので見に行った。
現代美術は難解なのもあるが身近なもの、考現学に近い作品は楽しめる様子だ。

まずはコレクション展から今回の概要はこちら。

そしてこのコレクション展示室用のパンフレットが毎回大変凝っている。
コレクションしたくなるほど

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【絶賛、飼育中】テオ・ヤンセン展 千葉県立美術館

【絶賛、飼育中】テオ・ヤンセン展 千葉県立美術館

千葉県立美術館でテオ・ヤンセンの個展が開催されている。

どこかしらで名前を知り、きっと映像作品で見たのかどんな感じの作品かは薄っすら知っていた。
なんだか子供達も好きそうだから、一緒に行く?と誘ったら
「え!テオ・ヤンセン?!知ってる!アレだ!見たい!」
と言われ、なぜ知ってんのかと思ったら、息子2人はガサガサと本棚から「くらべる図鑑(確か科学)」を出してきて「この図鑑に載ってるんだ」と教えてく

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【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

彫刻家、青木野枝(あおきのえ)の個展が市原湖畔美術館にて始まった。

氏の作品は東京国立近代美術館のコレクション展示室で見たのが1番印象に残っている。

2023年夏、豊島でも野外展示の作品を見つけ、なぜかホッとした。

非日常な旅の空間に知った作風が現れるとホッとした。神社の脇に設置されたその作品と瀬戸内海を見てしばらくボーっとした時間は良い旅の思い出だ。

今回はシンプルな展示室に青木氏の大き

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【蛙がデカい】特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」東京国立博物館

【蛙がデカい】特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」東京国立博物館

プロローグ
四大絵巻が揃う

今回の平成館の特別展ポスター、敢えてなのかわからないが、まず何が出ているのかぱっと見で分からなかった。
開幕後、ありがたいことにnoteでレビューを見る機会もあり調べると何やらとんでもない事が起きていた。
四大絵巻が全部揃う、という。おやおやこれはちょっとすごい。

と思ったら私より先に歴史好き長男が情報を仕入れてきた。
「教科書に載ってるアレもコレも全部見れる!行こ

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【豪胆と繊細】三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions 千葉市美術館

【豪胆と繊細】三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions 千葉市美術館

※9月10日[日]会期終了です
寄木の仕組みで組み立てられた動物の彫刻たち。
とにかく大きい。その大きさに爽快感のある展示でした。
そして木の香りがする展示室も、「塗りたて」の看板のつく新作の彫刻もとても新鮮だった。

難しいことを考えず彫刻の表面や削った痕跡、着彩の筆跡を追うのも楽しい。

動物たちの周りをぐるぐると回りながら見え方の変わる立体作品の面白さを味わう事ができる。

三沢氏のアトリエ

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【彫刻の今日】富井大裕 今日の彫刻 トルソー或いはチャーハン 栃木県立美術館

【彫刻の今日】富井大裕 今日の彫刻 トルソー或いはチャーハン 栃木県立美術館

もう展示タイトルからして突っ込みたい気持ちが満載なのだがチャーハンはどこからきたんだ。

という訳で我が家では「画鋲の人」でお馴染みの富井大裕氏の個展を見るために栃木県立美術館へ行ってきた。
「画鋲の人」の所以はこちら

【何処となく、考現学的な】

赤瀬川原平さん的要素を感じつつもその違いというのは「意味の剥奪」だろうか。
赤瀬川原平さんが「無用の長物」を路上で見出したのなら、富井さんは路上で造

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【ホックニーの生々流転】 デイヴィッド・ホックニー展 東京都現代美術館

【ホックニーの生々流転】 デイヴィッド・ホックニー展 東京都現代美術館

楽しみにしていたホックニーの個展。
しかも東京都現代美術館ですから期待も高まる。
見終えた後、あぁ、やはり良いな、楽しい絵だなぁと実感した。
心が暖かくなる展覧会だった。嬉しい。

長い画業の中から、東京都現代美術館の所蔵品とホックニー個人蔵の作品を中心に年代別に提示する展覧会。
一つ一つの取り上げ方はやや浅いですが、

網羅的に見ること
今の作品もしっかり見せること

に注力したのかな、と。

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【なにげないクリスタル】フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン 東京都庭園美術館

【なにげないクリスタル】フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン 東京都庭園美術館

2023年7月2日鑑賞。

庭園美術館の立体作品展示はよく合うなぁと思う。
住居を美術館として利用しているので一つ一つ部屋を訪ねないと作品が見れないわけだが、部屋に足を踏み入れるたびに「おっ!」という作品が待ち受けている。
広いところにドーンと並ぶ展示も圧巻で良いが、このように住空間に展示することでリアリティがあるというか。
もしかしたらこんな風に飾られていたのかも、と思える。

フィンランドのガ

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【ウェルカム里帰り】静嘉堂文庫美術館「饒舌館長ベスト展」

【ウェルカム里帰り】静嘉堂文庫美術館「饒舌館長ベスト展」

なんと、閉館したはずの世田谷区岡本の静嘉堂文庫美術館が1週間だけ開館するという噂を聞きつけて5月21日の日曜日に行ってきた。

しかも、展示タイトルがなんだかおかしい。
饒舌館長ってどういうこと?
ちょっとおちょくってる?
と思ったら、自ら饒舌を名乗ってらっしゃる素敵館長の80歳のお祝いに、というほんわか企画展。

某画像系SNSのフォロワーさんが初日のギャラリートークの感想を上げていたのだが、

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【蓑虫、参上!】府中市美術館 江戸絵画 お絵かき教室

【蓑虫、参上!】府中市美術館 江戸絵画 お絵かき教室

毎年、春に行われる府中市の江戸絵画企画。8歳の次男と二人で見に行った。

何度か見た作品が多いのだが、次男が「府中市美でもらうワークシートが好き」という理由で見に行った。
本来の展覧会の目的と違うのかもしれないが、美術館に対してポジティブな感情を持ってもらえるのはありがたい。

見たら、自分も描けそう!描いてみたい!と純粋に考えてやりたくなるのが子供。その挑戦の気持ちが冷めないうちに展示会場出てす

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【秘密は魅力】重要文化財の秘密 東京国立近代美術館

【秘密は魅力】重要文化財の秘密 東京国立近代美術館

2022年東博の国宝展に続き重要文化財オンリー展(美術工芸文脈)が東京国立近代美術館(東近美)で開幕。
明治以降の絵画・彫刻・工芸で重文に指定されている68件のうち51件を会期中の展示替えを挟みながらですが一気に見ることができる。

今回、心に残ってるのは蟹と鮭。
あれ?北海道物産展の感想かな?

【蟹】

国宝展の時に展示されてた超アヴァンギャルドな蟹🦀の壺と再会した…流石に東博の国宝展よりも

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【砧公園の延長線上に】わたしたちは生きている!セタビの森の動物たち 世田谷美術館コレクション選

【砧公園の延長線上に】わたしたちは生きている!セタビの森の動物たち 世田谷美術館コレクション選

ゴルフ場跡地の広大な敷地を公園にし、その中に建てられた世田谷美術館。
美術館の建物を設計した内井昭蔵は「いつか建物が朽ちて自然に飲み込まれてこそ美しい」と考えたように、自然に馴染む形で存在する美術館である。

野鳥の数もすごいし、ここ数年美術館にはたぬきも出没する。
そんなリアル・セタビの森の動物たち状態だが、毎年楽しみにしている所蔵コレクション企画展、今回は動物が表現された作品中心の展示です。

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