【読めないモノを読もうとして】本阿弥光悦の大宇宙 東京国立博物館
東博の展覧会は長男がどこからか匂いを嗅ぎつけて行きたい!となるが、今回は夫がずっと楽しみにしていた。
書の展示でフォント的な視点で興味関心があり、気になると。
あと俵屋宗達とのコラボ鶴絵巻ももう一度見たい、と。
美術館と違うので予備知識が多少必要&東博の混雑怖いから綿密なスケジュール管理必須!の私は一瞬怯むのだが好奇心には抗えず行く。
鳥好きの次男に関しては「鶴がいるよ」で誘う。
今回やったスケジュール管理
・2/18に日曜美術館の放送があるので、インプレッションが爆上がりする前を狙う
・「今週から金土は19時まで開館するよ!」宣言直後だから17時からの2時間を狙う。
・平成館入ってすぐ受付左手にドリンク軽食コーナーがある。展示室に入る前に栗どら焼きとお茶を飲み、お手洗いにしっかり行って荷物預けてさぁ展示室へ出発。夕飯時になるので空腹も避ける得策。
【展示観覧開始】
目論見通りなのか、今までの特別展で一番人が少ない。
展示物の前の人集りがない。いや、みんなに見に来てほしいけど、自分が見やすいと嬉しいというなんというエゴ…。
メインビジュアルの蒔絵箱
入ってすぐに今回のメインビジュアルの蒔絵箱がドーンと。
これ、正方形に近いのですね。このあと展示があった漆工芸もそうだったが正方形に近いかたちが多い。箱、というと長方形の箱を思い浮かべてしまうがこの正方形さは不思議さを誘う。
今回は9歳次男と私、長男&夫のペアで展示室を巡った。
このメインの蒔絵箱に関しては「海苔巻きせんべいっぽい」と言っていた。でも斜めに海苔が巻いてあるのがおしゃれなんだそうだ。なるほど。
お寺の看板
千葉、中山のお寺の看板文字があったなんて驚きだった。木彫りの光悦…看板の大きさもあってダイナミック。うん、これは読める。これは展示が終わったらお寺に戻るのだろうか?ぜひお寺現地でも見てみたいものだ。
書物の展示 「如説修行抄」
光悦の書体は何となく以前見たものが頭の中にあり(あの文字がずっと続くのかな)と思っていた。しかし先入観と違うとても面白い巻物があり驚いた。
息子2人にも「もっと読めないかと思ったけど、意外と漢字わかるね!」と言われ、確かにその通りなのだ。
文章の意味はわからない。が、断片的に文字だけ漢字だけわかる、ということがある。
そして意外と1文字1文字はっきり書いてあるなぁと思って右から左へ見ていくとだんだんと字がふわっと、柔らかくなってくる。
あれ?なんで?と思ったら。
1枚の書物の中で楷書から行書へ文字が変化してた。
へぇー!面白い。こんなことしてたのか。自由だな
。
あと墨のノリの問題か、太い字、細い字が織り交ぜて書かれ、引きで書物を見ても面白いリズムがあった。イメージはこんな感じ↓
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせすん
《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》
前回はいつ見たのだったか…おそらく特別展「桃山―天下人の100 年」(2020年)の時に初めて見て夫が大感銘を受けて感動していた。
なにやらグッズを買っていた気がする。
夫曰く、「特色印刷作品!!!」だそうだ。
特色。たしかに。
桃山展の時は途中までの展示だったが、今回はなんとながーーーく全部公開!
鶴が飛ぶ飛ぶ、平成館。
しかしこれは文字より、俵屋宗達の鶴の描写につい目が行ってしまう。
スタンプや、ステンシルでもしたかのように大きさの揃った鶴達。
でも羽の先の描写は筆使いが見られる。やはり1羽1羽描いたのか。
この絵の上に文字を書き入れるのって緊張しなかったのだろうか。
そんなことも気になってしまった。
大宇宙本命・茶碗
茶碗の展示。これ!これこそ大宇宙だったように思う。
なんというか、表面の景色がクレーターっぽさもあり。
拡大写真が展示室に貼られていたけれど、惑星の表面みたいだった。
そういう演出意図も鑑賞に影響していると思う。
マグカップを用いてトポロジーを説明し、ポアンカレ予想を解いて宇宙がとりうる形を解明しようとしたように、この茶碗も宇宙とつながっていそう。
そういえば赤瀬川原平さんの「宇宙の缶詰」もこの茶碗ぐらいのサイズ間に宇宙を閉じ込めていたな。
作った本人はそのつもりがなくても後世の人間たちはあなたのこと大宇宙とかいってますよー。とか思うとちょっとおもしろい。
「はじめようか、天才観測」
今回はキャッチコピー勝ちな気もする。
ある一定の世代の人間ならクスッとするんだろう。
読めないモジを読もうとして デタラメに展示室歩いた
そんな替え歌が思い浮かぶ程度に脳内BGMになったし、iTunesで久々に聞いて懐かしかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?