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ゆめいるか書房
2024年8月16日 12:00
かばん会員の堀静香氏の歌集『みじかい曲』を読みました。装丁表紙のかわいらしいドーナツの絵が目を引く一冊。パラフィン紙が巻いてあり、本格的かつ保存しやすいです。選おめでとう、と打って出てくるいくつかの絵文字のなかからいいのを選ぶいつしかそれが呪文になって永遠にまわりつづけるサンカンシオン三寒四温をカタカナにするとたちまち呪文のようになる面白さ。そうだと気づく春は突然
2024年2月6日 08:00
雪が数センチ積もりました。雪を見ると創作意欲が増す、かと思いきや色々な作品を思い出すのでした。雪が降る度にX(旧Twitter)の短歌のタイムラインは「ゆひら」と言って騒ぎになります。これは穂村弘氏の有名な短歌の一部から「ゆひら」の部分だけを取って言っています。当該の短歌は以下です。さて、それとは別に私が思い出す短歌は以前noteの記事で紹介しました歌集『スーパーアメ
2024年1月31日 12:00
いつもありがとうございます。2024年1月23日付の読売新聞・朝刊の長谷川櫂様の短歌の記事「四季」にて歌集『グロリオサの祈り』の短歌をご紹介頂きました。掲載されている事を教えてくださった方々、記事として取り上げて下さった長谷川櫂様、歌集『グロリオサの祈り』の読者様、短歌関連などいつもお世話になっている方々、ありがとうございます。掲載された短歌は以下です。記事には写真付
2024年1月22日 12:00
歌集『櫻さくらサクラ』(大湯邦代氏)を読みました。本の紹介2017年刊行の大湯邦代氏の第六歌集です。普遍性のある短歌が多いためか、内容が全く古くなくて、読み返しても面白い歌集です。黒い表紙に櫻の花びらが映えるシックな装丁の一冊です。五首選歌集の前半の櫻の連作から一首と、他に好きな短歌をご紹介します。リンク↑Amazon↑出版社公式サイト・コールサック社
2024年1月24日 12:00
歌集『ひかる水』(北神照美氏)を拝読しました。北神照美氏の第四歌集にあたります。装丁ハードカバーの歌集です。表紙のタイトル『ひかる水』が銀箔押しで、銀色に光る点にデザインの美しさを感じます。五首選リンクAmazonで現行で販売・購入出来るものは英語版のため、英語版のリンクを掲載しました。
2024年1月10日 12:00
第二歌集『夜を着こなせたなら』(山階基氏)を読んだ。本について文学フリマでの購入品。文学フリマ限定ペーパーが挟まっていた。「各々の本の作者が、文フリの場を活かして色々と販売などの工夫をしているのだな」という面でも勉強になった、思い出がある一冊。装丁も凝っている。ページ数(ノンブル)についてページ数(ノンブル)の表記が独特。一章分/当該ページとなっていると思われ
2023年12月18日 12:00
歌集『パルティータの宙』(福田淑子氏)を読んだ。歌集について福田淑子氏の第二歌集である。宙と書いてそらと読ませる。この漢字の読み方は歌集の内容に大いに関係がある。例を挙げると、歌集の帯にある一首。※「宙」に「そら」とルビあり。宇宙の宙でそらである。その他にも、多様なテーマの短歌が収録されている。それぞれ別々のテーマに見えるが、根底で「自分が生きること、誰かが生きたこ
2023年12月15日 12:00
『風のアンダースタディ』(鈴木美紀子氏)を読んだ。本について書肆侃侃房による新鋭短歌シリーズ34である。「アンダースタディ」は英語で代役の意。※語義が広いため、詳細をご覧になりたい方はwikipediaのリンクをご覧ください。五首選服を着ると、内側は暗くなる。しかしこの短歌では、「白いワンピース」なので、白い光で体を包むイメージだろうか。「読みかけ」という途中さが
2023年11月20日 12:00
文学フリマで購入した歌集のうちの一冊です。概要帯と、帯の背に「第一歌集」とあります。収録されている短歌は、「さびしさ」や「不在」が軸になっている歌が多いように感じました。喩やレトリックが上手く、内容のかなしさが客観的な視線で消化かつ昇華されているように感じました。今回は特に喩や見立てが上手いと思った短歌をご紹介します。五首選浮き輪の丸さと句点の◯を関連させて、なおかつ
2023年11月17日 12:00
歌集『標準時』を(佐クマサトシ氏)を読みました。概要淡々とした短歌集でありながら、現実にあるおかしみやズレを描きだしていると思いました。五首選洗濯機が動く音を聞き、洗濯の終わりを待ちながら考え事をする場面は日常にあります。コインランドリーの待ち時間のイメージでした。魔女とお茶は近い取り合わせですが、間に日常的な場面が入ることで、内容の距離を遠くする工夫があると思いました。
2023年11月15日 12:00
歌集『Midnight Sun』(佐藤涼子氏)を拝読しました。概要生活、震災詠、相聞などのテーマで、工夫のある短歌が多々収録されている印象です。五首選※紹介する短歌の選もかなり悩みました。バスの動きと雨雲の動きが連動しているようで、面白いと思います。「嘘」がひとつまみのスパイスのように効いている一首です。景が良くて爽やかなだけではなく、結句に含みや内容の奥行きを感じま
2023年10月25日 12:00
帯の背の部分に「第九歌集」とある。歌歴の長さもあり、内容と作風に安定感を感じた。五首選古墳に行く連作の一部。現地の鴉の立場から見たら、観光客も異物に見えているかもしれない。そういった「視点を変えた発見」がある。雲などのよく使われる題材ほど、作者の手腕と個性が試されると思う。競歩に目を付けた点が工夫で、歩くでもなく走るでもないスピードだという気付きがある。「非破壊検査」と
2023年10月23日 12:00
歌集『アルゴン』(斎藤寛氏)を拝読した。本の紹介中年男性の立場からの視点が多い歌集。ひとつまみの皮肉と哀愁がある。時折作中に登場する「沼津の姉」の個性的な発言も魅力。五首選「領土」という仰々しい言い方が、おかしみを生んでいるように思った。「ドトール」のカタカナ表記が異国の名前に見えてくるという効果もある。「蹲る」は「うずくまる」と読む。躓く(つまずく)と漢字が似ていて
2023年10月16日 12:00
歌集『アーのようなカー』を読んだ。不思議なタイトルは、歌集のある一首を読むことで分かるという工夫がある一冊。五首選今と過去が交差することで、それぞれの瞬間の切実さやかけがえのなさを感じる。花びらとビニール傘の取り合わせも景が綺麗だと思う。「面長の動物は横顔で絵を描かれがち」という発見も内包されている一首。「向き合うんだ今日は」の部分だけ見ると、大変な出来事への決意のように見