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エッセイらしきものばかり

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何がエッセイなのかよく分かっていない人が書いたエッセイらしきものです。
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2022年6月の記事一覧

大人になったわけではない

 小学校1年生の頃、6年生が随分と大人に見えました。でも、いざ自分が6年生になってみますと、外見はともかく、中身は小学1年生の自分が色濃く残っているんです。精神とはこんなに成長しないものかと驚いたものです。

 それから中学生になり、高校生になり、大学生になり、社会人になり、節目節目で同じような驚きを繰り返し経験してきました。社会人になった辺りでいよいよこう思うようになりました。「あ、これは死ぬま

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輪廻転生三国志

輪廻転生三国志

 私はやったことがないんですけど、歴史シミュレーションゲームというものがあるわけです。日本の戦国時代や中国の三国志など歴史上実在した土地や国や人物を用いて、いわゆる国盗り合戦をやるゲームです。ただし、ゲーム内では史実に沿った結果にする必要はなく、歴史を覆すような現象をいくらでも起こしていいようになっています。ゲームによってはオリジナルの武将を制作でき、史実の武将と一緒に国を立ち上げて戦地を暴れ回る

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焼き鳥10本のテンション

焼き鳥10本のテンション

 友人がスーパーで使える4000円分のクーポン券をゲットしたんです。早速、友人はそのクーポンをフルに使って、4000円分のクルミに交換してもらったんです。4000円ともなると結構な量なんです。友人がでかい袋につまったクルミを自宅で眺めてホクホクしていると、弟にこう言われたそうです。

「あつ森かよ」

 確かに、お金と大量の木の実をやりとりする様子は「あつまれ どうぶつの森」っぽいかもしれません。

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変なことを言うと、変なことを言われやすくなる

変なことを言うと、変なことを言われやすくなる

 会話では通常、相手の言葉を受けて何か言うものです。あえて書くことでもありません。何らかの形で意思疎通ができる人ならば自然と理解しているものです。

 これはつまり、会話に参加している誰かが変なことを言い出したら、話題が変な方向に吹っ飛ぶ可能性がグッと上がることを意味します。漫才だったら、変なことをばかり言う「ボケ」に対して話題の軌道修正を図る「ツッコミ」がいるため、うまい具合に話が進んでいくわけ

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のんきな血族

のんきな血族

 もう15年以上前の話ですが、母方の祖父が亡くなったんです。前々から病気だったので覚悟はしていました。急いで地元に戻りまして、お通夜からお葬式まで手伝い、慌ただしい中、どうにか式を終えることができました。

 骨壺は四十九日まで祖父の自宅へ置いておくとして、とりあえず骨壺を収める予定のお墓を確認することとなりました。重々しい石の蓋を開けると一同が「あっ」と声をあげました。骨壺を収める空間に水がなみ

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卒論提出の最終手段

卒論提出の最終手段

 卒業するために論文を課している大学は多いことでしょう。いわゆる卒業論文です。実験や研究をまとめ、それをもとに論文を書き上げ、担当教官に提出する。そこまで辿り着ければ、ふざけた論文でも書かない限りは卒業式への参加を許されます。

 しかし、どういうわけかどこの世界にも制限時間ギリギリを狙って提出する人がいるんです。中には1秒の遅れが卒業か留年かの分かれ目になりかねない人もいるとか。卒業提出でどうし

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チーバくんを探せ

チーバくんを探せ

 千葉県に住んでいる友人が職場に張り出すポスターを作ることになりました。「電気を節約してください」みたいな従業員に呼びかける系のやつです。せっかくならキャラクターを使いたいと思い、友人は千葉県のマスコットである「チーバくん」を使うことにしました。商用でないため無償でガンガン使えるのが主な採用ポイントだったそうです。

 どうせ無償だからと、チーバくんをポスターいっぱいに拡大して使ったそうです。その

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挫折の果てに小さなRPGを完成させた話

挫折の果てに小さなRPGを完成させた話

 何かを続けるのは大変です。つらく大変なことはもちろん、楽しいことでさえ大変なんです。

 RPGツクールというシリーズがあります。画像や音楽、戦闘システムなど、あらかじめ用意されたものを組み合わせてオリジナルのRPGが創れるというゲームで、今年には最新作が出る予定なんだそうです。

 私が中学生をしていた頃、RPGツクールが初めて家庭用ゲーム機で発売され、かなり流行していました。当時は子供たちの

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サブタイトルの混沌と秩序

サブタイトルの混沌と秩序

 以前、ここで「超人バロム・1」という作品のサブタイトルがおかしいのに誰もいじってなかったため、僭越ながらいじらせていただきました。

 そしたら、昔のアニメや特撮に詳しい友人から「こんなのもあるよ」と2つの作品を教えてくれました。ひとつ目は「緊急指令10-4・10-10」です。1972年に放送された作品です。

 「10-4・10-10」は「テンフォー・テンテン」と読みまして、無線で使う用語とな

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しかたなく心霊スポットに

しかたなく心霊スポットに

 心霊スポットに興味はあるんです。興味は。行く勇気はありませんので、いつも調べるだけで終わっています。どこがヤバいとか、どんな噂があるのかとか、調べて読んで恐怖して終わりです。

 そして、たまに気になるんです。私とゆかりのある場所に心霊スポットはあるのか。例えば出身地とか、いま住んでいるところとかに、そういういわくつきの場所があるのか。これがあるんです。私は初めて聞いたんですが、実家のそばには地

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不老不死くらいじゃ杞憂はなくならない

不老不死くらいじゃ杞憂はなくならない

 人の心配は理屈ではないという事実を「取り越し苦労」によって知るわけです。あれが起きたらどうしよう、こうなったらどうしよう。いろいろ心配するんですが、多くは起こらない。じゃあ、安心していいのかと申しますと、なかなかそうはいきませんで、世の悲劇は大体不意打ちです。予想もつかないところから飛んでくる。だから、人は心配せずにはいられない。

 それでもやっぱりそれはいらん心配だぞ、と誰かは言います。もう

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幽霊に塩

 対幽霊のアイテムとしてよくあげられるもののひとつに塩があります。お清めみたいなイメージがあるからでしょうか。怖い話でも塩はしばしば登場しますし、ネットを軽く検索すると「除霊のための塩は食塩でもいいのか」という質問から「実は塩は逆効果」なんて逆張りさんまでいて、幽霊に効くかどうかはともかく、幽霊を語る人たちは塩に関してもよく語っているようです。

 ただ、ふと思ったんです。仮に幽霊が塩を苦手として

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嫌いなものを増やす記憶

嫌いなものを増やす記憶

 多くの人には嫌いな食べ物が存在します。嫌いになった理由にはいろいろあるようです。味が嫌い、においが嫌だ、食べるとアレルギー反応が出る、といった、物理的な理由で嫌う人はもちろんいらっしゃるでしょう。

 一方で、精神的な理由で嫌いになる人もいます。見た目が気持ち悪い、などの他に、その食べ物に関して嫌な思い出があり、それで食べられなくなる場合も存在します。例えば、私は子供の頃に腐って道路でグチャグチ

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金塊泥棒を予言した

金塊泥棒を予言した

 もう何年も前に友人ととある博物館に行ったんです。何しろ博物館を名乗ってる施設ですから、いろんな歴史的物体が展示してありました。

 中でも一際目を引いたのが金塊です。大きめのティッシュ箱くらいありまして、来館者は普通に触れるようになっていました。ただし、当然ながら金塊は持っていけないよう、台にガッチリと固定してありました。防犯カメラもひとつやふたつじゃありません。

 そりゃそうかと思いながらと

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