小悪魔男子S君

友人何人かでキャンプに行った時の話。
「モテ男」と一部に呼ばれているS君の、そう言われる理由が分かった。

S君、飄々としてる雰囲気が、何となくリリー・フランキーのような、ゆるふわ君。
みんなの輪の中でも、率先してふざけるでもなく、時々笑いながら静かに参加してるというスタンス。
陽キャでも陰キャでもない。

それは不意のアクシデント。
肉を焼いてたら、脂に火がついて炎が高く燃え上がった。日差しよけのテントの屋根まで届く勢いで、みんなが慌てた。もちろん私も慌てた。
そんな中、一人S君は、鍋の蓋と、洗い終わった鍋を拭く用の布巾をとっさに濡らして、さっさと処置した。
まわりに「…S、お前すげーな」と言われても「え?何が??」と全く分かってない様子。
「冷静じゃん!俺マジびびったんだけど!」「そんなに驚く事?あ、もう食べれるよー」さっきの機敏な反応はどこへやら、いつもの、のんびりS君。良かった良かったと、また飲み始める男子達。しかし私は見たよ。S君に目がハートの女子達を!

そして無事食べ終わり、お片付け。
S君と近くで話してたら、急に心配そうな顔したS君が私にうんと近づいてきた。「まつ毛ついてる、目に入っちゃうよ」そう言ってそっと私の顔に触れた。「ほら」と取ったまつ毛を見せるS君はほっと安堵の顔をした。
私は思った。「て、天然だ!」他の女子だったら恋に落ちてるね。私はすれてるのでキュンとはこないが、これがいわゆる小悪魔男子?

容姿に恵まれてるのはもちろんだが、照れるようなことも自然とできてしまう。そして本人に下心があるのかないのかは分からんが、こちらには全く感じさせず。

しかしS君、完全な猫系男子でもあるらしい。以前S君と少し良い仲だった子が「何で来てって頼んでるのに嫌だって言うー!」ってシャウトしてるのを聞いた。
キャンプの件があって「そりゃー言う事聞かないだろーね」って思った私。
本当の天然さんは頑固なんだよなー。

というわけで、天然ゆえ真似できないモテでした。男子は何の参考にもならず。ただの観察日記になってしまった。
ま、いっかー。


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