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藍々の短編小説

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ごきげんよう、藍々です。 すぐ完結のオリジナル短編小説や詩はこちらですよ。
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#創作

小説 札幌駅前のチェーンのカフェにて

小説 札幌駅前のチェーンのカフェにて

 ムツキは落胆していた。都会の薄給が原因ではなかった。
 3年目の札幌で、彼女は11時からの派遣バイトの登録会まで時間を潰すため、チェーン店のカフェに入った。2月の比較的穏やかな週で、予報では久々のプラス温度だったが、雪がちらついていた。
帯広の田舎から出てきたムツキは、OLスーツのくたびれが似合うようになってきたら、どうでもいい空き時間をどこにでもあるチェーンのカフェで過ごすことに憧れていた。

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小説 時計仕掛けのパリピ

小説 時計仕掛けのパリピ

以下嘘である。

ふと、パリピを捕まえて拷問することにした。

彼らに罪はない。

だが誰しも、こう思ったことはないだろうか。
「パリピの虚無感ってのがあるなら見てみたい」
僕は時々思う。

彼らは隙を見せない。

彼らだって、朝家に帰って一人でベッドになだれ込んでから泥のように眠る前に、酔いが覚めるときがきっとある。
だがその時、彼らは一人。
次にパリピが人前に姿を現すとき、やはり彼らはパリピな

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