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子どもと美術

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子どもと一緒に見た美術館やら博物館やら。
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【蝉の声vs風鈴】街に写真館があったころ~常盤台写真場と昭和モダン~ 江戸東京たてもの園

【蝉の声vs風鈴】街に写真館があったころ~常盤台写真場と昭和モダン~ 江戸東京たてもの園

江戸東京たてもの園は私の夏季休暇最終日に行って来た。
午前中は皆で家の片付けをしていて午後から今日はどうしようかーとなっていた昼頃。
次男が「社会科見学で行ったところにみんなで行きたい」と言われ、では行ってみようということでドライブがてら出発。

酷暑容赦ない園内

気温35度の武蔵小金井、園内はほぼ人がいない。
蝉が耳鳴りのように鳴く。風鈴が揺れている場所があったが音が思い出せない程度に蝉大合唱

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【道路コア】SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット ワタリウム美術館

【道路コア】SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット ワタリウム美術館

東京都現代美術館で開催中の高橋龍太郎コレクションで見たSIDE COREの作品郡。

主張の強い作品に少しずつ疑問を持ち始めた高橋さんが次に気になったのが路上の作品だった、という。

自分も赤瀬川原平さんの路上観察学会の影響から路上にあるものが昔から気になるし、好きだった。面白かった。共感しかない。
最初は「路上観察学会が好き」なのだと思っていたが、どうもそこから路上的なもの、道端にある物、に惹か

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【魅せること】「竹林之七妍」「特集展示 野村和弘」「Eye to Eye—見ること」MOTコレクション 東京都現代美術館

【魅せること】「竹林之七妍」「特集展示 野村和弘」「Eye to Eye—見ること」MOTコレクション 東京都現代美術館

毎回、多彩な切り口を見せてくれる東京都現代美術館のコレクション展示室。
改めて、東京都現代美術館のコレクション展の成り立ちをご紹介。

こんな背景である。

なので都美館時代のコレクション品なのか、現代美術館になってからのコレクションなのか、ちょっと意識してみてもおもしろい。
作品リストには受入年度が書いてあるので1995年以前/以降を区切りに見ると結構楽しい。

主に戦後の作品を「コンテンポラリ

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【3度目の発見】鈴木康弘展 ただ今発見しています 二子玉川ライズ スタジオ&ホール

【3度目の発見】鈴木康弘展 ただ今発見しています 二子玉川ライズ スタジオ&ホール

鈴木康弘氏の作品を初めてみたのは、青山のスパイラルガーデンだった。
夫と付き合い初めた頃一緒に見た。多分20年ぐらい前。

その後、目黒区美術館の展覧会で再会した。
この展示では石川直樹氏を初めて認識した覚えがある。これも夫と見た。
この頃は結婚してすぐの頃。17年ぐらい前。まだ20代中頃。

そこから17年。小学校4年生になった次男と一緒に見に行った。(中1の長男は部活のため不在。
家族で揃って

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【痛切にして痛快】開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ 東京都現代美術館

【痛切にして痛快】開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ 東京都現代美術館

「開発好明(かいはつ よしあき)氏が2024年夏に東京都現代美術館で個展を開催」

そのフライヤーを見た時、家族全員で「あ、あの人だ!」となった。

5年前の2019年の夏に同じく東京都現代美術館で開催された「あそびのじかん」という企画展の第一展示室に飾られていたのが開発さんの作品だった。

当時5歳と7歳の息子たちは開発さんからサインをもらっていた。
この辺りの毎年夏にやっている現美の展覧会は子

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【お一人様中学生】展覧会へ行き鈴木康広さんと頼朝に会うの巻

【お一人様中学生】展覧会へ行き鈴木康広さんと頼朝に会うの巻

4月に長男が中学生になった。部活や定期テストやらで忙しい。
もう家族みんなで週末お出かけなんて悠長なことを言っていられなくなった。こうなることは予期していたが、まぁどこの家庭もこんな感じなんだろう。小学校までと違って試合会場や練習場へは親の付き添いもいらないし楽にはなった。

その反動なのか年齢的なものなのか、まぁーダラダラした態度が目についてこの夏休み中もゲリラ豪雨的な雷を「私が」何度も落とした

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【ボン埼玉】さいたま市大宮盆栽美術館

【ボン埼玉】さいたま市大宮盆栽美術館

さいたま市にある美術館は埼玉県立近代美術館だけではない。
なんと盆栽の町、盆栽村まで擁する大宮には盆栽美術館なるものがある、と福島に住む美大時代からの友人に教えてもらい、彼女の希望もあって私と次男の計3名で行ってきた。

いきなり盆栽をどーん!と展示するわけではなく、盆栽の見方や専門用語、ここ注目!というイントロダクションのコーナーがある。
様式なども一通りデモンストレーションしてくれる。

盆栽

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【これからは◯◯の時代!】三島喜美代―未来への記憶 練馬区立美術館

【これからは◯◯の時代!】三島喜美代―未来への記憶 練馬区立美術館

原美術館が品川にあった頃、その芝生の中庭にいつも大きな新聞紙が鎮座していた。
私が見た三島喜美代作品の最初は、それだと思う。
原美術館が閉館する時、作品はどうなってしまうのか?と思っていたら群馬県のハラミュージアムアークにちゃんと移設された。一安心。

あとは、現代美術館の常設展示室で見かけたりしていたと思う。
やっぱり、面白くてちょっとクスッと笑ってしまうことに惹かれる性分なせいか、作品は作品な

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【彫刻の上の散歩道】カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 DIC川村記念美術館

【彫刻の上の散歩道】カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 DIC川村記念美術館

千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館。
古典、印象派からミニマルアート、カラーフィールド等アメリカの60年〜80年代中心のコレクションが進み、非常に豊かな常設展を形成している。

今年、中学生になった長男が「ここ、行ったことあるよね?」美術資料集を見せてきた。
掲載されていた写真は川村記念美術館のロスコ・ルームの写真。
え、あの部屋が美術資料集に載るのか…?なかなか面白いチョイスだな?資料集とは

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【読めないモノを読もうとして】本阿弥光悦の大宇宙 東京国立博物館

【読めないモノを読もうとして】本阿弥光悦の大宇宙 東京国立博物館

東博の展覧会は長男がどこからか匂いを嗅ぎつけて行きたい!となるが、今回は夫がずっと楽しみにしていた。
書の展示でフォント的な視点で興味関心があり、気になると。
あと俵屋宗達とのコラボ鶴絵巻ももう一度見たい、と。

美術館と違うので予備知識が多少必要&東博の混雑怖いから綿密なスケジュール管理必須!の私は一瞬怯むのだが好奇心には抗えず行く。
鳥好きの次男に関しては「鶴がいるよ」で誘う。

今回やったス

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【いとしさとせつなさと素朴な心と】みちのくいとしい仏たち 東京ステーションギャラリー

【いとしさとせつなさと素朴な心と】みちのくいとしい仏たち 東京ステーションギャラリー

今回は次男がどこかでチラシを入手し「コレ、なんかかわいいから見たい」と言われていたので、行ってみようということになった。

長男はサッカーの試合だったので次男と二人で行く予定だったが、天候不良で試合は延期。お出かけ先で外食にありつけるかも?という下心も見えつつ「オレも!」となり「では僕も」と夫も一緒に行くことになった。
結局、家族総出で東京駅へ。

今回の趣旨はこちら。

場内、撮影禁止なので実物

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【子も歩けば美術に当る】「歩く、赴く、移動する 1923→2020」 MOTコレクション & 小学生と見る豊嶋康子展 東京都現代美術館

【子も歩けば美術に当る】「歩く、赴く、移動する 1923→2020」 MOTコレクション & 小学生と見る豊嶋康子展 東京都現代美術館

東京都現代美術館のコレクション展示室の入れ替えがあったので早速訪問。

そして先日鑑賞し、すごく満足度の高かった豊嶋康子展を息子二人と見てみたく、誘ったら快諾されたので見に行った。
現代美術は難解なのもあるが身近なもの、考現学に近い作品は楽しめる様子だ。

まずはコレクション展から今回の概要はこちら。

そしてこのコレクション展示室用のパンフレットが毎回大変凝っている。
コレクションしたくなるほど

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【絶賛、飼育中】テオ・ヤンセン展 千葉県立美術館

【絶賛、飼育中】テオ・ヤンセン展 千葉県立美術館

千葉県立美術館でテオ・ヤンセンの個展が開催されている。

どこかしらで名前を知り、きっと映像作品で見たのかどんな感じの作品かは薄っすら知っていた。
なんだか子供達も好きそうだから、一緒に行く?と誘ったら
「え!テオ・ヤンセン?!知ってる!アレだ!見たい!」
と言われ、なぜ知ってんのかと思ったら、息子2人はガサガサと本棚から「くらべる図鑑(確か科学)」を出してきて「この図鑑に載ってるんだ」と教えてく

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【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

彫刻家、青木野枝(あおきのえ)の個展が市原湖畔美術館にて始まった。

氏の作品は東京国立近代美術館のコレクション展示室で見たのが1番印象に残っている。

2023年夏、豊島でも野外展示の作品を見つけ、なぜかホッとした。

非日常な旅の空間に知った作風が現れるとホッとした。神社の脇に設置されたその作品と瀬戸内海を見てしばらくボーっとした時間は良い旅の思い出だ。

今回はシンプルな展示室に青木氏の大き

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