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感じよう、考えよう

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#考える

第22話 ここだけの話

 旦那、ちょっと聞いてくださいよ。
 ここだけの話。
 ここだけの話ですよ。
 いやぁ、まぁあっしのことなんですけどね。
 あっし、実は転生者なんですよ。
 えっ?マンガの読みすぎだって?
 いや、ホントなんですよ!!
 本当にあっし…転生者なんです。
 えっ?前はどんな世界にいたかですって?
 いや、この世界…地球ですよ。
 魔法?
 そんなの使えるわけがないじゃないですか!!
 あんな非科学的

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第19話 人間至上主義

「おい、あいつら帰って来たぞ!!」
 あちこち擦り傷だらけの2人の若者に村の人々が駆け寄る。
「それで…ユニコーンの角は?」
 2人の若者は顔を合わせにっこりとほほ笑む。
「あぁ、ちゃんと取ってきた!!」
「おぉーーー!!」
 村中から歓声が上がった。
 そこへ1人の女性がふらつきながら歩いてくる。
「母さん!!」
 2人の若者はその女性の元へ駆け寄る。
 その女性はユニコーンの角を取りに行った2

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第17話 子を想う親

「ただいまー」
「あら、タカシおかえり。早いわね?」
「今日は早めにバイバイした」
「めずらしいわね…おやつあるから手洗いとうがいしてらっしゃい」
「いらなーい」
 タカシはトボトボと階段を上がって行く。
「………」

「—コンコン」
「タカシ、入るわよ」
 ベッドの上でうつ伏せにふて寝するタカシ。
 母親はそのベッドに座る。
「どうしたの?何があったの?」
「何にもないよ~」
「そんな強がっちゃ

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第16話 FPS

「げぇー!!殺されたぁ!!」
 男は楽しそうに笑いながら恐ろしい言葉を放つ。

「いやぁ~、さっきの対戦相手めちゃくちゃ上手かったなぁ」
「あぁ、いいようにしてやられたって感じだ」
「何にもできなかったもん。逆に向こうは楽しかっただろうなぁ」
「お~い、2人とも!!そろそろいい時間だぜ!!」
「あっ、ホントだ!!今日は終わりにするか」
「そうだな。次はいつやる?」
「う~ん、週末まで無理かな。明日

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第15話 命への冒涜

「あっ!!また出やがった!!」
 男は近くにあった雑誌を丸める。
「おめぇら、気持ちわりぃんだよ!!」
 男が気持ち悪いと呼んでいるもの、それはゴキブリのことである。
 男は壁にいるゴキブリに向かって思いっきり雑誌を叩きつけた。
 先ほどまでカサカサと動いていたのに、ゴキブリは見るも無残な姿に変わり果てた。
「よし、駆除完了」
 男は死んだゴキブリを雑誌ですくいあげ、そのまま雑誌ごとゴミ箱へ捨てた

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第14話 鎖に繋がれたゾウ

 サーカスのゾウは小さな頃に杭に鎖が付いたものを足に繋がれる。
 なんでそんなことするかって?
 逃げないためだ。
 本当は駆け回って遊びたいのに、鎖が繋げられているからそこから動くことはできない。
 自分の力じゃ、その鎖を外すことはできないのだ。

 そんなゾウも大人になる。
 子供の頃より、体はだいぶ大きくなったし、力もだいぶ付いた。
 しかし、そのゾウは未だに自由に動くことができない。
 な

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第13話 笑顔を無くした勇者たち

「勇者さまーーー!!」
 そこら中から歓声が沸き起こる。
 国中が歓喜の声に包まれていた。
 なぜなら今日は勇者様たちの凱旋パレードだからだ。

 先日私たちの国は、魔王軍の四天王が率いる軍団と衝突し、見事勝利を収めたのだ。
 その立役者となったのが我らの勇者様たちだった。
 勇者様たちは大勢の人々の前で、笑顔で手を振っている。
 そして民衆もとても嬉しそうな顔をしている。
 しかし、私はとてもじ

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第12話 ショッピングモールの鏡

「うっ!!」
 俺は鏡の前に映る自分を見てギョッとする。
 俺って…こんなにみっともない体してたっけ?
 俺は食材の買い出しにショッピングモールに来ていた。
 そのときたまたま鏡の前を通りかかったときに自分の姿を見たのだ。

 今、俺が目にしている自分は本当に自分の姿なのか?
 いつも家の鏡で見ている自分よりずっとカッコ悪く見える。
 学生の頃に比べて明らかに太った体。
 そして自分の想像を超えた

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第11話 悪い領主と良い領主

 昔、あるところに悪い領主がいました。
 その領主はいつも威張っています。
 領民を見下し、バカにし、いじわるばかりしている領主でした。
 また、この領主は自分が贅沢な暮らしをするために、領民に対し重い税を掛けていました。
 領民は働けど働けど、一向に生活が楽になりません。
 働いた分だけ、税金として徴収されてしまうのでした。
 領民は疲弊しきっていました。

 ある日、このままじゃいけないと思っ

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第10話 憧れのあの人はアニメ好きでした

 女子社員の中で人気の藤森さんと仕事帰りに飲むことになった。
 同僚のカナコが思い切って声を掛けたのだ。
 藤森さんはカナコの憧れの人である。
 仕事がバリバリでき、どんなときでもスマートに対応する。
 おまけにスーツがよく似合う。
 私も憧れとまでは行かないけど、いいなぁと思う。
「カエデェ~。私、緊張してきた」
「ははは、落ち着いて」
「…カエデ。私が藤森さんとくっついても、恨みっこなしだよ」

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第9話 赤信号

 あぁ、信号が赤になってしまった。
 仕方がないのでボクは立ち止まる。
「この信号長いんだよなぁ」
 ボクはため息を吐く。
 そして辺りをキョロキョロと見渡す。
 時間は深夜。
 周りには人がいない。
 車も来る気配もない。
 よし、渡ってしまおう!!
 ボクはそそくさと横断歩道を渡ってしまった。

 横断歩道を渡り終えてからボクは後ろを振り返る。
 別に待っていても良かった。
 一体なぜ渡ってし

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第8話 異世界でちょ~モテた

 その日、学校帰りの私はいつものお肉屋さんで買い食いをしていた。
 このお肉屋さんのコロッケがたまらなくおいしいのだ。
 私は現在高校2年生。
 普通の女の子なら友達と恋愛話に花を咲かせ、おしゃれに気を使う年頃なのだけど…私はそういったものには一切無縁だった。
 私はデブだった。
 太っていてもかわいい子はごく稀にいるけれど、残念ながら私はそのごく稀ではなかった。

 学校ではいつも私は友達に注意

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第7話 モチベーション

 その日、ボクは新入社員研修で仕事に対するモチベーションの講義を受けていた。
 講師となったその人はいかにも仕事ができそうなオーラを出していた。
 その人はモチベーションについて2つ事例を挙げて説明してくれた。
 1つ目の話は3人のレンガ職人の話だった。
 1人目は文句を言いながらレンガを積んでいる人。
 2人目は家族を養うためにレンガを積んでいる人。
 3人目は歴史に名を残すやもしれぬ、大聖堂の

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第6話 灰かぶり

 この話が本当かどうか知らないのだけれど、昔、灰かぶりと呼ばれた娘がいたらしい。
 その娘は性格の悪い義母と義姉にいじめられたけど、そこからの成り上がりがすごかったようだ。
 なんかよく分かんないんだけど、急に出てきた妖精に気に入られたらしい。
 そして純白のドレスにガラスの靴を身に纏い、そのままかぼちゃの馬車に乗って舞踏会に連れていかれて、挙句の果てに容姿がいいもんだから、王子様に見初められてそ

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