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水深800メートルのシューベルト|第1000話

あそこで同僚にはギャング呼ばわりをされ、教官には散々怒鳴りつけられながら、延々と続く体力強化と基礎訓練に明け暮れた日々……。どうして学費のためにあんな所を選んだのだろう。しかし、パパのように食肉解体のような危ない仕事や、お婆ちゃんのようにハンバーガーのレジに立つこともなく、ユースレスの僕でも給料が貰える仕事に就けているのは、あの辛さがあったからだと、思い直した。


「教官には、海上勤務者の誰かが就かなければ意味がない。それは事実です」
 大尉は続けて言った。
「しかし、海軍には、海が大好きで艦隊勤務を希望する人間がいる一方、どちらかというと陸軍の泥臭い勤務が嫌いで海軍の地上勤務のような方が安寧な生活を送れるという消極的な人間がいます。私も、いまでは後者の立場に近いので、否定はしませんが……」


 その表情には、もう苦労はこりごりといった諦めの笑みが見えた。

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