見出し画像

340.どうして、どうして、どうして東京がそんなにいいんだろう~

~誰も知らない~イタリアントマト物語(1)

1.どうして、東京がそんなにいいんだろう!


イタリアントマトのイメージ写真©NPО japan copyright association Hiroaki

僕は泣っちっち♪
東京へ行っちっち♪
なんで、なんで、なんで、どうして、
どうして東京がそんなにいいんだろう♪


 
みなさんはこの歌を知っているでしょうか?
 
彼は、北海道から中学校を出、集団就職で、
夢と憧れを胸に秘め東京に向かった。
 
生まれて初めて見る東京。
とても怖ろしくも、とても楽しくも、
夢と希望だけが彼の頼りだった。
 
現実は就職したが、わずかなお金と奴隷のような日々を彼は呪った。
彼は寮から逃げるように脱走し、銀座や六本木のネオン街に、住み込みで働くようになる。喫茶店の店員、雀荘、バーと転々とした。
そして、クラブのドアボーイをしながら友人と小さなスナックを居抜きで手に入れた。その次は居抜きの雀荘、焼き肉屋と手広く事業を始めた。
 
彼は20歳後半を迎えた。



 
 
この時期のCoucouさんは友人たちと小さな会社を立ち上げた。
貧乏な若者たちが集まり、一躍有名となったビートルズに心酔していた。
 
お金はもちろん、何もない。
 
あるのは若さと夢と希望だけ。
それでも怖さを感じてはいなかった。
 
Coucouさんたちは、お金を稼ぐためクラブやキャバレーの宣伝関係で食いつないでいた。打合せはお店が終了する時間の未明。
事務所での打ち合わせは、煙草の煙と、酒の匂い、化粧の匂いと香水の香り、目の前で女性たちは、何も気にせずに着替えをする前で行う。
 
クラブの担当者たちも、煙草を吸いながらホステスさんたちに、日払いのお金を渡しながら、彼女たちの名刺、ポスターやチケット、商品券や看板、外に取り付ける捨て看板などの打ち合わせをする。
 
Coucouさんはいつも、目のやり場がなくドキドキしていた…。
 
ただ、仕事の内容は楽しく、面白かった。
 
その理由はほとんど、自由にデザインを創ることができたからだ。
 
そして、ホステスさんたちも、全力でお酒を飲みながら体を張って仕事をしていた。ただ、困るのは、この事務所内で店側とホステスさんたちのトラブル、お客さんとの喧嘩やトラブルだった。

そのたびに打ち合わせは中断する。

イタリアントマトのイメージ写真©NPО japan copyright association Hiroaki

※このミニトマトはパンケーキを使用して作成したもの。本体を赤で着色し、緑の葉の部分はペーパークラフト使用。水を吹きかけて写真撮影。



2. ~誰も知らない~イタリアントマト物語


 
彼は、東京のど真ん中からcoucouさんのいる街に本部事務所を構えた。
彼らにしてみれば何の土地勘もない街だった。
最初に取り掛かったのは電話帳から目ぼしい業者を選定していた。
そこで6社か7社見つけて同日に一斉に呼びつけた。

 
Coucouさんの会社は当時、電話帳広告を出し続けていた。
ケータイ電話もネットもスマホもない時代。
あるのはポケットベルだけ。
Coucouさんの会社はみな20代前半。
彼の会社も20歳代後半だった。
 
そして、一社ずつ面接から入る。
面接内容はほとんどが仕事内容だった。
Coucouさんの仕事の資料はほとんどがキャバレー、クラブの仕事。
(でも、誇りをもっていた)
 
最終的にプレゼンが終わり、全社が並んだ。

まるで売春宿の品定めのように、
彼と彼の友人たちはcoucouさんたちを見据えた。
 
ここで、彼の鶴の一声、指を指され「君がいい…」と選ばれた。
 
Coucouさんには、その瞬間意味がわからなかったが、決定した。
後に、その理由が後にわかったが、他愛のない理由だったので驚いた。
 
その理由とはプレゼンなどよりも、イメージが優先されていた。
その最初のイメージは、coucouさんたちはノーネクタイ(ふだん着)、それ以外の参加者たちはきちんとしたスーツ姿だけの違いと、若さだったという。
 
だが、それからが地獄のような果て無い修行の始まりとなる。
 
また、彼とcoucouさんの唯一の共通点は「のし上がること」「世の中を見返すこと」学歴もお金もなく、虐め続けていたこと。
 
そして、もう一つ、「夢と希望」は誰にも負けないとい自負があった。
 
Coucouさんたちのロゴはビートルズにちなんだ林檎のマーク。
ウイリアム・テルの林檎、アダムとイブの林檎、そしてビートルズが初めてデビューしたアップルレコードにちなんだマークだ。

coucouさんの会社のマーク©NPО japan copyright association Hiroaki

※今から約40年前に作られたcoucouさんの会社のマーク。丸い木の入れ物に白いパテを入れて肌を化粧し、その上から赤で塗装。塗装の上につやを入れ光らせ、水を吹きかけ写真撮影したオリジナルロゴマーク作品。(約40年過ぎても見劣りしないため現在も会社のロゴとして使用中!)


 
彼は、最初にそれを譲らないか?と問いかけてきたが、coucouさんは独自のモノを創ろうと答えた。そして、当時のマークで有名だったのは第1勧業銀行の赤いハートのマーク。カゴメのトマトジュースのハートに近いトマトのマークがあった。
 
最初の構想は「レストラングローリー(栄光)」という仮称だったが、本格的なイタリア料理のお店なので、「トマトハウス」という名が候補に上がった。
でも、それでは、coucouさんの会社の名前「アップルハウス」と同じになってしまうので止めることになった。
 
そして何度も何度もデザインの繰り返し。

おそらく最終的には数百枚ぐらい描いたかも知れない。
彼の友人にデザイナーがいてこれらの最終的な要望を取り入れてハートのトマトのマークが誕生したが、だが、彼は簡単には首を振らない。


イタリアントマト・ラフスケッチ©NPО japan copyright association 

※このイタリアントマトの原版は、誰も持っていない。たった一枚の手描きのラフスケッチ。誰もこの存在を知らない貴重な歴史だと思う。ここからすべての扉が開いた。(現在もcoucouさん原版所有)

3.俺たちは世界を目指すんだ


 
彼はいう。
「俺たちは世界を目指しているんだ!世界に通用するものでなければならない…」という。
 
Coucouさんにしてみれば世界なんて、また夢の夢、あり得ない…と思った。
 
だが、彼は真剣だった!

そして、次の殺し文句でcoucouさんは、完全に虜になってしまった。

いいか、俺には金がない、だが夢と希望はある。
これだけは誰にも負けない。
やるんなら、俺たちとともに夢を見ないか?
どこまでいけるか未来を見てみないか?
誰もはそんなことは夢物語だと馬鹿にする。
だが、そんな奴らに俺たちのような夢と希望なんてあると思うか?
一緒になって心中できるか?

一緒に、死ねるか?
命をかけれるか?
 
Coucouさんは全身に鳥肌が立った…。
 
この人と一緒に行ってみよう、と思った。

 
そして、そのデザイナーさんが創ったマークをロゴ化する作業に入る。
そう、世界に通用させなければならない。

有名になるんだ。
 
そこで、彼はcoucouさんに助言した。

coucouくん、世界に国旗がどのくらいあるか知っているか?
国旗とはその国を現わすもの。
その旗にその国の思想がすべて凝縮されているものだ。
日本は太陽を現わす神の国。
すべてに意味がある。

 
その言葉をヒントにそのマークに翼をつけた。
トマトの赤に対して翼の色はグリーンにした。
あとは日本の国旗のように赤と白を活かす。
そしてそのロゴの中に「ITALIAN・ТОМAТО(イタリアントマト)」と名前を入れた。


イタリアントマト最終ロゴ©NPО japan copyright association 

※翼は自由、赤は愛情、緑は国土を現し、白は真実、正義の旗が生まれた。この意味を知るものも今はいない。


 
それが、のちの「イタトマ」と総称されるようになる。
 
 
では、みんなの知らない次の話は、一銭もない若者たちがどうして店を増やし続けることができたのか?
ある人は邪道というかもしれない。
だが、ビジネスの競争社会においては正道も邪道もない、あるのは結果のみ。
 
今から40年以上も前だが、このノウハウは現在どこでも使われている方法のひとつ。トマトの第1号店はcoucouさんのおひざ元の駅前の空地を購入することから始まった。

彼はこのマークが決定してから動き出した。
 
(このマークを彼は毎日見続けながら草案を考え続けたという)
 
お金も力もない、あるのは無鉄砲な若さと壮大な夢と希望のみ。
 
そして、一銭もないが億単位の土地を購入した。

当時のcoucouさんには理解できなかったが、
彼は不動産屋でもアルバイトをしていたという。

つまり、しっかりとした担保価値(保全能力)があって、事業計画があれば銀行は間違いなくお金を貸してくれることを知っていた。

しかし、土地を購入しても建物の建築と設備費用が必要となる。
次は、様々な建設業者から見積もりを取る。
平均すると約8000万円必要となる。
さらに運転資金や仕入れ資金だ。
 
土地の能力だけでは建築費が捻出できない。
 
しかし、土地を融資した銀行に建築資金の追加借り入れを申し込んだが、当然、次の担保(保証)が必要といわれる。
 
だが、彼は断られるのを承知で筋だけ通した。
 
見積もりのほとんどは、小さな中堅どこの会社でなく、資金力豊富な大手企業にした。それも戦略だった。
例えば土地が5億、10億に対して、建物が1000万円、2000万円の価値しかなくとも、その土地利用の権利は建物の所有者(権利がある)にあることを彼は知っていた。
 
その土地は建築条件付きの融資ではなく、あくまでも土地購入資金。
そこで建物の建築資金を申し込んだが断られた。
 
建築業者にしてみれば、もし、この店が倒産したとしても優先権利(取りぱぐれはない)むしろ、億単位の土地の権利でも、わずか数千万円の融資(建物)の方の権利が強いことは誰にでもわかる問題。
 
彼は、銀行でも建築屋からの融資でもどちらでもいいと考えていた。
開店させれば自分の思うままだという自信があつたからだ。
こうして、簡単に建築資金と運転資金を調達し開店準備となる。
 
(建物の抵当権の1番は建築屋、土地の抵当権の一番は銀行、どちらが強い権利か、もちろん、建物だ。俗にいう居住権に似ている)
 
こうして、彼は一銭も使わず、いや一銭もなく数億の資金を確保して第1号店本店を開店させた。

(開店は不可能だと思い込んでいた銀行は、慌てて建物にも抵当権を設定したいと哀願し日参するようになったが、それは銀行の怠慢でもあった…)

彼がこの街を選んだ理由は、駅前の土地を探し続け、この地を出発と考えていた。

イタリアントマト第1号八王子本店©NPО japan copyright association Hiroaki
©NPО japan copyright association Hiroaki


4.誰も知らないイタリアントマトの創業者


 
彼は、イタリアントマトの創業者。
Coucouさんは今でも、このことを誇りに思う。
 
しかし、あれから40年以上過ぎた今、あれだけ一世を風靡し、マスコミに旋風を送りもてはやされたにも拘らず、ネットの世界でもこの話は存在していない。
 
このような内部の話は残されていなくともせめて、創業者の名前、デザイナーの名前、coucouさんたちの名前がどこにも出てこないという不思議が残る。

あのトーマス・エジソンでも電球の発明者の名前を自分の記念館に刻み込んでいる。
 
(エジソンが電球を発明したと言われているが、エジソンはその権利を買い取り、そのアイデア(発明)をもとに発展させたが、エジソンの記念館にはもとの作者の名前を刻んだ。ウォルト・ディズニーでさえ、近年になって「クマのプーさん」の本当の作者を公表した。)
 
現在のイタリアントマトは大手企業が運営しているためなのか、それともその人たちも知らないという可能性もあるが…、それでも調べればわかること…。
だから、coucouさんはこれを年内に彼の記録と共に、本にする準備を進めている。

ケーキ箱の試作品©NPО japan copyright association Hiroaki
アイスクリーム袋の試作品©NPО japan copyright association Hiroaki
商品券の試作品©NPО japan copyright association Hiroaki


5.ぼくはないちっち

「僕は泣いちっち」
浜口庫之助作詞・作曲 歌 守屋 宏


僕の恋人
東京へ 行っちっち
僕の気持を 知りながら
なんで なんで なんで
どうして どうして どうして
東京がそんなに いいんだろう
僕は泣いちっち 横向いて泣いちっち
淋しい夜は いやだよ
僕も行こう
あの娘(こ)の住んでる 東京へ

祭の太鼓が
テンテケテンと 鳴っちっち
みんな浮き浮き 踊るのに
なんで なんで なんで
どうして どうして どうして
僕だけションボリ みそっかす
涙がホロリ ひとりで出っちっち
お祭なんか いやだよ
僕は思う
遠い東京の ことばかり

上(のぼ)りの急行が
シュッシュラシュッと 行っちっち
いやな噂を ふりまいて
せめて せめて せめて
遠い 遠い 東京の
空に飛んでけ ちぎれ雲
汽笛がなっちっち 遠くでなっちっち
夜汽車の笛は いやだよ
早く行こう
あの娘の住んでる 東京へ


 
 
Coucouさんも泣き虫だが、彼も良く泣いていた…。

カラオケに行くと必ず十八番のこの歌「僕は泣いちっち」を歌う。
高音の高い声でこの歌詞のひとつひとつに魂を込めて、まるで自分自身の歌のように歌う。

そして、涙する。
 
ここが、彼が望んだ、夢と希望の世界だったのか?

Coucouさんもこれが望んだ夢と希望の世界だったのか?
成功すればするほど心と大切な何かを失っていく。
 
なんで、なんで、なんで
どうして、どうして、どうして、
そんなに東京がいいのだろう。
 

全4部作、341.342.343.次に続く。

イタリアントマトのマッチ©NPО japan copyright association Hiroaki
©NPО japan copyright association 

coucouさんです、みなさん、ごきげんよう!

やっぱり、1回では終わらない。

この「~誰も知らない~イタリアントマト物語・前編」は本にするために現在書き続けているんだけれど、それをcoucouさんのnote記事で取り上げたら、最終的に4万文字から8万文字くらいになる。

現在で約4万文字まで書き上げているけど、長い長い物語になってしまう。つまり、書ききれない。

だから、このcoucouさんの記事は全体の内容を約15,000文字くらいにして前編・中編?後編に要約するために改めて書き直している。

だからといって、みんなには、つまらないかもしれないし、coucouさんはね、迷いながらまとめているんだよ。

まあ、coucouさんの自己紹介版の要約だと思ってくださいね。

これは、coucouさんの人生で2番目に苦しかった時期(当時は一番)、

その後人生で最大の苦しみを味わうのだけれど、coucouさんの原点はここにあるんだ。

それはね、人と人の雑踏の中、東京のど真ん中で、人という滝の中で激しい洗礼を受けるんだ。


※本日で330回、11か月目となりました(作品数340作品目)。皆様には心から感謝申し上げます。
今回は特別記念号として「~誰も知らない~イタリアントマト物語」の特集号とさせていただきました。ついでに、coucouさんの表紙のデザインも新装開店となりました。(約80作品ごとに色替えしています)
coucouさんの「YES short story」作品ナンバー340、341、342、343の4回読み切り連載となります。ぜひねお読みくださいね。
どこから読んでもいいように要約してみました。






ぜひ、お読みくださいね。

また、明日~

ありがとう~






※coucouさんの電子書籍のご案内「~儲けには、ある一定のリズムと法則がある~「ZERО(ゼロ)」全3巻好評発売中!下記URLにて検索してください。

人生を楽しく明るく!幸せになるための物語。
 https://www.amazon.co.jp/s?i=digital-text&rh=p_27%3ACou+cou&s=relevancerank&text=Cou+cou&ref=dp_byline_sr_ebooks_1

©NPО japan copyright association


この記事が参加している募集

#スキしてみて

524,764件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?