学年一の美人が大人になると

中学の時、学年一の美人と持て囃されたKさんの話。

同じクラスのKさんは、誰がどう見ても美人であった。クラスの男子達は事あるごとにKさんKさんと周りを囲み、チヤホヤしていた。
「Kさんって昔の森高千里にそっくりじゃね!?」「Kさんってマジ綺麗だよね、こんな綺麗な子他にいないよね。」等々。
私はその中に好きな男子が混ざってたので、「あー、面喰いなのか。私はだめだ。」と思った。

ある休み時間、群れるのがかったるくてベランダにいた。そしたら仲良い男子が寄って来て「なーなー、高木ってバカなんだぜ。すっげー真剣な顔で"ここだけの話な"って超溜めてさ"……実は、Kさんには好きな人がいるらしい!"だってー。そんなこと溜めて言うなよな、バッカでー。」そう言ってゲラゲラ笑ってる。
「え?Kさんはあんたらの好きな人なんでしょ。あんなに毎日騒いでるから一大事と思って、高木は知らせたんじゃん。」そしたらピタリと笑いが止まり、「は?お前俺らが本当にKさんを好きだと思ってるわけ?」「違うの?」「…あのなー、お前だから教えてやるけど、俺ら本当に好きな子は違うし。本命とちゃんと付き合ってる奴もいるよ。あいつとあの子とかー…」と教えてくれた女の子の方は、特別美人でもない、笑顔がチャーミングさんって感じの子だった。
「Kさんの事本当に好きな奴なんてあいつとあいつくらいだよ」って言った二人の中の一人が私の好きな男子だったので、心底がっかりした。
しかし。本命はちゃんといて、ちやほやは、その対象じゃないんだ、男子達もただのバカではないのだな、と少し男子達の見方が変わった。

まぁ、それでも美人な事には変わりないKさん。高校は別だったけど、◯◯高校にすごい美人な子がいる、と言う噂はうちの学校まで回ってきたほどである。

そしてここからが言いたかった話。

二十歳も過ぎて社会人になってすぐの頃、スーパーでKさんを見た。
びっくりした。
ヒラヒラしたレースの付いた、どこで買ったの!?と問いたくなる長い花柄チュニックと、スキニーデニム。化粧っ気のない顔だが、よく見るとメイクしていて、チークだけがやたらとくっきり浮いて見える。チークが濃いけど、髪の毛は寝癖のあるまま一つに縛って、セットはしていない。そして何より生活臭の漂うKさんは、以前の様な美人の人ではなくなっていた。
確か二十歳過ぎてすぐ結婚したと噂で聞いていた。
子供もいるのであろうか。夕飯の献立を考えて買い物していると思われるKさんは、学年一のとびきりの美人の面影は一ミリもない、センスとメイクテクのない、ただのスーパーの客だった。

今学生で「私は可愛くないから一生モテないし、彼氏とかできないかも」と思っている子がいたら教えてあげたい。大人になると、学生の時と世界が変わるよ。と。
学生の時は、男子もギャーギャー騒ぎたいだけで、本命は違うらしい。
けど、思春期にそんな分かりやすく美人とそうでない方、と区別されたら、女の子は大人になってもそれを引きずる。

でも美人じゃなくても、愛嬌のある子や、何かちょっと男心をきゅっと掴める子がモテるんだ。
ファッションセンスやメイクテクを磨いて、冴えないはずのあなたは見違えるほど素敵になる。

モテなくても一人に愛されればいいと思うが、少しモテた経験もした方が、女の自信が付くのも確かだ。

モテてる子を羨ましがる必要はない。拗ねたりしなくていい。
感性を磨いて、お願いだから、あんなヒラヒラしたチュニックは着るな!

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