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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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水深800メートルのシューベルト|第1話

       第一部        (1)  ドンッ!   ロバートに胸ぐらを掴まれ、居住…

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水深800メートルのシューベルト|第1051話

艦は動いていないはずなので揺れや傾きで落ちる心配はないと、下層に続くラッタルでは手擦りも…

吉村うにうに
22時間前
6

水深800メートルのシューベルト|第1050話

 ソナーマンのタイロンと通路ですれ違った時に、水面の艦艇について訊いたが、彼は首を振った…

5

水深800メートルのシューベルト|第1049話

 状況を知りたいというのは、僕だけではなくロバートやドビー兵曹長といった水兵や下士官達も…

6

水深800メートルのシューベルト|第1048話

 寝台室のハッチの前で、ロバートと別れ際に、彼は欠伸をしながら言った。 「やっと少しは眠…

9

水深800メートルのシューベルト|第1047話

 ロバートは二人が居なくなると、陽気な声で話しかけてきた。 「な? 行き当たりばったりの…

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水深800メートルのシューベルト|第1046話

「技術上話せない事もあるが、これは言ってもいいかな。ちょっとしたトラブルがあって浮上した方が安全なのだが……、上に船舶があるとソナーからの報告があったのだよ。それはどこかの艦艇かもしれないし、民間の船舶かもしれない。ただ、事前の識別情報にはなかった船だからね。だから、メインタンクブロー(注:タンクから海水を排出して浮上する事)を中止して潜航に戻ったんだよ」 「中国の船ですかね?」  ロバートがおもねるように尋ねた。艦長は首を傾げた。 「わからん。だが、浮上するわけにはいかな

水深800メートルのシューベルト|第1045話

 彼は、ここでしっかりと否定しておかないと、水兵達が反乱を起こすかもしれないと考えている…

3

水深800メートルのシューベルト|第1044話

「原子炉が止まったのは本当でしょうか?」  ロバートがおずおずと尋ねた。その時、迷ってい…

7

水深800メートルのシューベルト|第1043話

「すぐに追い払います」  それを聞いて艦長はロバートの方へ首を巡らせた。ロバートはという…

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水深800メートルのシューベルト|第1042話

「ちぇ、命令ですか」  ロバートの皮肉っぽい言い方が合図になったように、再びハッチが開き…

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水深800メートルのシューベルト|第1041話

「お前、気が小さいなあ。こんな深海で怯えても仕方ないだろう。敵の攻撃じゃねえよ。きっと大…

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水深800メートルのシューベルト|第1040話

「心配するな、さっきのエンジニア捕まえて訊いたら、そう答えやがったんだよ。今はバッテリー…

5

水深800メートルのシューベルト|第1039話

 前の方で壁にしがみついていたロバートは、ノーマン中尉に続いた男のひとりの袖を引き、何かを話していた。引き留められた男は早口でまくし立てると、ロバートの手を振り解くような仕草をして、足早に去った。  ロバートは、僕の方を見ると、舌打ちしながら歩み寄って来た。 「アシェル、すげえぞ。原子炉緊急停止だとよ」  その言葉は胸に重く響いた。これが止まってしまうという事は……。電源が尽きるという事なのだろうか。だったら浮上しなければ。恐怖に駆られた僕は「な、なあロバート」と助けを求