水深800メートルのシューベルト|第1003話
「でも……、いくら久し振りの海だからといっても……」
その時、グラッと足元が揺れた。全部のバラストに海水が注入されたのだ。大尉の予言通り、ここは上り坂になった。よろめきそうになったが、心の準備ができていたので、足を後ろに一歩踏み込むだけで体を支えられた。早い段階で後方まで通り抜けておいて良かったと思った。もっとも、艦の大きさからして、それほど長いスロープにはならないので、ロバートのような筋肉自慢の男が見たら、坂があろうとなかろうと大差ないと笑うだろう。
僕と大尉は備品この前で互いに向かい合って近くの配管にもたれていた。彼は、周囲を見渡して言った。
「彼は、その肩に一つの星が見えかかっているでしょう?」
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