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水深800メートルのシューベルト|第1006話

「ま、艦長の性質がわかったからといって、私の仕事は変わらないがね」
 僕が黙って曖昧に頷いていると、照れたように笑った。


 艦長の良くない噂を耳にした事を思い出した。護衛艦の勤務時代に、事故を起こしそうになって地上勤務に回されたというものだ。リクルートキャンプがそれかもしれない。この士官なら事情を知っているかもしれないが、知ったところで意味をなさないだろう。もう逃げられない空間に一緒なのだから。


 大尉は振り向いて、箱をひとつ取ると僕に手渡した。
「スロープが戻ったら、ドビーに届けてやるといい」
 それは支給品のベルトだった。彼は立ち上がり、今まで座っていた机の上に書類を載せた。
「さてと、備品の台帳でもつけておこうかねえ」

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