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卒論提出の最終手段

 卒業するために論文を課している大学は多いことでしょう。いわゆる卒業論文です。実験や研究をまとめ、それをもとに論文を書き上げ、担当教官に提出する。そこまで辿り着ければ、ふざけた論文でも書かない限りは卒業式への参加を許されます。

 しかし、どういうわけかどこの世界にも制限時間ギリギリを狙って提出する人がいるんです。中には1秒の遅れが卒業か留年かの分かれ目になりかねない人もいるとか。卒業提出でどうして短距離走並みにシビアな時間管理を求められるレベルまで追いつめられるのかは理解しかねますが、とにかくそういう人がいるんだそうです。

 そういう人たちは、当然、担当教官の部屋まで卒論を持ってダッシュします。慌ただしい足音を察知した担当教官の教授はドアを開けて廊下に出て、腕時計で時刻を確認し、カウントダウンをしながら学生を待ちます。

 普通は間に合うように計画して提出までこぎつけるんです。でも、ダッシュしている方々は1秒の遅れが今後の人生を大きく左右するような提出の仕方をするタイプなんです。卒論が教授の手へ渡る直前に提出期限の時刻を過ぎてしまう場合もある。そんな超ギリギリの状況になった場合、毎年のように学生が取る最終手段があります。投擲です。論文を投げるんですね。

 いつ誰によってどんな理由で定められたルールかは分かりませんが、提出期限の時刻までに論文が教授の部屋に入っていたら、教授は論文を受理することになっているようです。そのため、時刻を確認しながら廊下に立つ教授は、自分の部屋のドアを開けっ放しにしておくそうです。投擲ウエルカムの体勢なわけですね。

 当然、ギリギリタイプの学生側も先輩からの情報等で事前に分かってますから、ダッシュしながらも論文を投げやすい形に加工します。論文なのに読みやすい形に加工するんじゃないんですね。ええ、受理されなければそもそも読まれないんですから賢明な判断です。投げやすい形は主に2パターンに分かれるそうです。筒状にして突き刺すように投げる「槍投げ型」と球状に丸めて投げる「つぶて型」です。

 ソフトボールや野球など、クラブ活動で球技の経験がある人は当然ながら「つぶて型」を選択するそうです。ピッチャー経験者だったら、ラスト1秒で教授の部屋という名のストライクゾーンへズバッと入る変化球をかましてくるという話です。その変化球がカーブなのかシュートなのかスライダーなのかは知りませんが、とにかく己の能力を全て駆使して卒論を間に合わせる。そんな手間をかける力があるのならば、もっと早く提出しろよという意見はあるでしょうが、そんな正論は愚問です。理屈じゃないんです。ちゃんとやってるのに遅れちゃうんですよきっと。

 というような出来事が、都内の某女子大で毎年のように繰り広げられている光景だと聞きました。こうやって書いてみて改めて思うんですが、どうも嘘くさいんですよね。私が女子大生になれないのをいいことに、女子大の出来事を面白おかしく話している可能性が否定できないんです。全部嘘か、一部本当であとは盛ってるのか、それとも全部マジなのか。

 ご存じの方は是非とも教えていただきたく存じます。もちろん、嘘の上塗りも歓迎です。

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