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浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな…
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて…
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記事一覧

新生地

 どこまでも光を吸い込み続ける夜の砂漠も、二つ目の月が昇ると砂丘の形がはっきりとわかるよ…

180
浅生鴨
2週間前
18

島にて

 その日、ファノンは日が落ちてすっかり暗くなった港を一人でうろついていた。船を探すためだ…

200
浅生鴨
2週間前
18

ミックス

 井塚は通りの反対側に立って、しばらくその弁当屋を眺めていたが、ようやく何かを思い出した…

浅生鴨
1か月前
29

使わなきゃ

 駅の改札を出ると、目の前には田畑が広がっていた。そのすぐ先に見える山脈は、ゆっくりと弧…

浅生鴨
1か月前
23

三百の夢想

 開け放たれた窓からは秋を感じさせる風と、まもなく夏休みを終える子供たちの声が流れ込んで…

120
浅生鴨
1か月前
43

今の時点では

 不動産屋だという目の前の二人は、きちんとしたスーツに身を包んでいるものの、どこか胡散臭…

120
浅生鴨
2か月前
31

消える理由

 書類の上にボールペンをそっと置き、治夫は両肩をぐるりと回した。凝り固まっていた首筋がバキと音を立てる。朝からずっと細かい文字を見続けていたせいか、目も霞んでいる。 「ちょっと休憩するわ。さすがに疲れた」  首を左右に曲げ伸ばしてから同僚にそう声をかけて、椅子から立ち上がった。 「あてて」  足の裏に鈍い痛みを感じた治夫は思わず声を出し、再び椅子に座り込んだ。 「どうした?」  同僚が怪訝な表情で顔を向ける。 「大丈夫だ。何か踏んだらしい」  靴の中に石の粒でも入っていたのだ

¥120

来訪者

 窓から見える地球に目をやったシュンヤは心の中で大きな溜息をついた。ここへ来てから三か月…

120
浅生鴨
2か月前
28

組み立て式の家具

 部屋の中に置かれたダンボール箱をひと目見て、有音は不満そうに鼻を鳴らした。  大きなダ…

120
浅生鴨
2か月前
27

短編三〇〇のその先に

定期購読マガジン『浅生鴨の短編三〇〇』の購読者、およびメンバーシップ『名前はまだない。』…

30,000
浅生鴨
2か月前
41

お支払いは

 カフェに入ってきた治夫は、壁際の席でパフェを食べている俊哉をすぐに見つけて手を振った。…

120
浅生鴨
2か月前
24

セキュリティ対策

 資料を送るからすぐに見て欲しいと言われ、古庄敏夫はリビングのソファに寝転んだままノート…

120
浅生鴨
2か月前
20

知らなかったこと

 庭の隅に置いたプランターから勢いよく空に向かって伸びていた青草も、夏も終わりに差し掛か…

120
浅生鴨
2か月前
27

荷物

 関係者用の駐車場に車を駐めた甲斐寺は、バックドアを開けてギグバッグを引き寄せるとストラップの金具とファスナーをしっかり確認した。うっかり中身が飛び出そうものなら取り返しのつかないことになる。  ESPのスナッパー・カスタムモデル。一般的なギターには六本の弦が張られているが、このスナッパーは弦が七本あり、通常よりも低い音を出すことができる。  本当ならコンサートの初日からこのギターを使いたかったのだが、思いのほかメンテナンスに時間がかかり、今日になってようやく手元に戻ってきた

¥120