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イチオシ短編

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XXXいにしれXXX

XXXいにしれXXX

 僕の名前は太目 鏡。大学の友達からはボルボックス山本って呼ばれてる。

 見ての通り僕は太ってて、度がめちゃくちゃ強いメガネかけてて、八の字のまゆ毛に逆八の字のつり目、穴が1個しかない「A」みたいな形の鼻、常にキスの形のタラコ唇、いろんな方向に伸び放題のヒゲ、ザビエルみたいな髪型で、大学ではウェーイ系にいじられ放題だけど、僕は決して落ち込んだりしない。

 なぜなら僕には、最愛の彼女がいるから!

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タケノコ

タケノコ

 真夜中の公園。
 ふとベンチに目をやると、1組のカップルが逆立ちをしてこちらを見ていた。
 4つ並んだその目には一切の光がなく、表情も虚ろであった。

 今日は三男の誕生日だった。そして、命日でもある。
 私の子は3人とも、生まれたその日に自ら命を絶ったのだ。

 三男の顔を思い出していると、次第に猫が集まってきた。午前2時である。

 1匹、2匹と立ち上がり、やがて集まっていた全ての猫が直立し

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ちんちんの学校

ちんちんの学校

 ここはちんちんの学校。
 今日もちんちんの時計が、ちんちんのチャイムを鳴らしている。

『チーンコーンカーンコーン』

 時計に内蔵されたちんちんが、ゆっくり左右に揺れながら1日の始まりを告げる。
 今日もクラスにはちんちんのついた生徒17名と、ちんちんのついていない生徒18名が元気にちんちん学を学びに登校していた。

「今日はちんちん座談会をやろうと思う。いつものように机をくっつけて7つの班に

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サクサクうんちのマーメイド

サクサクうんちのマーメイド

 虎になる夢を見ていた。

 縦横無尽に野山を駆け巡り、象を捕食し、巣でテキーラを呷る。
 夢の中で私は、王者だった。

 目が覚める。
 鏡の前にはいつもの自分。

 それでもなにか、心持ちが違った。

 本当は自分はすでに虎なのかもしれない。心のどこかで少しだけ、そんなふうに思った。

「バビボラちゃん、いつになったらみんなと同じように出来るようになるの? もう半年以上あなたのお世話をさせられ

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婚約破棄されたカキフライ令嬢は奇跡の再会を果たし、永遠の愛を誓い合う

婚約破棄されたカキフライ令嬢は奇跡の再会を果たし、永遠の愛を誓い合う

 貴族の集まる結婚式で「次は私かな」なんて思いながらお料理を食べていたら、婚約者のオカイケ・サンビヤ・クエン王子に「オメーモットンノカ・クーポン! 君との婚約を破棄する!」って言われたの。

 突然のことで頭が真っ白になったわ。だって思い当たる節なんてないし、こんなおめでたい席でのことなんだもの。しかも今日、クリスマスなのよ。

「なぜなのですか!」

「やれやれ⋯⋯そんなことも分からないのか」

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ママラミラ惡卿、ほか

ママラミラ惡卿、ほか

 申し遅れました。私、アミノ酸大好き、歯抜けのベロベラと申します。以後お見知りおきを。

 この色は多分Mステですね。

 Mステが反射してるんだと思います。

 さて皆さん、どうですか最近。
 暑いですか?
 暑いですよね。
 今日外48℃ですって。

 こんな時は怖い話しましょうよ。持ってきましたよ、怖い話。さっき遭遇したんです。

 これは私が1歳の頃のお話⋯⋯

 地下鉄の通路を歩いている

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【詩】鼻と鼻、指と指

あなたに傷をつける

愛の証として一生消えない傷をつける

愛とは、暴力だと思う

気持ちいい 気持ちいい

響き合う鼻と指 滴り落ちる赤い液体

愛ゆえに傷つける

もうあなたを汚したこの傷は

消えない 消えない 消えない

あなただけでは飽き足らず

知らない女を知った

知らない鼻をほじった

赤は赤と混じり、指を染めている

そう、それは大事な液体と液体との触れ合い

あなたと私が触れ合

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【詩】あたしの愛は

【詩】あたしの愛は

あなたにとっての裏口だから
いつでも頼ってくれればいい
こっそり助けてあげるから
お金だって貸してあげるし、体だって捧げるわ

もちろん誰にも言わないよ
思う存分甘えてね
あたしもいっぱい甘えるよ

あなたにとってたったひとつだけの裏口
それがあたし
なんでも吐き出せばいいの

あなたのことを誰よりも知ってる
あの女に言えない秘密だってあたしは何個も知ってるし
誰よりもあなたのことを愛してる

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良薬は口にペンギンのイワシ

良薬は口にペンギンのイワシ

風呂(ローフー)で身体を洗っている時間が、この世で1番嫌な時間た。

全自動で綺麗になってくれればいいのにといつもいつもいつもそう思うのだん。

そんなことを考えながらPさんがふと窓の外を見ると、そこには白い顔の女の顔があった。

「キャーーーーーーーッ! 覗きィイイイイヤァァアアアアアアア!」

Pさんは力の限り裏声で叫んだ。

それを聞いた白い顔の女の顔は驚いたような顔をして顔を引っ込めた。

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へぬるへぬるそ様

へぬるへぬるそ様

Mission

「Shit! Mania wanna cutter car!」(訳:クソ! 間に合わなかったか!)

 何者かにより山が荒らされ、動物たちの死体がいたるところに転がっている。調査隊が到着した頃にはすでに犯人の姿はなかった。

 この地点から東に約40mにわたって草木が倒されている。おそらくヤツが無理やりここを通っていったのだろう。

 ガサゴソ

 と背後から音がした。男は倒れた

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桜餅ティッシュ事件

桜餅ティッシュ事件

 ある春の日の午後、昼食から戻った彩花は自分のデスクの上に手紙らしき物と、ピンク色の物体が置いてあることに気付いた。彼女は入社2年目で、この会社の中ではまだまだ新米だ。しかし、皆とは打ち解けているつもりだ。そんな彼女は思った。

『もしかして、これが噂に聞くラブレターなのでは!』

 デスクに近づくと、そうでもないことが分かった。手紙には『良かったら食べてね(^-^)』とやたら太い字で書かれており

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飛来するマザーQ

飛来するマザーQ

決して疑ってはならない

決して詮索してはならない

確証が持てたならば、ただちに抹殺せよ

「マーコリン、入るわよ〜」

 聞き慣れた母親の声に咄嗟に背を向けた。

「Shit!! ノックくらいしろよババア!」

 オレは今、自分を慰めていたのだ。
 これは独りでなければ出来ぬ仕事で、誰にも見られてはならぬ儀式であった。

「はいはいソーリーソーリー。それよりあんた、これ」

 そう言って差し出

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セニョール納屋橋が噂の幽霊居酒屋に行くらしいぞ!

セニョール納屋橋が噂の幽霊居酒屋に行くらしいぞ!

 私は気品溢れる心霊マニア、セニョール納屋橋。今日は噂の居酒屋に行ってみたいと思う。繁華街にあるこの店は、見た目こそなんてことのない普通の居酒屋だが、インターネット様の情報によると、1人で入った客には必ず幽霊が憑くというのだ。気品溢れる心霊マニアとしては行かない訳にはいかないだろう。

 平日の夜に訪れたのだがなかなか辺りも賑わっており、この街の元気さがうかがえる。あ、隣の大人のお店におじさんが入

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じじい死ね

じじい死ね

 いとこの家の壁には「じじい死ね」と書いてある。砂壁なので、彫ってあると言った方が正しいだろうか。

 その家には私のいとこである将兄にいと、その妹の楓クリニックと、叔父さんと叔母さんとじいちゃんが住んでいた。

 例の「じじい死ね」なのだが、実は未だに犯人が判明していない。
 ただ、そういうイタズラをするのは子どもだろうということで、我々は将兄による犯行だと認識していた。
 本人は認めていないが

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