水深800メートルのシューベルト|第883話
(ゲイルさんは)苦々しい顔をしていたが、本気で叱っているような表情ではなかった。僕を原子力潜水艦に乗せたことを後悔しているのかもしれない、そう思った。ここに配属されるようになったのは、きっとゲイルさんの働かいかけだろう。彼を久し振りに艦内で見かけた時も、彼に驚いた様子はなかった。士官とはいえ、一軍医に誰が同じ艦に乗り込むかといった情報がもたらされることはないだろう。となると、ゲイルさんが裏でクリストファー艦長か誰かに推薦したのだろう。そして、僕はここの主計官として採用された。