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俺の夢 #2

 ある電車の中で、見知らぬ母親と娘の手助けをした。酒に酔ったサラリーマンに絡まれていたところを仲裁しただけだ。
 大したことなどしたつもりはないのだが、とにかくお礼がしたいと誘われた。その熱心さに誘いを断りきれず、お宅にお邪魔して夕食をご馳走してもらうことになった。親子の容姿から、豪邸である事は容易に想像できた。それも断りたい理由のひとつだったのかもしれない。

 高級そうなふかふかの絨毯に置かれた座卓を囲み、手の込んだ豪華な料理をご馳走してもらった。その美味しさに、誘いを断ろうとしていたことをすっかり忘れて、食後にはテレビを見ながら談笑していた。

 気がつくと娘さんは俺の左側に座っていた。距離がやけに近い。徐々に俺の左側に温もりと荷重が伝わってくる。胡座をかいた膝の横に置いた左手の小指に微かに感じる体温。徐々に俺の小指の下で確かなものになって行く感触。重なり、ついには組まれる小指。そして、綺麗でいい香りのする髪の毛が肩に、耳たぶに触れた。横目にチラリと見た美脚にも目が奪われた。

 母親が目の前にいるというのに大胆な行動をする娘さん。俺は自制心を保とうと試みるが、鼓動は俺の意思では制御出来ない。

 胸の鼓動はさらに高まり、ついに寄りかかった彼女に体重を預け返した……

 そんなところで目が覚めた。

 鼓動はマナーモードを解除し忘れたスマホの目覚まし。俺の左側には、洗濯して畳んで山積みに置いてあったタオルやらトレーナーが崩れて寄りかかっていた。

 誰かの手助けをしてお礼に…っていうのは現実としてあるかもしれない。6畳トイレ風呂なしに住む安月給で身なりもそれなりの俺に、横に座って身体を預けてくれる綺麗な女性がいるなんて夢。ましてやそれが彼女になることなんて夢のまた夢。

俺の夢も是非!

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