慈音

接客業。売り子してます。この世には色んな人がいて、楽しー。言葉遣い、お上品じゃないけど…

慈音

接客業。売り子してます。この世には色んな人がいて、楽しー。言葉遣い、お上品じゃないけど正直に書きます。

記事一覧

彼がバツイチ子持ちだと知った時

「彼氏が、バツイチ子持ちだった。」 いつものメンバーで飲んでたら、Aが、そう打ち明けた。 「そうなんだ。え、今知ったの?付き合って何年だっけ?」 「三年。三年も隠…

慈音
5日前

あなたの家のミイラ

「どしたの、それ。」 後輩が眼帯をつけてきた。 「兄貴と喧嘩したっす。」 「えー。大丈夫なの?目」 そう聞くと、後輩は、眼帯を取って見せてくれた。 目が真っ赤っ赤…

慈音
7日前
1

不登校と誕生日プレゼント

そのお客さんは、夕方過ぎにやって来た。 どこかの会社のOLさんであろう。白シャツに膝丈スカート、黒のローパンプス。 店内を見渡して、キョロキョロしてる。 何か困っ…

慈音
9日前
2

一生物って?

売り子として接客してて、絶対に言いたくないフレーズがある。 それは「一生物ですので。」 昔、バイト先に、ヴィンテージデニムに詳しい先輩がいた。 いつも、LEVI'S501…

慈音
11日前
1

スピリチュアルな人になりそうだった

そのムーンストーンの指輪は、入荷したばかりだった。 入荷してから二週間経つと、私達売り子も買えるようになる。店員価格で買える。 初めて見た時から、その指輪が気に…

慈音
12日前
4

良薬、口に苦しのお客さん

接客が長くなった今でも、ふと思い出す、おじさまの話。 あれは接客をはじめてまだ日が浅い頃。 今より男性の物をメインに扱う店で働いてた時の事だ。 お客さんたちは優し…

慈音
2週間前

イケオジ必須三ヶ条

イケオジの話。 その人はお客さん。 年齢は、かなり上。 ルックスは、昔の俳優って感じの濃い目。 喋ってると、江戸っ子か?と思うくらい、さっぱりと小気味よい。 たま…

慈音
2週間前
3

大人の素敵な女性

ある女性のお客さんの話。 その人は、うちの店に、たまにふらりと一人でやって来る。 私より年上と思われ、容姿と雰囲気が綺麗な人だなぁ、という印象。 その日もその人…

慈音
2週間前
2

学年一の美人が大人になると

中学の時、学年一の美人と持て囃されたKさんの話。 同じクラスのKさんは、誰がどう見ても美人であった。クラスの男子達は事あるごとにKさんKさんと周りを囲み、チヤホヤし…

慈音
2週間前
5

パニック障害の友達

学生時代からの友達、Eちゃんは、パニック発作を持っている。 集まりに来られる時と来られない時があって、みんな「ドタキャンでもいいからね、来られるならおいで」と言っ…

慈音
3週間前
2

未読の困ったちゃん

後輩から聞いた、困ったちゃんの話。 「慈音さーん、聞いて下さいよー」今日は他のメンバーが来られなくてサシになってしまった。聞くしかないじゃん。 「未読無視ってど…

慈音
3週間前

縁が切れる時

前は一緒にいて楽しかったのに、楽しくなくなっちゃった関係の話。 友達でも恋人でも家族でも、そういう時ってありますよね。 何か、モヤモヤが続いて…あー!もう!どう…

慈音
3週間前

小悪魔男子S君

友人何人かでキャンプに行った時の話。 「モテ男」と一部に呼ばれているS君の、そう言われる理由が分かった。 S君、飄々としてる雰囲気が、何となくリリー・フランキー…

慈音
4週間前

旅行おじさん

お客さんで、旅行が好きな人がいる。 仕事は引退してるのか、楽しんで暮らしてる感じ。 私はこの旅行おじさんが好きで、来てくれると「旅行おじさーん!」と、懐く。 てか…

慈音
1か月前

もてない男の勘違い

最初に言っておこう。 もてない勘違い男は幸せ者である。何故なら頭の中お花畑だから。 接客業の私。お水ではない。物売る売り子。そこに客として来た、いかにも彼女いな…

慈音
1か月前
1

彼がバツイチ子持ちだと知った時

「彼氏が、バツイチ子持ちだった。」

いつものメンバーで飲んでたら、Aが、そう打ち明けた。
「そうなんだ。え、今知ったの?付き合って何年だっけ?」
「三年。三年も隠してたんだよ。もう許せない!」
「今時バツイチなんて珍しくないけどね。でも三年も黙ってたってのはね。」
「何かさ、時々"俺が凄い犯罪者だったらどうする?"って聞くから、何か隠してるな、とは思ってたの。人でも殺して前科とかあんのかな、って

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あなたの家のミイラ

「どしたの、それ。」

後輩が眼帯をつけてきた。

「兄貴と喧嘩したっす。」
「えー。大丈夫なの?目」
そう聞くと、後輩は、眼帯を取って見せてくれた。
目が真っ赤っ赤。周りが青いアザになってる。
「痛いす。」
「だろうね。眼医者行った?」
「いや、俺が言ってるのは、心の方す。心が痛いんすよ、はぁ。」
「…今日、仕事終わったらご飯でも行くか?」

そんなわけで、焼き鳥屋。
んで?心が痛いのってのは、

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不登校と誕生日プレゼント

そのお客さんは、夕方過ぎにやって来た。

どこかの会社のOLさんであろう。白シャツに膝丈スカート、黒のローパンプス。

店内を見渡して、キョロキョロしてる。
何か困ってるっぽいな。そう思って、すぐ近寄って行った。
「何かお困りの事ございましたら言って下さいね。」あ、やっぱ困ってるな。眉が8の字になってるもん。
「あのっ!」
「はい。」
「中学生の女の子の、誕生日プレゼントなんですけど。何をあげたら

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一生物って?

売り子として接客してて、絶対に言いたくないフレーズがある。

それは「一生物ですので。」

昔、バイト先に、ヴィンテージデニムに詳しい先輩がいた。
いつも、LEVI'S501xxを穿いていた。
それは、何年も貯金して、都内まで買いに行ったと言う代物だ。
「いー感じにアタリが出てるだろ?これ、俺の一生モンだからさ。」
と、鼻高々であった。

これも、少し昔。
学生時代の先輩が、ヴァンクリーフ&アーペ

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スピリチュアルな人になりそうだった

そのムーンストーンの指輪は、入荷したばかりだった。

入荷してから二週間経つと、私達売り子も買えるようになる。店員価格で買える。

初めて見た時から、その指輪が気になって仕方なかった。
少し透き通った、乳白色のムーンストーン。
光に当てると、ほのかに紫色に光る。
検品の時に着けてみたら、サイズがぴったりだった。

二週間、売れるか気になりながら過ごした。
時々、商品整理のふりして、また着けてみたり

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良薬、口に苦しのお客さん

接客が長くなった今でも、ふと思い出す、おじさまの話。

あれは接客をはじめてまだ日が浅い頃。
今より男性の物をメインに扱う店で働いてた時の事だ。
お客さんたちは優しいし、接客向いてんじゃん!と、自画自賛の日々を送っていた。

夕方来た、そのお客は、見るからに仕立ての良い、淡い色のスーツを着ていた。
年頃からいっても、かなり地位は上だと見えた。
お客様には、必ず、良かったらご試着できますので、と一言

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イケオジ必須三ヶ条

イケオジの話。

その人はお客さん。
年齢は、かなり上。
ルックスは、昔の俳優って感じの濃い目。
喋ってると、江戸っ子か?と思うくらい、さっぱりと小気味よい。

たまに女性とやって来て、プレゼントしてあげてる。
そしてその相手が時たま変わったり、また前の人になったり。
どの人、どの子も、とても綺麗だ。
同僚の間では、キャバ嬢だか愛人だか、何人抱えてんだろう、と密かに噂されている。

その日は一人で

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大人の素敵な女性

ある女性のお客さんの話。

その人は、うちの店に、たまにふらりと一人でやって来る。
私より年上と思われ、容姿と雰囲気が綺麗な人だなぁ、という印象。

その日もその人は、一人でやってきた。
そして帽子のブースに行って、一つ帽子を持って出てきた。
他の売り場を見ながら、また鏡に向かって帽子を被り、迷ってる様子。
その帽子の在庫がもう一つあったのを思い出し、出してきて声を掛けた。
「こちらのお帽子、手作

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学年一の美人が大人になると

中学の時、学年一の美人と持て囃されたKさんの話。

同じクラスのKさんは、誰がどう見ても美人であった。クラスの男子達は事あるごとにKさんKさんと周りを囲み、チヤホヤしていた。
「Kさんって昔の森高千里にそっくりじゃね!?」「Kさんってマジ綺麗だよね、こんな綺麗な子他にいないよね。」等々。
私はその中に好きな男子が混ざってたので、「あー、面喰いなのか。私はだめだ。」と思った。

ある休み時間、群れる

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パニック障害の友達

学生時代からの友達、Eちゃんは、パニック発作を持っている。
集まりに来られる時と来られない時があって、みんな「ドタキャンでもいいからね、来られるならおいで」と言っている。

そんなEちゃんからイベントの誘いが来た。市内の広場を貸し切って、農産物や食や雑貨や花のマルシェが行われるらしい。
私が以前、道の駅の田舎味噌や野菜が好きで買いに行ってる、と話したのを覚えてて誘ったと言う。
もちろん行くよ、と返

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未読の困ったちゃん

後輩から聞いた、困ったちゃんの話。

「慈音さーん、聞いて下さいよー」今日は他のメンバーが来られなくてサシになってしまった。聞くしかないじゃん。

「未読無視ってどー思います?10日ですよ?そんなに携帯触らない奴いねーし!あのですね、Мって子がいまして。もともとルーズだし、めんどくさがりでインスタもツイッターも何もしてないんですよ。ラインだけなのね。それはいーけど、そのラインもいっつも1週間くらい

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縁が切れる時

前は一緒にいて楽しかったのに、楽しくなくなっちゃった関係の話。

友達でも恋人でも家族でも、そういう時ってありますよね。
何か、モヤモヤが続いて…あー!もう!どうしたらいいの!ってぐちゃぐちゃな状態がしばらく続いて。
すると、きっかけとなる事が起こったり、もしくはフェード・アウトの流れになるにしろ、縁が切れますね。
二度と繋がらない縁もあれば、時間が経ち、ひょんなことでまた繋がる縁もあります。

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小悪魔男子S君

友人何人かでキャンプに行った時の話。
「モテ男」と一部に呼ばれているS君の、そう言われる理由が分かった。

S君、飄々としてる雰囲気が、何となくリリー・フランキーのような、ゆるふわ君。
みんなの輪の中でも、率先してふざけるでもなく、時々笑いながら静かに参加してるというスタンス。
陽キャでも陰キャでもない。

それは不意のアクシデント。
肉を焼いてたら、脂に火がついて炎が高く燃え上がった。日差しよけ

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旅行おじさん

お客さんで、旅行が好きな人がいる。
仕事は引退してるのか、楽しんで暮らしてる感じ。
私はこの旅行おじさんが好きで、来てくれると「旅行おじさーん!」と、懐く。
てか、お客におじさんって呼ぶか?って後輩に言われたけど、私にとっては客っていうより「好物来た!」って感じ。
旅行おじさんは、色んな国に旅行に行った話をしてくれる。
この間はアジアを回ったと言っていた。お土産にくれたドライ・フルーツが美味しかっ

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もてない男の勘違い

最初に言っておこう。
もてない勘違い男は幸せ者である。何故なら頭の中お花畑だから。

接客業の私。お水ではない。物売る売り子。そこに客として来た、いかにも彼女いない歴=年齢の男。いつものように、営業なので普通に喋った。
男は「元カノがこれ好きで」と言っていたが、嘘なのはすぐ分かった。
恋人が出来たことがない男からは、そういう雰囲気が漂っている。拭いきれない小心さ。まとってるコンプレックスの呪縛で、

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