増やす人と減らす人

 ものづくりにはいろいろなやり方があって、どれが正解というわけでもなく、それぞれのつくり手が、それぞれ自分に合ったやり方で、つくるものに向いているやり方でつくればいいだけのことである。
 僕はどちらかと言えば、つくりながら増やしていくよりも減らしていくことを好むので、小説やらエッセイなどの文章も、広告やテレビ番組といった映像でも、どんどん削っていくことが多い。
 ときおり演出を担当している美術番組では、もちろんまず美術館に足を運んで、どんな番組にしようかと考えるわけだが、この時点で何を撮るかではなく、何を撮らないかを明確に決めることにしている。

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