浅生鴨

たいていのことは苦手です。

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マガジン

  • 浅生鴨の短編三〇〇

    週に二本(ひと月に八本)の短編を三〇〇本掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばない) このマガジンの連載をまとめた 第一集『すべては一度きり』 https://amzn.to/3MSgEOq 第二集『たった二分の楽園』 https://amzn.to/3P7uTRi 発売中。

  • いつか見た色

    短篇小説を連載しているものとは別に、日々あれこれ考えた随想的小文を書き連ねるマガジンです。たぶん週に一回程度(月に4回ほど)、書ける範囲で更新していきます。『短篇三〇〇』のような癖のある文章はちょっと苦手だなという方も、こちらはもしかしたら気軽に読めるかも知れませんし、やっぱり読みづらいかも知れません。

  • 浅生鴨の『ラブレター』制作日誌

    幡野広志さんの著書『ラブレター』を制作する日々の記録です。

ウィジェット

  • 商品画像

    ラブレター: 写真家が妻と息子へ贈った48通の手紙

    幡野広志
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    What's on Your Mind, Tora-Chan? 寅ちゃんはなに考えてるの? (ネコノス)

    寅次郎
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    終わりなき不在 (ネコノス文庫)

    佐川 恭一
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    ねこラジオ (ネコノス文庫 キ 1-3)

    北野勇作
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    ありふれた金庫 (ネコノス文庫 キ 1-1)

    北野勇作

ストア

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    伴走者 浅生鴨

    「お前は伴走者だ。俺の目だ」自分ではなく他人のために、勝利を目指す。伴走者の熱くてひたむきな戦いを描く、新しいスポーツ小説! 講談社から刊行された作品をネコノスショップでも販売することになりました。 ◆夏・マラソン編 「速いが勝てない」と言われ続け...
    748円(税込)
    asokamo by neconos
  • 商品の画像

    ねこ社員のマスキングテープ

    ときどき通販の梱包で使っているものの色違い、 イエロー地に、ねこ社員たちの顔が可愛く並びます。 2cm x 5m
    770円(税込)
    asokamo by neconos
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最近の記事

あれが部長

 二軒目になってようやく酔いが回って来たらしく、若手の二人も次第にリラックスし始めたようだった。 「ねえ、井間賀さん」  絡むような口調で言ったのは三葉里桜だ。 「なんだ?」  さっきから井間賀は小鉢のアサリを箸で摘まみとろうとしていたが、なかなかうまく摘まめずにいた。 「私たちうちの部に配属されてからもう二カ月です」 「そうだな」  なんとか一つだけ摘まむことのできたアサリを口に放り込んで井間賀が答える。 「なのに僕たち一度も部長に会ったことがないんですよ」  横から口を挟

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    • できれば大金で

       最近ときどきテレビの美術番組をつくっている。

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      • あいまいな指示

         マホガニー製の執務机に置かれたいくつかの書類に目をやり、ブルーブラックのインクでサインしたあと、局長は傍らにじっと立っている補佐官に向かって黙ったまま軽く頭を振った。補佐官も黙ったまま頷くと機械のような動きで大きなドアの前へ進み左右につきだした黄金色のドアノブをつかむ。  ほとんど音を立てないまま一気に戸を引き開けると扉の向こう側から完璧に身なりを整えた二人の女性が現れた。補佐官は何も言わずに首を素早く回して、顎の先で室内を指す。  二人は悠然とした足取りで部屋の中央まで進

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        • 西口

           伊福が異変に気づいたのは夜も遅くなってからのことだった。 「俺に西口ができている?」  あまりの驚きに心臓の鼓動が早まり、額がカッと熱くなった。全身の筋肉から力が抜けてしまいそうだった。  慌てて点きっぱなしのテレビを消そうとしたが、指先が震えてリモコンを掴むのにやたらと時間が掛かる。なんとかボタンを押してテレビを消すとすぐに部屋には静寂が訪れた。遠くでバイクの走る音が耳に届く。  晩酌に焼酎をずいぶん飲んだから、まだ酔っているのではないかと何度も見直したが、いくら見てもそ

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        • 浅生鴨の短編三〇〇
          浅生鴨 他
          ¥640 / 月
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          浅生鴨

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          エアタグ

           今日も朝から携帯電話が見当たらず、家の中をあれこれ探し回ることになった。

          わからない人たち

           首都の空には視界をすべて覆い尽くす巨大な円盤が浮かんでいた。銀色の光沢がなめらかに張りついた表面は丁寧に磨き上げられた金属製品のように傷一つ無く、真下に広がる都市の建物や口をぽかんと開けたまま見上げている人々の姿が鏡のように映り込んでいた。  直径はおよそ百五十キロメートル。円盤の両端はそれぞれ隣の都市の上空にまで及んでいる。  巨大な円盤はどう見ても地球の外からやってきたものとしか考えられず、このニュースが伝わるとたちまち世界中がパニックに陥った。  これまで地球外

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          乗る人2

           神田から馬喰町へすっと抜けていく裏通りに並ぶいわゆる三軒長屋の一角で、朝からトントンと威勢良く擲りを振るっていたのが、ここの長屋に暮らす男でございます。名は傅、屋号は甲斐寺だと本人は申しておりますが、本当のところはよくわかりません。  さてこの男、たいして腕はよくありませんが、大家に「おいデンよ、いくらうっかり者のお前だって大工の端くれだ。雨漏りくらいは直せるだろう」と言われ、ついに渋々普請に取りかかった次第です。  そろそろ十時になるというあたりで、裏庭の大きな石に腰を下

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          ジュース

           うどん屋と床屋の隣には、こういう服をいったい誰が買うのかまるでわからないタイプの婦人服を吊した店があり、その先には花屋とスポーツ用具店、そして碁会所が続いていた。

          チキンスープ

           なだらかな丘陵に続く高原は、青々とした夏草にどこまでも覆われていた。丘の向こう側には山脈の尾根が連なり、赤紫色に染まった空には銀色に輝き始めた第一の月が、草原を見下ろすようにぽっかりと浮かんでいる。  山合いに角笛の音が幾度も響き渡ると、それまで牛舎の側で干し草を積み上げていた大人たちは草鋤を木塀のフックに架け、二つある柵の戸を次々に開けた。うずうずしていた犬たちが草原に向かって一斉に走り出し、草を食んでいた牛の群れに飛び込んでいった。  そのあとを大人たちはゆったりとした

          事務所

          昼食代を払おうとしたところで、定食屋のおかみさんがとつぜんプッと吹き出した。この店には数日おきに来るので、おかみさんとも顔なじみだ。 「どうしたんです?」  渡師は怪訝な顔つきになった。 「だって渡師さん、さっきから鼻が」 「ああ、これ」  渡師は困ったように肩をすくめた。 「昨日からなんですよ」  そして、軽く首を左右に振ってから自分の鼻を指差した。  気がついたのはベッドに入って本を読んでいるときだった。  ピーピー、ピピー、ピーピーピー。  誰かが窓の外で口笛を吹いて

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          普通でないもの

           二十代半ばの頃だったと思う。どこへ向かう旅だったのかはもうすっかり忘れてしまったけれども、空港についた僕は出発ロビーのあるフロアへ向かおうとしていた。

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          乗る人

          営業三課の居室に戻ってきた飯尾は怪訝な顔をしたまま自分の席についた。 「どうした?」 奥から声をかけたのは係長の井間賀だ。切れ者風の銀縁メガネをかけているが、度は入っていない。ただの伊達メガネである。 「二課の木寺が食堂の床に」 そう言って飯尾は困惑したように首を振った。 「今度の現場図面を広げて、その上に仁王立ちになってたんです」 「ああ、最近あいつ図に乗ってるからな」 隣の席から比嘉が口を挟んだ。 「え?」 思わず飯尾は比嘉を見た。 「あいつ、どこでもすぐ図に乗るんだよな

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          上の人のやりかた

           家電量販店の広い店内に陰湿な怒鳴り声が響き渡ると、買い物を楽しんでいた客たちは、驚いて首をすくめた。おもちゃ売り場で遊んでいた子供たちもピタリと動きを止める。 「あんたじゃ話にならん」  店の制服を着た女性に向かって、男が再びしわがれた声を上げた。声にあわせて弛んだ顎がぶるんと揺れる。でっぷりと太っているが、乾燥して粉吹いている肌に張りはなく、爬虫類の皮膚を思わせた。長く伸ばした顎髭は白く、どうやらかなり年配のように見える。 「いいから、上の人を出しなさい」  そう言って男

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          青に乗る

           僕にとって飛行機はベッドに近い。それもかなり良いベッドだ。

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          オルゴール

           不動産屋の隣にある雑居ビルにはエレベーターがなかった。天豊建萌は息を切らしながら狭く急な階段を四階までゆっくりと上がった。腰の痛みがひどく足を上げるのが辛かった。天井の照明は切れていて、モルタルを塗った灰色の壁には水が垂れ落ちたような染みが跡を残していた。  開け放たれた窓から秋風がひゅっと吹き込み、階段の踊り場に溜まっていた落ち葉を舞いあげた。  分厚い磨りガラスの嵌め込まれた小さなドアを押し開けるとすぐ目の前に横長のカウンターがあった。カウンターの上には受付と書かれた白

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          推しと古書

           文学フリマが近づいてくるとここに何かしら書くのが毎年の決まりごとのようになっている。今年も出店が決まっていて、さてどうしようかと思案した。これまでつくったものがたくさんあるから、それらを並べるだけでもブースとしての格好はつくのだけれども、やっぱり何かつくりたいのだ。  最初に参加した時にはコピー本をつくったのだった。キンコーズでコピーして折ってホチキス留めする。折ったまま切らずにアンカット本としてそのまま販売した。あれはもうどこにもない。今はKindle版としてAmazon