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CH2 文学?

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詩的なものやら小説的なもの
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#ショートショート

大人の鮨 再び

大人の鮨 再び

ムーンサイクルの姐さんが、冬の真中に帰国されるとの事。

今回もお鮨を楽しみにして居られる御様子なので、今宵も大人の鮨を握らせていただきます。

表現が不適切と感じるお客様もいらっしゃるかと思います。
苦手なお客様は此方で引き返していただければ幸いで御座います。

へい!らっしゃい!

助六が握らせていただくのは、鮨といってもいわゆる鮨じゃあ御座いません。

俳句、短歌、都々逸を詠んだものをシャリ

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俺の夢 #創作大賞2022

俺の夢 #創作大賞2022

この「俺の夢」は2020年10月28日に記事です。
創作大賞2022に応募するために再編集しました。

 ドライブをしていた。
 ナビゲーターシートにはスマートで素敵な彼女。と、言いたいところだが、鎮座しているのはナビゲーションアプリを立ち上げてあるスマートフォン。今のところ。

 正面にコンビニエンスストアが見える丁字路にさしかかったところだった。丁字路に設置された信号機の歩行者信号が点滅してい

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生まれ変わるなら episode0【完全版】

生まれ変わるなら episode0【完全版】

 ワシの名前は御手洗捨紙じゃが、御手洗リュウジっちゅうのはワシの孫じゃ。

 ワシの現役時代のサスティナぶりといったら、ヤツに負けず劣らずじゃったぞ。

 四角く尖った見てくれじあゃったが、使われて捨てられたら畑の肥やしとして生まれ変わり、有機農法で作物の成長を促す為に大切な役割を担っておったんじゃぞ。



それになのにアイツときたら……

 ああ、アイツっていうのはな、ワシの大事な一人娘を連

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DEEP 【完全版】

 強い陽射しに輝く海原に飛び込んだのは、とびきり暑かった8月の事。

 どう考えても奇跡としか思えない。黒く美しく輝く髪、頭の先から足先まで美しく描く曲線。美人でスタイルも抜群の女性が、まさか僕の彼女になってくれるなんて。

 その夏、そんな彼女と海に来ることが出来た。美しい彼女と美しい海、それもまた一つの奇跡。

 彼女は一足先に駆け出し、砂浜を抜けて海に入っていった。駆け出した彼女の美しい曲線

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ドリーム トラベラー♡ユミ #5

ドリーム トラベラー♡ユミ #5

シリーズはこちら#ドリームトラベラーユミ_no6ch

ワタシの名前はユミ。夢に魅せるとかいて"ユミ"。
チャームポイントは、この緩やかな曲線を描くスラリと伸びた美脚。

ワタシは、誰かの夢に忍び込める特殊能力を持っているの。
”ダイブ”って言ってるわ。

今日は誰の夢にダイブしようかしら?

ソファーに浅く腰かけ、パソコンとにらめっこしているのはアイツね!私のこの美脚を魅せつけても、ことごとく何

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フ イ ル ム

フ イ ル ム

 大学入学まで一年余計にかかったが、何事もなく無事に卒業した僕は、今年から会社員になった。同期は沢山いたが、配属になった支店にはたったの二人だった。同期は金山と言った。趣味は登山、カメラ、スキーなど多趣味で、共通の趣味がスキーだった事もあり、あっという間に仲が良くなった。僕は彼の事を『きんちゃん』と呼んだ。

 入社した年の冬、初めて満額のボーナスを貰った。金山の影響で、自分も一眼レフカメラで写真

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俺の夢 #3

俺の夢 #3

 俺が仕事に行くときは、専ら電車を利用する。何故なら、俺は車をもたない主義だからだ。そう言えば格好がつく。しかし、ホントは車を買う金がない。そもそも、運転免許証すら持ってない。

 出勤の身支度を済ませ、いつものように駅に向かい、掃除機のノズルに吸い込まれるゴミ屑のように改札口に向かう。
 スマホを改札にかざして抜けようとしたが、警告音と共にバーが飛び出し俺の行方を遮った。「きっちり読み取りやがれ

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俺の夢  #2

俺の夢 #2

 ある電車の中で、見知らぬ母親と娘の手助けをした。酒に酔ったサラリーマンに絡まれていたところを仲裁しただけだ。
 大したことなどしたつもりはないのだが、とにかくお礼がしたいと誘われた。その熱心さに誘いを断りきれず、お宅にお邪魔して夕食をご馳走してもらうことになった。親子の容姿から、豪邸である事は容易に想像できた。それも断りたい理由のひとつだったのかもしれない。

 高級そうなふかふかの絨毯に置かれ

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ドリーム トラベラー♡ ユミ #3

ドリーム トラベラー♡ ユミ #3

ワタシの名前はユミ。夢に魅せるとかいて"ユミ"。
チャームポイントは、この緩やかな曲線を描くスラリと伸びた美脚。

ワタシは、誰かの夢に忍び込める特殊能力を持っているの。
”ダイブ”って言ってるわ。

今日は誰の夢にダイブしようかしら?

ここは何処かしら?なんだかいい香りがするわね。
あら、テーブルの上に美味しそうな料理の数々…
立食パーティーね♪

あら?参加者は女性ばかり…しかもかなりの美女

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ドリーム トラベラー♡ ユミ  #2

ドリーム トラベラー♡ ユミ #2

ワタシの名前はユミ。夢に魅せるとかいて"ユミ"。
チャームポイントは、この緩やかな曲線を描くスラリと伸びた美脚。

ワタシは、誰かの夢に忍び込める特殊能力を持っているの。
”ダイブ”って言ってるわ。

今日は誰の夢にダイブしようかしら?

ここはどこなの?田園風景が広がっているわね。高い建物がないから空が広くていいところね。

ん?!なんだかいい香りがしてきたわ♪何となく甘くて芳ばしい香。
どこか

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ドリーム トラベラー♡ ユミ

ドリーム トラベラー♡ ユミ

ワタシの名前はユミ。夢に魅せるとかいて"ユミ"。
チャームポイントは、この緩やかな曲線を描くスラリと伸びた美脚。

ワタシは、誰かの夢に忍び込める特殊能力を持っているの。”ダイブ”って言ってるわ。

例えば、貴方の夢にダイブしたとするわ。ダイブした夢の中でワタシがすることはただ一つ、貴方のココロをくすぐるだけ。でも、夢の中のワタシをどうするかは貴方の自由よ。でも、おイタが過ぎると痛い目見るから気を

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俺の夢

俺の夢

ドライブをしていた。ナビゲーターシートにはスマートで素敵な彼女。と、言いたいところだが、鎮座しているのは地図アプリを立ち上げてあるスマートフォン。今のところ。

コンビニエンスストアが正面に見える丁字路にさしかかった。丁字路信号機は歩行者信号が点滅している。ならば、丁字路迄の距離を考えるとタイミングは赤になるだろう。アクセルペダルから足を離して惰性で進む。

さて、ここはどちらに曲がろうか?気まま

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取引

取引

深夜の防波堤にいた。夜釣りを愉しむ太公望たちに紛れて、ある取引の情報を手にいれるのが目的だった。

俺は争うことが苦手だから、人との争いを避け続けた人生を送ってきた。俺が何をしたって言うのだ。恨まれるような事だってしたことはない。そんな俺が何故こんな目に遭わなければならないのだろうか。

何かの気配を感じて振り向いても誰もいない。身体中の激痛で気が付くと、俺は血塗れになっている。病院に行こうにもな

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はじめてのひとり旅

はじめてのひとり旅

「 おとうさん、今年は無理かも知れないけど、今度の夏休みにね、ひとりで電車に乗っておじいちゃん家に行ってみたいんだ。」

日曜日の遅い朝食後、リビングのテーブルでコーヒーの芳ばしい香りを楽しみながら、スポーツ新聞の中日ドラゴンズ勝利の記事を読んでいるときに小学4年生の息子が話しかけてきた。

自分も息子と同じ年頃に一人旅をしたことがある。もう、そんな年頃になったんだな、そんな事を昨日のことのよ

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