マガジンのカバー画像

あとで読む

122
あとで読む記事をマガジンに保存しておくことができます。不要であれば、マガジンの削除も可能です。
運営しているクリエイター

#小説

町田さんと岸本さんのトークイベント

町田さんと岸本さんのトークイベント

 講演の準備中だが、予約が取れたので、新宿、紀伊國屋書店で開催された、町田康さん×岸本佐知子さんのトークイベント&サイン会に行ってきた。町田さんの新刊「口訳 古事記」について、町田さんと岸本さんがトークするのである。
 岸本さんのエッセイは、思わずくすくす笑っちゃうくらいおかしいのにとても共感するし、町田さんは名盤、INU「メシ食うな」以来のファンである。独特のグルーヴのある、町田さんの小説はもち

もっとみる
AI共作小説『建築と都市とフタ』

AI共作小説『建築と都市とフタ』

 私は地方新聞社の知人編集者から、いくつか建築を見て周ってそれらを題材にした短編小説を書いてほしいといわれた。私は建築を見るのがどちらかというと好きだったし、それに何よりも原稿料がははずむともいわれた。断る理由はない。それで引き受けることにした。

 建築案内役は今売り出し中の気鋭建築家であった。
 取材当日、彼は私の希望を訊きながら次々と建築を見せて回ってくれた。
彼の案内してくれる建築はどれも

もっとみる
わからない人たち

わからない人たち

 首都の空には視界をすべて覆い尽くす巨大な円盤が浮かんでいた。銀色の光沢がなめらかに張りついた表面は丁寧に磨き上げられた金属製品のように傷一つ無く、真下に広がる都市の建物や口をぽかんと開けたまま見上げている人々の姿が鏡のように映り込んでいた。
 直径はおよそ百五十キロメートル。円盤の両端はそれぞれ隣の都市の上空にまで及んでいる。
 巨大な円盤はどう見ても地球の外からやってきたものとしか考えられ

もっとみる
【短編小説】てのひらの春

【短編小説】てのひらの春

このジャンケンに勝ちたい。

祈る思いで、握った右手を左の手のひらで包み込んだ。

目の前では久嶋さんが両手を組んで腕をくるりと回転させ、手の中をのぞいている。なにを出せば勝てるのかを探っているのだろう。

彼女も勝ちたいのだ。
あの言葉を言う権利を獲得するために。

「くっしーには似合わないじゃん、あきらめろよー」
クラスメイトの男子が久嶋さんをからかう。
「うるさいよ、そこー!」
久嶋さんが男

もっとみる
【世界】クロアチア人気文学3作品🇭🇷

【世界】クロアチア人気文学3作品🇭🇷

こんばんはtagaです。
本日は文学仲間ララブディシャから教えてもらった、クロアチアで流行してる3作品について、綴らせていただきます。

Hey! Taga & here!
Today, We want to introduce "Three masterpieces of Croatia literature"

本国は単一民族国家ゆえ、書店に行けば、日本語の小説が置かれてますが、国によって

もっとみる
泥のようなエロビデオ

泥のようなエロビデオ

やあ。僕は少しスケベな小学5年生。
実はいま、ドスケベなアイテムを探しに田んぼ道を血眼になりながらコソコソと歩いている。

早速、雑草の影に泥に塗れたビデオを発見した。
「汚いなぁ」と思い、じいちゃんのパンツを摘むときと同じ要領で、ビデオを拾い上げ自転車のカゴに入れると足が取れる急いで公園まで向かった。

公園に到着し、他に知り合いがいない事を確認したら蛇口を捻ってビデオを洗い始める。
しかし、洗

もっとみる
空をたたいて

空をたたいて

187.思い出というには少し色のこい陽射しを遣う空だけが在る

ぼくが はじめ ただの みずたまり だったとき、ぼくは なにも わからなくて、だから なにもかも わかっていた。
ぼくは いつも つるん としたものと いっしょで、それが みずだと わかるまでは くちと はなが できるのを またなくては いけなかった。
ときどき、みずに まじって やわらかな どろや、かたい いしの つぶが ぼくの な

もっとみる