浅生鴨

たいていのことは苦手です。

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  • いつか見た色

    短篇小説を連載しているものとは別に、日々あれこれ考えた随想的小文を書き連ねるマガジンです。たぶん週に一回程度(月に4回ほど)、書ける範囲で更新していきます。『短篇三〇〇』のような癖のある文章はちょっと苦手だなという方も、こちらはもしかしたら気軽に読めるかも知れませんし、やっぱり読みづらいかも知れません。

  • 浅生鴨の短編三〇〇

    週に二本(ひと月に八本)の短編を三〇〇本掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばない) このマガジンの連載をまとめた 第一集『すべては一度きり』 https://amzn.to/3MSgEOq 第二集『たった二分の楽園』 https://amzn.to/3P7uTRi 発売中。

  • 浅生鴨の『ラブレター』制作日誌

    幡野広志さんの著書『ラブレター』を制作する日々の記録です。

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    ラブレター: 写真家が妻と息子へ贈った48通の手紙

    幡野広志
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    What's on Your Mind, Tora-Chan? 寅ちゃんはなに考えてるの? (ネコノス)

    寅次郎
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    終わりなき不在 (ネコノス文庫)

    佐川 恭一
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    ねこラジオ (ネコノス文庫 キ 1-3)

    北野勇作
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    ありふれた金庫 (ネコノス文庫 キ 1-1)

    北野勇作

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    アーカイブ配信中『SNS医療のカタチTV 2023』視聴チケット(ダウンロード販売)

    8/26&27に配信された『SNS医療のカタチTV 2023』のアーカイブをご覧いただくためのチケットです。ご購入後にお届けするメールから、配信サイト情報と視聴方法を記載したPDFファイルをダウンロードしてください。 ●日時:2023月8日26日(土)、および27日(日) 19:00&#123...
    550円(税込)
    asokamo by neconos
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    伴走者 浅生鴨

    「お前は伴走者だ。俺の目だ」自分ではなく他人のために、勝利を目指す。伴走者の熱くてひたむきな戦いを描く、新しいスポーツ小説! 講談社から刊行された作品をネコノスショップでも販売することになりました。 ◆夏・マラソン編 「速いが勝てない」と言われ続け...
    748円(税込)
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時が経つといろいろ変わる

 夕方からどうも寒気がするなと思っていた。

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    • 嬉しくて嬉しくて

       大きな音を立てて駐車場の鉄門がゆっくり引き開けられると、それまで門の前に集まっていた人々がぞろぞろと中へ入っていく。広大な駐車場はところどころに素っ気ないコンクリート製の建屋が建てられているほかはどこまでもアスファルトの地面が続いていた。    ふと見上げた空はどんよりとした厚い雲に覆われて、いまにも雨が降り出しそうだ。  三十人ほどの人々が向かっているのは十六号建屋だった。側壁に黒々とした大きな文字で十六と書かれている。  建屋のすぐ前には車がずらりと並べられているのが遠

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      • ミッション・インポッシブル

         長らく使われていない廃墟ビルは昼間でも夜の世界に取り残されているかのようだった。タクはそっと首を回し、あとを尾けている者がいないかを確認してから裏口の鉄扉を静かに引く。蝶番の付け根から、赤い錆の欠片がぽろと舞い落ちた。僅かに軋みながら扉が開く。  一度、ふっと息を吐いてからタクは部屋に入った。照明はないが窓からぼんやり差し込む光が朽ち果てた室内を朧に包んでいる。空気は湿っぽく黴の匂いが酷い。  タクは政府の某機関に所属するスパイである。新しいミッションがあると、こうやって複

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        • ニチャ手

           もう四十年近く前のことだろうか。ラジオ大阪で放送されていた深夜番組「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」を僕はよく聞いていた。落語家と放送作家がその場の流れでただ雑談しているだけのように聞こえる番組は、なんだか近所のおじさんたちが喫茶店でやっているバカ話が耳に入ってくるような感覚があっておもしろかった。  ラジオの深夜放送はフリートークが多めだけれども、それでもある程度はコーナーにわけられて、それぞれのコーナーごとにひとつの塊としてつくられている。ところが「ぬかるみ」には、そういっ

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          ぜったい間違えている

           たいていの警告は無視されるのが常である。初めのうちは天文学者たちの言うことを真に受ける者など誰一人いなかった。だが、やがてその物体が肉眼でも見えるようになると、こんどは誰もが天文学者たちに助けを求め始めた。中にはどうしてもっと早く警告しなかったのかと厳しく批判する者まで現れた。 「あれはいったい何なのです?」 「私にもわかりませんが、自然物でないことだけは確かです」  拡大された天体写真を画面に映し出しながら天文学者は困ったように首を傾けた。  数ヶ月かけて物体が太陽系の内

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          定期購読のお詫びとお知らせ

           チャイムが鳴ってすぐに伊福は玄関のドアを開けたが、すでに配達員の姿はなく足元の石畳には小さなダンボール箱が一つ置かれているだけだった。ひょいと首を伸ばして隣近所を見る。それぞれの玄関先にも同じようにダンボール箱が置かれているが、大きさはまちまちで、中には厚めの封筒が無造作に置かれている家もあった。  伊福は自分の箱を持ち上げて家の中へ運び込むと、テーブルの上へ乱暴に投げ置いた。箱の上面には伊福の宛名が印刷されたラベルが貼られており、横面にはお決まりの平凡なロゴが印刷されてい

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          すべてを覚えている

           秋に刊行する短篇集のゲラを直すために、雑事から逃げ出して神戸の実家に籠もることにした。もちろんこれまでもときどき帰ってはいたものの、数日にわたってしっかり滞在するのはたぶん三十年ぶりのことで、幼いころに過ごした場所の変わりようと、変わらなさを味わっている。

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          画期的な仕組み

           ショーケースに並んだ菓子をいくつか選び終えたところで、飯尾は壁に貼られた小さなメモに気づいた。 「あ、現金だけなんですね」  確かめるようにメモを指しながら店員に聞く。 「ご不便をおかけして申しわけございません」  カウンターの向こう側で濃茶に白いフリル襟のついた制服を着た女性店員が三人、揃って困った顔になったあと丁寧に頭を下げた。  どんどんキャッシュレス化が進んでいる世の中でクレジットカードさえ使えないとは、さすがは高級菓子店だな。何がさすがなのかわからないが、とにかく

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          ルール違反

           金属製の大きな筒を取り囲む特殊部隊のチームをかきわけるようにして一人の男が前へ進み出た。隊員たちがみな防護服とヘルメットで身を固める中、男は一人だけアロハシャツに短パンという場違いなほどの軽装だった。手にしている黒いボストンバッグに描かれているロゴマークだけが、唯一彼も特殊部隊のメンバーであることを示していた。 「これか」  自分の身長ほどもある筒を上から下までじっくり視線で撫でたあと、男は傍に立つ部隊長に向かってうなずいた。服装には似つかわしくない真剣な表情だった。 「ま

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          精密機械のごとく

           たとえば二時間ほどある映像をつくっており、ラスト近くのシーンを修正したとしよう。

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          拾ったときは

           カチリと鍵を回す音がしたあと玄関の扉が静かに開いた。扉の隙間から夕陽が差し込んで土間に並んだ靴を明るく照らす。  外からそっと顔をのぞかせたのはリオで、玄関や廊下に誰もいないことを確かめてからゆっくりと扉を開けて家の中へ入ってきた。背中の青いランドセルと同じくらいの大きさがある古いダンボール箱を胸の前に抱えている。  音を立てないようにこっそり靴を脱ぎ、片方の足を上がり框に乗せた。  ギーッ。床が鳴る。  あわてて足を戻すがもう遅い。 「リオ、帰ってるの?」  台所から母の

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          よい木はなかなか見つからない

           朝からずっと雑木林の中を探し回っているのだが、なかなか手ごろな木は見つからなかった。気がつけばかなり林の奥まで進んでいて、周りにいた人の姿はいつしか消えてしまっていたが、それでも木寺は足を止めなかった。ベージュのジャングルハットを深く被り直し、どこまでも奥へ奥へと進んでいく。進めば進むほど木々は密集し、あたりはしだいに薄暗くなった。  しばらく歩いていると正面に少し開けた場所が現れた。薄暗い林の中にそこだけぽっかり穴が空いたように陽光が差し込んでいた。ちょうど真ん中に一本の

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           ラグビー日本代表選手の話を聞いてなるほどそうだと思った。

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          せーの

           本社ビルに入った甲斐寺はネクタイを締め直し、立ち上がって深く頭を下げる受付の社員たちに軽く手を上げながら、ゆっくりとした足取りで役員専用エレベーターに向かった。  白い彫刻の施された枠の中にはピカピカに磨き上げられた銀色のドアが静かに閉まっている。ついにこの日が来た。今日からはこの専用エレベーターを使うのだ。思わず笑みがこぼれる。 「おはようございます」  素早く駆け寄ってきた係員が呼び出しボタンを押すと、甲斐寺を待っていたかのように銀色のドアが音もなくすっと開いた。 「お

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          八十点の人

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