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ノルマを達成した記念ともあって営業部の飲み会はいつも以上に盛り上がり、ほろ酔い気分で店…
海岸線に沿って伸びる道は、右へ左へと弧を描いたあと、半島の陰に消えている。 小高い山…
焼き鳥の香りが鼻に届くと、長谷川の腹が音を立てた。 駐車場へ向かう足を止めて振り返る…
見上げるようにそびえ立つガラス張りのビルは、雨がやんだばかりの雲間から射す陽を受けて眩…
テーブルに置かれた電話のベルが鳴り出すと室内に緊張感が走った。間違いなく犯人からの電話…
島の山側にはあまり住人がいないのでそれなりに車のスピードを出してもたいして問題はないよ…
プロジェクターの映像が消え、窓のカーテンが開かれると会議室が一気に明るくなった。 箱形に並べられた机の向こう一列には、スーツ姿の男女が二十人ほど座って、黙ったままじっとこちらを見ている。 長谷川は隣に座っている田辺にチラリと目をやった。田辺は広告会社の営業マンである。 「俺から先に何か言ったほうがいいのか?」 囁くような声で聞く。 「言わなくて大丈夫です」 田辺は正面を向いたまま囁いた。 「どうですか。すばらしいでしょう。我が社の取り組みは」 得意満面に口を開いた
どこまでも光を吸い込み続ける夜の砂漠も、二つ目の月が昇ると砂丘の形がはっきりとわかるよ…
その日、ファノンは日が落ちてすっかり暗くなった港を一人でうろついていた。船を探すためだ…
井塚は通りの反対側に立って、しばらくその弁当屋を眺めていたが、ようやく何かを思い出した…
駅の改札を出ると、目の前には田畑が広がっていた。そのすぐ先に見える山脈は、ゆっくりと弧…
開け放たれた窓からは秋を感じさせる風と、まもなく夏休みを終える子供たちの声が流れ込んで…
不動産屋だという目の前の二人は、きちんとしたスーツに身を包んでいるものの、どこか胡散臭…
書類の上にボールペンをそっと置き、治夫は両肩をぐるりと回した。凝り固まっていた首筋がバキと音を立てる。朝からずっと細かい文字を見続けていたせいか、目も霞んでいる。 「ちょっと休憩するわ。さすがに疲れた」 首を左右に曲げ伸ばしてから同僚にそう声をかけて、椅子から立ち上がった。 「あてて」 足の裏に鈍い痛みを感じた治夫は思わず声を出し、再び椅子に座り込んだ。 「どうした?」 同僚が怪訝な表情で顔を向ける。 「大丈夫だ。何か踏んだらしい」 靴の中に石の粒でも入っていたのだ