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本の紹介

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本をご紹介。 少しでもお役に立てれば幸いです。
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#歌集

降雪の短歌・俳句

降雪の短歌・俳句

雪が数センチ積もりました。

雪を見ると創作意欲が増す、
かと思いきや色々な作品を思い出すのでした。

雪が降る度にX(旧Twitter)の短歌のタイムラインは
「ゆひら」
と言って騒ぎになります。

これは穂村弘氏の有名な短歌の一部から「ゆひら」の部分だけを取って言っています。

当該の短歌は以下です。

さて、それとは別に私が思い出す短歌は
以前noteの記事で紹介しました歌集
『スーパーアメ

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歌集の短歌が新聞に掲載されました!

歌集の短歌が新聞に掲載されました!

いつもありがとうございます。

2024年1月23日付の読売新聞・朝刊の
長谷川櫂様の短歌の記事「四季」にて
歌集『グロリオサの祈り』の短歌を
ご紹介頂きました。

掲載されている事を教えてくださった方々、
記事として取り上げて下さった長谷川櫂様、
歌集『グロリオサの祈り』の読者様、
短歌関連などいつもお世話になっている方々、
ありがとうございます。

掲載された短歌は以下です。

記事には写真付

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歌集『櫻さくらサクラ』(大湯邦代氏)を読む。

歌集『櫻さくらサクラ』(大湯邦代氏)を読む。

歌集『櫻さくらサクラ』(大湯邦代氏)を読みました。

本の紹介

2017年刊行の大湯邦代氏の第六歌集です。
普遍性のある短歌が多いためか、内容が全く古くなくて、読み返しても面白い歌集です。

黒い表紙に櫻の花びらが映える
シックな装丁の一冊です。

五首選

歌集の前半の櫻の連作から一首と、
他に好きな短歌をご紹介します。

リンク

↑Amazon

↑出版社公式サイト・コールサック社

歌集『ひかる水』(北神照美氏)を読む。

歌集『ひかる水』(北神照美氏)を読む。

歌集『ひかる水』(北神照美氏)を拝読しました。

北神照美氏の第四歌集にあたります。

装丁

ハードカバーの歌集です。

表紙のタイトル『ひかる水』が銀箔押しで、銀色に光る点にデザインの美しさを感じます。

五首選

リンク

Amazonで現行で販売・購入出来るものは英語版のため、英語版のリンクを掲載しました。

歌集『夜を着こなせたなら』(山階基氏)を読む。

歌集『夜を着こなせたなら』(山階基氏)を読む。

第二歌集『夜を着こなせたなら』(山階基氏)を読んだ。

本について

文学フリマでの購入品。

文学フリマ限定ペーパーが挟まっていた。

「各々の本の作者が、文フリの場を活かして色々と販売などの工夫をしているのだな」
という面でも勉強になった、
思い出がある一冊。

装丁も凝っている。

ページ数(ノンブル)について

ページ数(ノンブル)の表記が独特。

一章分/当該ページ
となっていると思われ

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歌集『パルティータの宙』(福田淑子氏)を読む。

歌集『パルティータの宙』(福田淑子氏)を読む。

歌集『パルティータの宙』(福田淑子氏)を読んだ。

歌集について

福田淑子氏の第二歌集である。

宙と書いてそらと読ませる。
この漢字の読み方は歌集の内容に大いに関係がある。

例を挙げると、歌集の帯にある一首。

※「宙」に「そら」とルビあり。

宇宙の宙でそらである。

その他にも、多様なテーマの短歌が収録されている。
それぞれ別々のテーマに見えるが、根底で「自分が生きること、誰かが生きたこ

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『風のアンダースタディ』(鈴木美紀子氏)を読む。

『風のアンダースタディ』(鈴木美紀子氏)を読む。

『風のアンダースタディ』(鈴木美紀子氏)を読んだ。

本について

書肆侃侃房による
新鋭短歌シリーズ34である。

「アンダースタディ」は英語で代役の意。

※語義が広いため、詳細をご覧になりたい方はwikipediaのリンクをご覧ください。

五首選

服を着ると、内側は暗くなる。

しかしこの短歌では、「白いワンピース」なので、白い光で体を包むイメージだろうか。

「読みかけ」という途中さが

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歌集『バターロールがまた焦げている』(秋山ともす氏)を読む。

歌集『バターロールがまた焦げている』(秋山ともす氏)を読む。

文学フリマで購入した歌集のうちの一冊です。

概要

帯と、帯の背に「第一歌集」とあります。

収録されている短歌は、
「さびしさ」や「不在」が軸になっている歌が多いように感じました。

喩やレトリックが上手く、内容のかなしさが客観的な視線で消化かつ昇華されているように感じました。

今回は特に喩や見立てが上手いと思った短歌をご紹介します。

五首選

浮き輪の丸さと句点の◯を関連させて、なおかつ

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歌集『標準時』(佐クマサトシ氏)を読む。

歌集『標準時』(佐クマサトシ氏)を読む。

歌集『標準時』を(佐クマサトシ氏)を読みました。

概要

淡々とした短歌集でありながら、現実にあるおかしみやズレを描きだしていると思いました。

五首選

洗濯機が動く音を聞き、洗濯の終わりを待ちながら考え事をする場面は日常にあります。

コインランドリーの待ち時間のイメージでした。

魔女とお茶は近い取り合わせですが、間に日常的な場面が入ることで、内容の距離を遠くする工夫があると思いました。

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歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を読む。

歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を読む。

歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を拝読しました。

概要

生活、震災詠、相聞などのテーマで、
工夫のある短歌が多々収録されている印象です。

五首選

※紹介する短歌の選もかなり悩みました。

バスの動きと雨雲の動きが連動しているようで、面白いと思います。

「嘘」がひとつまみのスパイスのように効いている一首です。

景が良くて爽やかなだけではなく、結句に含みや内容の奥行きを感じま

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歌集『日暈』(小林幸子氏)を読む。ー光る発見ー

歌集『日暈』(小林幸子氏)を読む。ー光る発見ー

帯の背の部分に「第九歌集」とある。
歌歴の長さもあり、内容と作風に安定感を感じた。

五首選

古墳に行く連作の一部。

現地の鴉の立場から見たら、観光客も異物に見えているかもしれない。
そういった「視点を変えた発見」がある。

雲などのよく使われる題材ほど、作者の手腕と個性が試されると思う。

競歩に目を付けた点が工夫で、歩くでもなく走るでもないスピードだという気付きがある。

「非破壊検査」と

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歌集『アルゴン』(斎藤寛氏)を読む。

歌集『アルゴン』(斎藤寛氏)を読む。

歌集『アルゴン』(斎藤寛氏)を拝読した。

本の紹介

中年男性の立場からの視点が多い歌集。
ひとつまみの皮肉と哀愁がある。

時折作中に登場する「沼津の姉」の個性的な発言も魅力。

五首選

「領土」という仰々しい言い方が、おかしみを生んでいるように思った。
「ドトール」のカタカナ表記が異国の名前に見えてくるという効果もある。

「蹲る」は「うずくまる」と読む。
躓く(つまずく)と漢字が似ていて

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歌集『アーのようなカー』(寺井奈緒美氏)を読む。-ひねりと親しみやすさの両立-

歌集『アーのようなカー』(寺井奈緒美氏)を読む。-ひねりと親しみやすさの両立-

歌集『アーのようなカー』を読んだ。

不思議なタイトルは、歌集のある一首を読むことで分かるという工夫がある一冊。

五首選

今と過去が交差することで、それぞれの瞬間の切実さやかけがえのなさを感じる。

花びらとビニール傘の取り合わせも景が綺麗だと思う。

「面長の動物は横顔で絵を描かれがち」という発見も内包されている一首。

「向き合うんだ今日は」の部分だけ見ると、大変な出来事への決意のように見

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第二歌集『グロリオサの祈り』(岡田美幸)のご紹介。

第二歌集『グロリオサの祈り』(岡田美幸)のご紹介。

2023年10月12日は、
本の奥付にあるこの本の発行日です。
発行日は本の誕生日!
ということで紹介文を掲載します!

本としての紹介

第一歌集『現代鳥獣戯画』は二十代後半
第二歌集『グロリオサの祈り』は三十代前半に上梓させて頂きました。

第一歌集は約200首で
今回の第二歌集は約400首!
二倍のボリュームになりましたが
本体価格が第一歌集とは100円差です。

第一歌集で学んだ事を活かし

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