マガジンのカバー画像

「損切丸」-「日銀」編

530
「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
運営しているクリエイター

2024年1月の記事一覧

ECB「利上げから一抜けた!」- 「インフレ」抑制の役割は日銀に交代?

ECB「利上げから一抜けた!」- 「インフレ」抑制の役割は日銀に交代?

 昨日(1/25)金利を据え置いたECBだが、理事会後のラガルド総裁の発言がマーケットに波紋を投げかけている

 これが筆者の正直な感想(苦笑)。スキーのルールにしてもEV(電気自動車)にしても自分の都合で勝手に変えるのがヨーロッパ。表向きは ”綺麗事” ばかりだが、いつでも "自分本位" 。悪く言えば傲慢。「インフレ」抑制はどこへやら。いつまでナポレオン時代の栄光にすがっているのか、とも言いたく

もっとみる
まだまだもの凄い「金融緩和」-まるで昭和の ”牛歩戦術” 的「利上げ」

まだまだもの凄い「金融緩和」-まるで昭和の ”牛歩戦術” 的「利上げ」

 これは "FACT" (真実)。▼0.10%をチャージされているのは500兆円余りの日銀当座預金のうちたったの30兆円程度であり、「マイナス金利解除」だけではとても「金融引締め」とは言えず象徴的意味しかもたない

 「マイナス金利解除の予告」と受け取った向きが一旦ドル円を売ったが、考えてみれば仮に日銀が+2%「利上げ」してFRBが@4%まで「利下げ」してもまだ「実質金利」で日本はアメリカを上回ら

もっとみる
 ”ノドに刺さった骨” -「日銀」が動いて初めて「インフレ」退治が始まる

”ノドに刺さった骨” -「日銀」が動いて初めて「インフレ」退治が始まる

 市場予想通り日銀は政策変更を見送ったが、案の定その後の植田総裁の記者会見が注目された。その中で Bloomberg 社に掲載された記事が興味深かった。データサイエンスの「ワードクラウド」の分析によるとと12/19の会見 ↓ に比べて今回( ↑ 標題添付)は「マイナス(金利)」「賃金」が増えているという。なるほど、さすがAI時代

 マーケットは素直に反応し、会見後ドル円は売られ、一時+400円以

もっとみる
続・マーケットの "裏の顔” - 低迷する支持率では「マイナス金利解除」の札は切りにくい(?)

続・マーケットの "裏の顔” - 低迷する支持率では「マイナス金利解除」の札は切りにくい(?)

 マーケットの "裏の顔” - 突然の「派閥解消」とJGB急落の関係(?)|損切丸 (note.com) なんて note. を書いてしまったので続報として

 某政府系保険会社の運用責任者がメディアの取材に答えていたが、生損保を始め「日本金融村」では+1.5%の「利上げ」を想定している模様。30年国債の ”目処” を@1.8%としていたから、現段階で+2%を超える「利上げ」は想定していない。おそ

もっとみる
マーケットの "裏の顔” - 突然の「派閥解消」とJGB急落の関係(?)

マーケットの "裏の顔” - 突然の「派閥解消」とJGB急落の関係(?)

 10年以上前になるが、某通信社の記者さんが筆者の携帯に電話してきた。政策決定会合のまさに前日。丁度東京に出張で来ていたロンドンの同僚と飯を食いに行く所だったので、その事を告げたらビックリしていた。マーケットでは「利上げ」も噂されていたが、結局「金融政策変更無し」。

 これで何か儲かったわけではなく、もちろん事前の情報漏洩は御法度。だが筆者が現役当時、「日本金融村」ではこんな事が頻発していた。出

もっとみる
 "クレディビィリティ" (信用)の危機 -「お金」はどこへ向かうのか?

"クレディビィリティ" (信用)の危機 -「お金」はどこへ向かうのか?

 大統領返り咲きを狙う "T" 御仁が吠えているが、シェールガスをドンドン掘れ、という事らしい。「インフレ」で生活が苦しいアメリカ人に訴えている訳だが、こういう所は非常に上手い。まさにポピュリズムの権化。鬱憤が溜まりすぎて「脱炭素」などクソ食らえ!という感情も判らなくはない

 一方OPECなど産油国も必死。原油価格が@50~60ドルなんてことになれば今までのように "贅沢" できなくなるし「戦争

もっとみる
10年国債は「実質金利 "0"」を目指す?- 「理論」「合理性」に基づく政策運営を

10年国債は「実質金利 "0"」を目指す?- 「理論」「合理性」に基づく政策運営を

 CPIは食品・エネルギーを除くコアの水準と見合う+4.0%辺りで世界的に平仄が合ってきた ↓ 「お金」がグローバルに駆け巡る現代においてはアービトラージ(Arbitrage、裁定取引)が働くので当然の帰結だろう

 問題は「金利」動向

 米国の堅調な年末消費が示された事で3月どころか2024年に「利下げ」があるのかどうかさえ疑わしくなってきた。米国債は急落、「@4%割れ」の金利水準を維持できな

もっとみる
 "BEST" じゃなくて "BETTER" でいい

"BEST" じゃなくて "BETTER" でいい

 英語の文法が少し判る方ならこの "公式" が間違っているとすぐ気付く。 "BEST" (最良)が "BETTER" (より良い)を上回っているのは当たり前。ただ「投資」ではこの "公式" が成り立つ。"BEST" を求めすぎれば "BAD" (悪い)"WORSE" (より悪い)"WORST" (最悪)も有り得る

 「新NISA」で最近話題の*「オルカン」(オールカントリー株式信託)だが年初1日

もっとみる
日本人にとっての「最適投資」2024 - 優先するのは「円安」それとも「インフレ」?

日本人にとっての「最適投資」2024 - 優先するのは「円安」それとも「インフレ」?

(参照) 日本人にとっての「最適投資」は...。 ー 2022年に儲かったのは誰?|損切丸 (note.com)
 日本人にとっての「最適投資」2023。- 円金利上昇で狭まる選択肢。|損切丸 (note.com)
 続・日本人にとっての「最適投資」2023。- 跳ねるか ”卯(うさぎ)年” 。|損切丸 (note.com)

 「グローバル・ソブリン」(通称「グロソブ」↑ 標題添付グラフ)って覚

もっとみる
「利下げ」に待った! - 日銀に "行動" を迫る「円安」

「利下げ」に待った! - 日銀に "行動" を迫る「円安」

 筆者の危惧する方向に相場が向かいつつある。12月の米CPIは11月比で上昇幅を拡大。コアは+4.0%を割り込んだものの、住居費や交通費などのサービス価格は高止まり。予想を上回った雇用統計と合わせて考えれば「利下げ」に待った! 少なくとも3月▼0.25%「利下げ」の目はほぼ消滅。やはり 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) はしつこい

 ただその後30年債入札でしっかり

もっとみる
日本の「インフレ」の正体。その後...

日本の「インフレ」の正体。その後...

 日本の「インフレ」の正体。|損切丸 (note.com) を書いたのが約1年半前。それからこの国でどういう変化があったのか、検証してみた

 前稿の中で強調したのが20代 ≓「Z世代」の「値上げ許容度」の低さ。ただこれも「インフレ」を実体験して変化が起きつつある。ようやく 「預貯金」では「インフレ」に追い付けない!|損切丸 (note.com) という "FACT" (事実)に辿りつきつつあるよ

もっとみる
続・「理想」と「現実」- 「過剰流動性」の "アンカー" 「日銀」

続・「理想」と「現実」- 「過剰流動性」の "アンカー" 「日銀」

 「理想」と「現実」- やはり鍵を握るのは「日銀」|損切丸 (note.com) の続編

 年初から奇妙な相場が続く。主要株式市場や国債市場(金利)が軒並み売られているのを横目にビットコイン(BTC)だけが突っ走る

 暗号資産関連会社は大はしゃぎだろうが投資家にとっては望ましい状況ではなかろう。年初からの相場を見ているとわかるが、何かが売られれば何かが代わりに買われる。まるで ”モグラ叩きゲー

もっとみる
「理想」と「現実」- やはり鍵を握るのは「日銀」

「理想」と「現実」- やはり鍵を握るのは「日銀」

 珍しく「現実」から入って来た2024年初のマーケットだが米雇用統計がそれを裏付けた ↓ 少なくともFRBがドカドカ「利下げ」する状況にはない

 米国債も急落。弱いISM非製造業指数 ↑ を受けて買い戻しが入る場面も見られたが引けにかけまた急落。3月「利下げ」の見通しは大きく後退、「利下げ」の到達点も@4%程度まで戻している

 と書いてきたが「理想」≓「利下げ」へ大転換は "風前の灯火" 。一

もっとみる
続・2024年は金利低下の年? - 意外だった「国債売り」からのスタート

続・2024年は金利低下の年? - 意外だった「国債売り」からのスタート

 2024年は金利低下の年? - 猛烈に突っ走る株式市場と「日銀」の動向|損切丸 (note.com) の続編

 大体ウォール街を代表とする投資銀行業界は年初から意気込んで突っ込んでくるものだが、今年はやや意外。2023年後半の流れから「国債買い」=金利低下、「ドル売り」で入ってくるかと思いきや全く逆の流れ

 時価会計(Mark -to - Market)を採用しているので未だ「簿価方式」を取

もっとみる