#シロクマ文芸部
掌編小説 | 梅の花 | シロクマ文芸部
梅の花がいいと言ったら、渋いねと言った。その女は、オフショルダーのカットソーを着ていた。肌には、背中から肩へ這い上がってきたような格好のヘビが彫られている。悪戯な表情のヘビは、もう少しで彼女の鎖骨を丸呑みしそうだ。
「テスって呼んで。ヘビじゃなくて、アタシのこと」そう言って笑った。外人の男の子のような顔。色白で、後ろを刈り上げた金髪のショートヘアがよく似合う。
テスに、わたしはタトゥー入れそ
【#シロクマ文芸部】金輪際走らねぇ
走らない、と決めたからには絶対に走らない。
男はちょっと意地悪な気持ちになったんですね。
きっかけは、手にしていた湯飲みでした。
おどけて走った拍子に中の般若湯がこぼれたもんで、おかみさんが
「もったいない!今日の分はこれきりなのに!」
と叫んだんです。
仕事が終わって長屋のみんなと他愛もない話を楽しんでいる最中にそんなこと言われたもんだから、男はヘソを曲げちまってね。
「俺は金輪際走
オバケの文化祭 #シロクマ文芸部
文化祭が近づくにつれ、この学校では毎年「ある噂」が立つ。
「文化祭には『主』がいるらしいよ」
「それ聞いたことある!」
ちなみにその「主」とは 僕のことであり
そして、オバケ だ。
昔文化祭の出し物でお化け屋敷をやったクラスの集合写真に
僕はみんなと一緒に仲良く写った。いい笑顔でよく撮れていたと思う。
普段は驚かさないよう注意を払っているけど、その時は気分が上がり
どうしてもみんなと集合写真
そこは桃源郷…|#シロクマ文芸部
街クジラを知っている?
太古の昔から大海原を気ままに泳ぐ、大陸のような大クジラ。もしも会えたら、是非その背中を見てほしい。鬱蒼とした森林に覆われた奥に、美しい街が作られている。
街クジラの背中は不思議な世界。
もしも背中に降りることができたら、初めにマングローブのジャングルみたいな所を通り抜け、だんだん山の中に入っていくように登っていく。見たことのない鳥たちのさえずり声や、見たことのない花々の香
「海砂糖」#シロクマ文芸部
『海砂糖』一欠片からお売りします(^^)
海が見える小高い丘に住むあたし、渚。女系家族のこの家に生まれた娘は代々、海水から砂糖をつくる秘術を受け継ぐことが習わしとなっています。
えっ?海水から砂糖がつくれるのかって!?まあ、秘術ですからねぇ。詳しくは教えられないけれど、優しいPale Blueの色をしたこの砂糖は、ピュアなウェディングのシーンには欠かせないもので、永遠の愛を誓う結婚式のウェデ