「彼氏が、バツイチ子持ちだった。」 いつものメンバーで飲んでたら、Aが、そう打ち明けた。 「そうなんだ。え、今知ったの?付き合って何年だっけ?」 「三年。三年も隠…
「どしたの、それ。」 後輩が眼帯をつけてきた。 「兄貴と喧嘩したっす。」 「えー。大丈夫なの?目」 そう聞くと、後輩は、眼帯を取って見せてくれた。 目が真っ赤っ赤…
そのお客さんは、夕方過ぎにやって来た。 どこかの会社のOLさんであろう。白シャツに膝丈スカート、黒のローパンプス。 店内を見渡して、キョロキョロしてる。 何か困っ…
売り子として接客してて、絶対に言いたくないフレーズがある。 それは「一生物ですので。」 昔、バイト先に、ヴィンテージデニムに詳しい先輩がいた。 いつも、LEVI'S501…
そのムーンストーンの指輪は、入荷したばかりだった。 入荷してから二週間経つと、私達売り子も買えるようになる。店員価格で買える。 初めて見た時から、その指輪が気に…
接客が長くなった今でも、ふと思い出す、おじさまの話。 あれは接客をはじめてまだ日が浅い頃。 今より男性の物をメインに扱う店で働いてた時の事だ。 お客さんたちは優し…
イケオジの話。 その人はお客さん。 年齢は、かなり上。 ルックスは、昔の俳優って感じの濃い目。 喋ってると、江戸っ子か?と思うくらい、さっぱりと小気味よい。 たま…
ある女性のお客さんの話。 その人は、うちの店に、たまにふらりと一人でやって来る。 私より年上と思われ、容姿と雰囲気が綺麗な人だなぁ、という印象。 その日もその人…
中学の時、学年一の美人と持て囃されたKさんの話。 同じクラスのKさんは、誰がどう見ても美人であった。クラスの男子達は事あるごとにKさんKさんと周りを囲み、チヤホヤし…
学生時代からの友達、Eちゃんは、パニック発作を持っている。 集まりに来られる時と来られない時があって、みんな「ドタキャンでもいいからね、来られるならおいで」と言っ…
後輩から聞いた、困ったちゃんの話。 「慈音さーん、聞いて下さいよー」今日は他のメンバーが来られなくてサシになってしまった。聞くしかないじゃん。 「未読無視ってど…
前は一緒にいて楽しかったのに、楽しくなくなっちゃった関係の話。 友達でも恋人でも家族でも、そういう時ってありますよね。 何か、モヤモヤが続いて…あー!もう!どう…
友人何人かでキャンプに行った時の話。 「モテ男」と一部に呼ばれているS君の、そう言われる理由が分かった。 S君、飄々としてる雰囲気が、何となくリリー・フランキー…
お客さんで、旅行が好きな人がいる。 仕事は引退してるのか、楽しんで暮らしてる感じ。 私はこの旅行おじさんが好きで、来てくれると「旅行おじさーん!」と、懐く。 てか…
最初に言っておこう。 もてない勘違い男は幸せ者である。何故なら頭の中お花畑だから。 接客業の私。お水ではない。物売る売り子。そこに客として来た、いかにも彼女いな…
慈音
2024年6月24日 18:04
「彼氏が、バツイチ子持ちだった。」いつものメンバーで飲んでたら、Aが、そう打ち明けた。「そうなんだ。え、今知ったの?付き合って何年だっけ?」「三年。三年も隠してたんだよ。もう許せない!」「今時バツイチなんて珍しくないけどね。でも三年も黙ってたってのはね。」「何かさ、時々"俺が凄い犯罪者だったらどうする?"って聞くから、何か隠してるな、とは思ってたの。人でも殺して前科とかあんのかな、って
2024年6月22日 13:20
「どしたの、それ。」後輩が眼帯をつけてきた。「兄貴と喧嘩したっす。」「えー。大丈夫なの?目」そう聞くと、後輩は、眼帯を取って見せてくれた。目が真っ赤っ赤。周りが青いアザになってる。「痛いす。」「だろうね。眼医者行った?」「いや、俺が言ってるのは、心の方す。心が痛いんすよ、はぁ。」「…今日、仕事終わったらご飯でも行くか?」そんなわけで、焼き鳥屋。んで?心が痛いのってのは、
2024年6月20日 16:17
そのお客さんは、夕方過ぎにやって来た。どこかの会社のOLさんであろう。白シャツに膝丈スカート、黒のローパンプス。店内を見渡して、キョロキョロしてる。何か困ってるっぽいな。そう思って、すぐ近寄って行った。「何かお困りの事ございましたら言って下さいね。」あ、やっぱ困ってるな。眉が8の字になってるもん。「あのっ!」「はい。」「中学生の女の子の、誕生日プレゼントなんですけど。何をあげたら
2024年6月18日 16:40
売り子として接客してて、絶対に言いたくないフレーズがある。それは「一生物ですので。」昔、バイト先に、ヴィンテージデニムに詳しい先輩がいた。いつも、LEVI'S501xxを穿いていた。それは、何年も貯金して、都内まで買いに行ったと言う代物だ。「いー感じにアタリが出てるだろ?これ、俺の一生モンだからさ。」と、鼻高々であった。これも、少し昔。学生時代の先輩が、ヴァンクリーフ&アーペ
2024年6月17日 15:02
そのムーンストーンの指輪は、入荷したばかりだった。入荷してから二週間経つと、私達売り子も買えるようになる。店員価格で買える。初めて見た時から、その指輪が気になって仕方なかった。少し透き通った、乳白色のムーンストーン。光に当てると、ほのかに紫色に光る。検品の時に着けてみたら、サイズがぴったりだった。二週間、売れるか気になりながら過ごした。時々、商品整理のふりして、また着けてみたり
2024年6月15日 00:14
接客が長くなった今でも、ふと思い出す、おじさまの話。あれは接客をはじめてまだ日が浅い頃。今より男性の物をメインに扱う店で働いてた時の事だ。お客さんたちは優しいし、接客向いてんじゃん!と、自画自賛の日々を送っていた。夕方来た、そのお客は、見るからに仕立ての良い、淡い色のスーツを着ていた。年頃からいっても、かなり地位は上だと見えた。お客様には、必ず、良かったらご試着できますので、と一言
2024年6月12日 23:01
イケオジの話。その人はお客さん。年齢は、かなり上。ルックスは、昔の俳優って感じの濃い目。喋ってると、江戸っ子か?と思うくらい、さっぱりと小気味よい。たまに女性とやって来て、プレゼントしてあげてる。そしてその相手が時たま変わったり、また前の人になったり。どの人、どの子も、とても綺麗だ。同僚の間では、キャバ嬢だか愛人だか、何人抱えてんだろう、と密かに噂されている。その日は一人で
2024年6月11日 11:40
ある女性のお客さんの話。その人は、うちの店に、たまにふらりと一人でやって来る。私より年上と思われ、容姿と雰囲気が綺麗な人だなぁ、という印象。その日もその人は、一人でやってきた。そして帽子のブースに行って、一つ帽子を持って出てきた。他の売り場を見ながら、また鏡に向かって帽子を被り、迷ってる様子。その帽子の在庫がもう一つあったのを思い出し、出してきて声を掛けた。「こちらのお帽子、手作
2024年6月9日 23:17
中学の時、学年一の美人と持て囃されたKさんの話。同じクラスのKさんは、誰がどう見ても美人であった。クラスの男子達は事あるごとにKさんKさんと周りを囲み、チヤホヤしていた。「Kさんって昔の森高千里にそっくりじゃね!?」「Kさんってマジ綺麗だよね、こんな綺麗な子他にいないよね。」等々。私はその中に好きな男子が混ざってたので、「あー、面喰いなのか。私はだめだ。」と思った。ある休み時間、群れる
2024年6月7日 23:53
学生時代からの友達、Eちゃんは、パニック発作を持っている。集まりに来られる時と来られない時があって、みんな「ドタキャンでもいいからね、来られるならおいで」と言っている。そんなEちゃんからイベントの誘いが来た。市内の広場を貸し切って、農産物や食や雑貨や花のマルシェが行われるらしい。私が以前、道の駅の田舎味噌や野菜が好きで買いに行ってる、と話したのを覚えてて誘ったと言う。もちろん行くよ、と返
2024年6月4日 23:56
後輩から聞いた、困ったちゃんの話。「慈音さーん、聞いて下さいよー」今日は他のメンバーが来られなくてサシになってしまった。聞くしかないじゃん。「未読無視ってどー思います?10日ですよ?そんなに携帯触らない奴いねーし!あのですね、Мって子がいまして。もともとルーズだし、めんどくさがりでインスタもツイッターも何もしてないんですよ。ラインだけなのね。それはいーけど、そのラインもいっつも1週間くらい
2024年6月4日 00:10
前は一緒にいて楽しかったのに、楽しくなくなっちゃった関係の話。友達でも恋人でも家族でも、そういう時ってありますよね。何か、モヤモヤが続いて…あー!もう!どうしたらいいの!ってぐちゃぐちゃな状態がしばらく続いて。すると、きっかけとなる事が起こったり、もしくはフェード・アウトの流れになるにしろ、縁が切れますね。二度と繋がらない縁もあれば、時間が経ち、ひょんなことでまた繋がる縁もあります。ど
2024年6月2日 00:22
友人何人かでキャンプに行った時の話。「モテ男」と一部に呼ばれているS君の、そう言われる理由が分かった。S君、飄々としてる雰囲気が、何となくリリー・フランキーのような、ゆるふわ君。みんなの輪の中でも、率先してふざけるでもなく、時々笑いながら静かに参加してるというスタンス。陽キャでも陰キャでもない。それは不意のアクシデント。肉を焼いてたら、脂に火がついて炎が高く燃え上がった。日差しよけ
2024年5月30日 22:55
お客さんで、旅行が好きな人がいる。仕事は引退してるのか、楽しんで暮らしてる感じ。私はこの旅行おじさんが好きで、来てくれると「旅行おじさーん!」と、懐く。てか、お客におじさんって呼ぶか?って後輩に言われたけど、私にとっては客っていうより「好物来た!」って感じ。旅行おじさんは、色んな国に旅行に行った話をしてくれる。この間はアジアを回ったと言っていた。お土産にくれたドライ・フルーツが美味しかっ
2024年5月29日 01:35
最初に言っておこう。もてない勘違い男は幸せ者である。何故なら頭の中お花畑だから。接客業の私。お水ではない。物売る売り子。そこに客として来た、いかにも彼女いない歴=年齢の男。いつものように、営業なので普通に喋った。男は「元カノがこれ好きで」と言っていたが、嘘なのはすぐ分かった。恋人が出来たことがない男からは、そういう雰囲気が漂っている。拭いきれない小心さ。まとってるコンプレックスの呪縛で、