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星降るまではどうか手を繋いでいてくれないか。(2021-5-14)
手に透かして触れようとした瞬間に、風船のように、銃で撃ち抜かれた頭部のように拡散する、昼間時の光を見ていた。滅びが顔を覗かせる真昼の真白に揺れる空。星降るまではどうか手を繋いでいてくれないか。
ふざけあう川辺で突然に湧いてくる、あなたの笑顔の裏に隠れた深い深いからっぽ。真っ赤に染まった水に足をとられるその一歩前に思ったのはそういう類の光だった。星降るまではどうか手を繋いでいてくれないか。
焦点
紫(2021-5-14)
不意に世界が暗転した後に残るあの綺麗な朝日の輪郭をもう一度掴みたい気がして僕は町を歩いていた。木洩れ日に町が揺れる音を体感して、光るビルの隙間の奥を慈しむ君の目が好きだった。木立は死んであとには何も残らない。紫色の匂いの不定形さを隣におけなくなったのは僕のせいだ。
灯火(2020-7-6)
7月9日の夜のことだった。あたりにちらつく、小雨というには少しばかり強すぎる雨はまだ耐えきれるくらいで、もっていた傘をささずに少し小走り気味で走る男がいる。濡れそぼったアスファルトにタイヤを擦りつけるときに生じるあの独特な、衣擦れのような音は、まだまだ静けさに覆われるには早いだろう夜の繁華街を演出するには十分すぎるほどだ。汚染された街と汚染された人々はそれでも誇りを失っていないように見える。矜恃と
もっとみる都市(2020-5-23)
揺れるひかりが鼓動するたびに、鮮血のように舞いあがる滞留する街の体温
黒々しい雑踏は流体のように回遊運動を続け、のぼせ上がった空気を外に外に吐き出そうとしている
ルービックキューブの狭間に小宇宙を拵えたたんぽぽが、ゆらゆら揺れて真っ赤な街に放たれるころには
まるで神様に並べられたかのように身を横たえるジオラマたちも眠りから醒めて、自分の美しさを知るために光を放ちはじめる
あの都市がいちばん輝く
終わりの鐘と等高線に降り積もる白石灰(2020-5-4)
いつかあのゴミ置き場で見たCDみたいな光の粒が
ゆがんだアスファルトの上で気化して
僕らの街に雹を降らせくれればそれでいい
僕らが寝て起きるこの街ではいつもこんなにもわからず屋たちが燃えるような愛を散乱させているけれど
大丈夫いつか冬が来て僕らの真実だけが枯れ残るから
人間に擬態する化け物(2019-12-14)
山の頂上に小さな墓標がたっていました。
毎年午後6時半、蒸気船がうなりをあげます。
公園の灯りが消えていました。
電池の故障でしょうか?
僕達の空元気が街の光をかたどります。
やはり山の頂上では、鐘の音が響いていました。
僕がいました。
僕の名前はだれかを助けます。
僕の名前には、光、という感じが入っているみたいです。
運河に到着しました。
天頂には魔が差しています。
空気は岩のようにかたく僕に
直感に反する統計的事象についてのメモ
コムドットのやまとは馬鹿にされているが少なくともクラス1レベルのイケメンで、日本国民の90%よりかっこいい
国会で妄言を喚き散らしている議員たちはあれで大抵早慶以上は出ており、日本国民の95%より賢い
あんなに馬鹿にされている日大生は日本国民の80%より賢い
こんなに馬鹿ばっかりに見える日本社会は実は世界一IQの高い国民で構成された最も理知的な社会集団である
いわゆる『平均的な男(最低限の
お伽の庭(おそらく中学3年生から高校1年生の頃に書かれた没小説の断片)
前書き
これが書かれた正確な時期を申し上げますと、歳がバレますが、2017年の10月頃から2018年の7月頃だったはずです。後で出てくる『9月19日(*ラスト2)』を最初に書き、その後空き時間に他の箇所を書き進めていました。あらすじは確か、現実と虚構が入り混じりながら、主人公が最後かなわぬ恋に自殺未遂して……みたいな感じだったはずです。たしか当時は、村上春樹の『ハードボイルドワンダーランド』とフ
闇サウナ繁盛記【実録潜入ルポ】
みなさんご存知の通り、3年前にサウナは禁止となった。ふつうに健康に悪いからだ。サウナの効用とは「死」により近づくことそれ自体だ。「死」に近づくことで、「その先」にある「約束」を垣間見ること、これを私たちは「ととのう」と呼ぶ。健康に良いわけがない。常世と隠世のあいだに自ら向かうことほど、愚かなことはない。その愚かさが私たちの文明を駆動し、月までロケットを飛ばしてきたのは紛れもない事実だが、GPT-6
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