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ジョージ、夏の空。①

自意識が変な女に自意識が変と直接伝えるのではなく、それは不器用なんだねと慰めることで今まで女を獲得してきたが、そういう淫売のような真似はもうやめようと思い、髪を短く切って就活を始めて3年が過ぎた。

私はその後一度もモテると言うこともなく、プルデンシャル生命に入るということもなく、ただひたすらに薄暗い部屋で座り込んだまま、緩慢に断罪の日を待っていた。

2024年、夏。

薄暗い部屋に突然ジョージが現れた。ジョージはこの村で唯一の「男」だった。

ジョージは、

「そんなくだらないことで悩んでんなよ。死ねよ。」

と言ってきた。

ちょうど目の前にはうつ病の女がいた。

「そんなくだらないことで悩んでんなよ。死ねよ。」

ジョージは繰り返した。

私はジョージのその残酷なまでの直裁さに目を覆いたくなった。彼の残酷さそれ自体ではなく、ジョージのあまりに強すぎる、残酷な透明さ、眩しさに感動してのことだった。私のなりたい姿だった。もしジョージのように残酷になれたなら、世界はもっと輝いていたのだろうか?

女は突然首を掻きむしって倒れ、死にたいと叫んだ。ジョージは光合成は人間にもあると呟き、部屋のカーテンを開いた。降り注ぐ日の光によって女は消滅した。私は彼女はヴァンパイアなのかなと思ったが、そうしたら彼女を消し去ったジョージは何なんだろうと思って、もう訳がわからなくなり、その場から逃げ出してしまった。

ジョージは単調で機械的な走りで追いかけてきた。体幹があまりにもぶれないので、出来の悪いグラフィックスのような不気味さがあった。

「何逃げてんだよ。死ねよ。」

ジョージとの共同生活が始まった。(続く)

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