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浅生鴨の短編三〇〇

2021年10月1日にスタートした期間限定のマガジンです。週に二本(ひと月に八本)の短編を掲載します。一篇ずつ購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少しだけ割引になり… もっと読む
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて… もっと詳しく
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記事一覧

壺の国

 三十年以内に我が国は鎖国する。  此の政策が発表された当時はまだ子供だったこともあり、…

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浅生鴨
16時間前

足りないもの

 いったい何が悪いのかはわからないが、どうも個人タクシーとは相性が悪いらしくて、乗るたび…

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浅生鴨
3日前

空気をきれいに保ちたい

 大会議室に入るとすぐ、ねずみ色をした大きな金属製の箱がうしろの壁際に置かれていることに…

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浅生鴨
7日前

寝る前の記憶

 ハッと目が覚めるといつの間にかベッドに横たわっていた。どうやら着替えもせずに寝込んでし…

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浅生鴨
10日前

高原の自由

 広々とした高原は高い山に続いていて、ちょうどその境目当たりは草原と林道を交互に歩くこと…

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浅生鴨
2週間前

怪人の春

 朝一番の用事を終えた亮子は自宅へ向かってのんびりと歩いていた。  海風が運んでくる磯の…

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浅生鴨
2週間前

アラカルトの話

 会見場の袖まで足を進めたところで、ふと振り返った官房長官は、静かに微笑んでいる人物に向かって力強くうなずいてみせた。 「ふふふ」思わず笑みが浮かんでくる。袖のテーブルに置かれた大きな花瓶にそっと手を触れた。青磁に金が遇われていて一見豪奢に見えるが実はかなり安物らしい。 「今日の会見は楽しみだ。無敵の感覚とはこういうことなんだろうな」  官房長官は強い確信とともに会見場に足を踏み入れた。  バシャバシャバシャ。  地面に水を撒くような音を立てるのは、カメラのフラッシュだ。もう

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有料
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条件反射

「それでは検査キットの中の筒に、唾液を赤いラインまで入れて下さい」 白衣を着た小柄な女性…

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浅生鴨
3週間前

雲が笑っていた

illustrated by スミタ2022 @good_god_gold  イタリア製の古いスクーターは俊哉を乗せ、パタ…

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浅生鴨
4週間前

クライマックスの部屋

illustrated by スミタ2022 @good_god_gold  照明がなく、また窓もなかったため、金属の擦れ…

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浅生鴨
1か月前

世界を救うもの

illustrated by スミタ2022 @good_god_gold  司令部にけたたましいアラート音が鳴り渡った。…

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浅生鴨
1か月前

九回の裏

illustrated by スミタ2022 @good_god_gold 「いよいよ九回の裏です。解説の丸古さん、これま…

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浅生鴨
1か月前

ワンチャン狙いのナンパ

「あのう、その犬、かわいいですね」 illustrated by スミタ2022 @g…

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浅生鴨
1か月前

風は二回吹いた

illustrated by スミタ2022 @good_god_gold  どこまでも続くように見える長い長い上り坂は、途中でいちど平坦な道になったあと角度が急になる。山に住む子は学校帰りにたいていこの平坦になったところで一度足を休めることになっていた。道沿いに立ったマンションの非常階段に座り込んだり、駐車場でジュースを飲んだり、あるいは神社の境内に置かれたベンチに腰を下ろしたり。そして気が済むまで笑って話して日が落ち始める頃、ようやく再び坂を登り始める。  亮子は妙に緊

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