マガジンのカバー画像

ソーのnote好きな小説まとめ

41
とりあえず、分野にこだわらず、好きな物を集めた
運営しているクリエイター

記事一覧

インナージャーニー【Day78】 本当にほしかったもの

インナージャーニー【Day78】 本当にほしかったもの

昨日から
胸にモヤモヤが鎮座して
何気にちょっとずつ
増幅している。

一昨日
12月8日の満月に
自分の内側で起きた事件で
現実逃避期間は終了。

そして昨日
エージェント等に連絡して
一気に行動を起こしたのだが
どれも肝心な返事が来なくて
かなりイラッとしている。

この感覚、感情は
いったい私の中の何について
訴えているのだろう?

私はかなり
行動力がある方だと思う。

そして
自分の頭で

もっとみる
【散文】日が暮れると安心する症候群2

【散文】日が暮れると安心する症候群2

地を這っていたい私に
「どうして飛ばないの?
空はこんなに素敵なのに!」
と無邪気に笑いかける
圧倒的に正しい者たちの声
その声が煩すぎて
私は地に潜ってしまいたくなるのです

失敗者の叫びなんて
誰も聞いちゃいない

愛を教わらなかった子供が生み出せるのは
せいぜい愛もどき

他人を羨んで腹を立てたりしないけど
他人を羨んでるんだろうな、
と思われていることに腹が立つのです

私でごめんなさい

もっとみる
【詩】そのまままつげ/あるよ

【詩】そのまままつげ/あるよ

そのまままつげまつげはくるんと上向きがいい
なんて
誰が言い出したのだろう

毎朝ビューラーで
必死にはさんで上げる
私のまつ毛は

それでも
夜には必ず下を向いてるというのに
下を向きたい、とこんなにも
主張しているのに!

今朝は下向きのまつ毛に
そのままマスカラを塗った

なんだ
フツーにかわいいじゃないか
今までごめんね

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆

あるよ「翼があればよかっ

もっとみる
【散文】日が暮れると安心する症候群

【散文】日が暮れると安心する症候群

良い大人であろうとしたけれど
私の中のダメな子どもがひょいと顔を出した

片付けても片付けても
僕以外のところから
次々ゴミが湧いてきて
もうどうしようもなく
全てが虚しくなったんだ

家族団欒を否応なく見せつける
盆と正月が大嫌いだった

鳴かぬならいらない
ホトトギス

糸はプツンとわかりやすい音を立てて
切れたりしない
気付いた時にはもうなくなってるんだ

ケガがきちんと治るまで
キズパワー

もっとみる
【小説】遠いみち①

【小説】遠いみち①

昭和29年春――。

 このところ、お向かいの寺の桜が盛んに散ったから、狭い路地のあちらこちらが桃色に染まっている。時折り渡る風も随分、温かくなった。次の雨できっと、残りの花も散ってしまうのだろう。枝からは、わずかに緑の新芽が顔を出していた。

「和ちゃん、ちょっと⋯⋯」

 表を掃いていた私は、姉さんに呼ばれて「はい」と返事をした。

 箒と塵取りを手にしたままお勝手に回ると、「こっちぃ、おいで

もっとみる
【掌編小説】最後の花火が打ち上がる#夏の香りに思いを馳せて

【掌編小説】最後の花火が打ち上がる#夏の香りに思いを馳せて

(読了目安3分/約1,400字+α)

「じゃあ大樹、コーラ3つな」

 じゃんけんで負けた僕は諦めて立ち上がる。スマホを見ると花火まであと10分しかない。人の間を縫うようにして土手を抜けると、ドリンクの出店を探す。

 花火まで時間が無いからか人々は足早に店の間を行き来する。

 その流れに似合わずゆったりと歩く、朝顔柄の浴衣を着た女性がいた。結いあげた髪は出店の照明で茶色く、うなじが白く輝いて

もっとみる
【1話完結小説】どうもこうも押すよね

【1話完結小説】どうもこうも押すよね

リセットボタンがあれば君は押すかな
口うるさくて面白みのない両親
君にレッテルを貼る先生
偉そうに上から目線の友達
君を縛り付ける窮屈な世界の中で

リセットボタンがあれば君は押すかな
愛に溢れた理解ある両親
君の個性を認めてくれる先生
助け合える優しい友達
君が毎日笑ってる世界を求めて

リセットボタンがここにあるけど
君はどうする?
もし押すのなら君は目の前の僕も
消すことになるんだ
君がどう

もっとみる
【1話完結小説】休日の洗濯物

【1話完結小説】休日の洗濯物

晴れた休日の朝。
光の中で揺れる洗濯物を見るのが好きだ。

汚れと一緒に慌ただしい平日のしがらみもすっきり洗い落とされたかのようなブラウスやスカートやタオル。
時おり気持ちいい風が吹き抜けて、踊るようにゆらゆら揺れる。
柔軟剤のいい香りがあたりにふわふわ漂う。
今週も一週間お疲れ様。
やっと楽しい休日が始まるよ。
思い切り羽を伸ばそうね。
…それはそうと柔軟剤、変えたのかな?
僕は先週までのフロー

もっとみる
【詩】月時雨‥Tsukisigure        

【詩】月時雨‥Tsukisigure        

 

*・☪:.。

                 *・☪:.。

あなたも知らない
わたしの涙

あなたに見せない
わたしの涙

月明かりだけが
知ってるの

人知れず流す
涙のその理由(わけ)も

誰にも言わない
誰にも見せない

夜の秘め事
月時雨‥。

お月様だけに
話せること

眠りにつくその前に

月明かりにそっと
打ち明ける

胸に秘めた心の音を
ひとり抱えるのは
つらいから‥

もっとみる
水鏡の向こう側

水鏡の向こう側



 豪雨が山間の温泉街を襲った翌日、私は大きな水溜まりの前で感嘆の声をあげた。

 剥げたオレンジ色の屋根の喫茶店は、前に大きな窪地があり、大雨が降ると、いつも直径が何メートルもの大きな水溜まりができる。

 空を見上げると綿あめのような高積雲。それは、水溜まりが作る水鏡に映り込み、店の屋根と仲良く並んで、退屈な街の景観を補ってくれる。水がそよ風に揺れ、微かに歪んだ雲と、その空とは異なる色彩は

もっとみる
【ショートショート】ショートショート王様#毎週ショートショートnote

【ショートショート】ショートショート王様#毎週ショートショートnote

「勅令である」

 直方体のたらこ唇から、厳かに告げられる。

 白と青のツートンの正体を誰も知らない。かにを自称するそれは、小さなヒレをパタパタと動かす。

 日曜日、王様がショートショートのお題を出す。国民はみな一週間以内に上納品を提出するのだ。

 血眼になって走り回り、ネタを捕まえ、磨きをかける。

 ネタが見つからない国民は悲惨だ。浮浪者のように彷徨い「アラヤダあの子、まだ上納できないの

もっとみる
視線の先|#夏ピリカ応募

視線の先|#夏ピリカ応募

 山形から東京の高校に転校した初日から、僕の視線の先は彼女にあった。

 一番前の席で彼女は、僕が黒板の前で行った自己紹介には目もくれず、折り畳み式の手鏡を持ち、真剣な顔で前髪を直していた。そのことが気になって、彼女の様子を観察してみる。休み時間になる度、彼女は不器用そうに手鏡を開く。自分の顔と向き合い、たまに前髪を直す。何度か鏡の中の彼女と目が合ったような気がする。鋭い目つきで少し怖い。隣の席の

もっとみる
4年ぶりの通学路(後編)|#夏の香りに思いを馳せて

4年ぶりの通学路(後編)|#夏の香りに思いを馳せて

                    前編→
 気がついたら、教育実習も終わりに近づいていた。7月が目の前に来ている。教育実習が終わったら、確かすぐに期末テストになると聞いていた。『七夕飾りに、みんなのテストの結果が良いものでありますように…と、願いを書こうかな。』そう考えて、ある日帰り道途中で駅前の花屋に寄り笹を、文房具屋で折り紙を買って帰った。自転車の前かごで笹の葉がワサワサと揺れている。な

もっとみる
星とハンス|#夏ピリカグランプリ

星とハンス|#夏ピリカグランプリ

ハンスはときどき、夜中に家を抜けて草原に行き、寝っ転がって星をながめるのが好きだった。

両親はハンスが幼い頃に亡くなっていた。祖父母に育てられたが、その祖父母も亡くなって数年経つ。だから、夜中に家を出て、草原で夜明かししても誰にも怒られない。「今日は冷えるな。」と、自分で自分の体のことを注意するくらいだ。

「今夜も星がきれいだ。」

昼間、大工の親方に「お前は何でそんなに不器用なんだ。」と叱ら

もっとみる