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加藤文元『数学の世界史』――5000年の叡智に触れる壮大な叙事詩――

 数学者、加藤文元による待望の新刊『数学の世界史』が、2024年2月28日にKADOKAWAより発売されました。

『数学の世界史』は、数学がどのように生まれ、発展してきたのかを、古代文明から現代に至るまで、歴史の流れに沿って解説する、壮大なスケールで辿る数学史になっています。
 数学という人類の叡智の結晶が、時空を超えて織りなす壮大な物語を、ぜひ堪能していただきたいので紹介します!


多彩な文明が生み出した数学の源流と、その交流と融合

『数学の世界史』は、数学が単一の起源を持つのではなく、世界各地の文明において、それぞれの文化や社会の要請に応える形で独自に発展してきたことを明らかにします。
 メソポタミアの粘土板に刻まれた楔形文字による高度な天文学計算や暦の作成、エジプトのピラミッド建設における測量や幾何学の応用、古代ギリシャにおける論証を重視した数学体系の構築、インドにおけるゼロの発見と記数法の発明、イスラム世界における代数学の飛躍的な発展、そしてルネサンス期におけるヨーロッパ数学の復興と新たな展開など……、
 多岐にわたる数学的発見や発明を、豊富なエピソードとともに紹介しています。

 さらに、これらの数学的成果が、文化交流や技術革新を通じて、国境を越えて伝播し、融合することで、より豊かで多様な発展を遂げてきたことを明らかにしています。

 例えば、アラビア数字はインドで生まれ、アラビア世界を経由してヨーロッパに伝わり、世界中で広く使われるようになった経緯……。
 ヨーロッパにおける数学史が、イスラム世界の数学やインドの数学の影響を受けながら、微積分法や解析幾何学などの新しい分野を生み出し、近代科学の発展に大きく貢献してきた史実……。
『数学の世界史』では、こういったエピソードが、余すことなく語られています。

数学の普遍性と文化的多様性の織りなす豊かな内容

『数学の世界史』は、数学が普遍的な真理を探求する学問であると同時に、それぞれの時代や文化を反映した多様な側面を持つことを示します。
 例えば、古代ギリシャの数学は哲学と密接に結びつき、論理的思考と証明を重視する一方で、インドの数学は宇宙観や宗教と深く関わっていたこと……。
 また、数学は実用的な問題を解決するための道具としてだけでなく、美や調和を追求する芸術としても発展してきたこと……。

 加藤は、これらの多様な側面を織り交ぜながら、数学が織りなす豊かなタペストリーを描き出します。

数学史を彩る巨人たちの人間ドラマ

『数学の世界史』は、数学史を単なる知識の羅列ではなく、魅力的な物語として紡いでいます。ピタゴラス、ユークリッド、アルキメデス、アル・フワーリズミー、ニュートン、ライプニッツ、オイラー、ガウスなど、歴史に名を刻む偉大な数学者たちの生涯や業績を、彼らが生きた時代背景や人間ドラマとともに活写しています。
 例えば、幼少期から天才の片鱗を見せたガウスが数学への情熱を燃やし続け、数々の偉業を成し遂げた軌跡……。ニュートンとライプニッツが微積分法の発見をめぐって繰り広げた熾烈な争い等、数学史に残るエピソードを臨場感あふれる筆致で紹介しています。

数学史に残る難問への挑戦と、その先に広がる数学の未来

『数学の世界史』は、フェルマーの最終定理、ポアンカレ予想、リーマン予想など、数学史に残る難問に挑戦し、解決してきた数学者たちの情熱と苦悩にも光を当てます。これらの難問は、数学者たちを何世紀にもわたって魅了し、数学の発展を牽引してきました。
 また、現代数学が直面する課題や未来への展望についても言及します。コンピュータの発展や情報化社会の進展に伴い、数学はますます重要な役割を果たすようになっています。人工知能、ビッグデータ解析、暗号理論、量子コンピュータなど、数学が関わる新しい分野が次々と生まれており、数学の応用範囲はますます広がっています。
 本書は、これらの新しい潮流を踏まえ、数学が未来社会においてどのように貢献していくのかを考察します。

著者・加藤文元について

 加藤文元は、東京工業大学理学院数学系教授であり、数論幾何学の分野で国際的に活躍する数学者です。一般向けの著書も多く、『宇宙と宇宙をつなぐ数学』『数学する精神』『物語 数学の歴史』など、数学の魅力を分かりやすく伝える著作で知られています。

 5000年以上にわたる人類の叡智の旅を辿る、壮大なスケールの数学史を、ぜひお手元に置いてみてください。
『数学の世界史』は、数学を愛するすべての人にとって、かけがえのない宝物となるでしょう。

数学史を彩る偉人たちと共に、
この壮大な数学の旅をぜひともご体感ください!

【編集後記】
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