七宝

小説みたいなのやエッセイみたいなのを書いてます。限りなく猫に近い犬です。名前はサンドイ…

七宝

小説みたいなのやエッセイみたいなのを書いてます。限りなく猫に近い犬です。名前はサンドイッチです。可愛がってやってくさい。

マガジン

  • イチオシ短編

  • その他

    物語でもない、言葉遊びでもない、詩でもない、日記でもない、エッセイでもない。文芸に非ず。

  • エッセイ

  • 怖いけど怖くない怪談集

    略して怖怖怪談

  • 日記

    日記系の記事をまとめました

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いろはにほいと

え  朝っぱらからおれは血を流していた。  つい数時間前に頭のおかしなサラリーマンに顔を何発も殴られ、唾を吐かれ、土手っ腹を蹴り上げられ、泥を食わされたからだ。  あんなのが普通に会社に行ったり家で家族と飯を食ったりしていると思うと恐怖でアソコが縮み上がっちまう。「パパやってます」なんて言われた日にゃショックで心臓が止まるに違いない。  だがおれは犯人を恨んじゃいねぇ。  世論もそうだ。こんなとこで寝てたおれが悪いと言って、ちゃんと働いてる方を庇うだろうよ。  この

    • XXXいにしれXXX

       僕の名前は太目 鏡。大学の友達からはボルボックス山本って呼ばれてる。  見ての通り僕は太ってて、度がめちゃくちゃ強いメガネかけてて、八の字のまゆ毛に逆八の字のつり目、穴が1個しかない「A」みたいな形の鼻、常にキスの形のタラコ唇、いろんな方向に伸び放題のヒゲ、ザビエルみたいな髪型で、大学ではウェーイ系にいじられ放題だけど、僕は決して落ち込んだりしない。  なぜなら僕には、最愛の彼女がいるから!  彼女は文武両道容姿端麗傍若無人天上天下唯我独尊雲湖朕鎮坦々麺で、僕にはもっ

      • インドします

         夜が明ける。  血が、  血が。  ひとつ、ふたつ。と。  何が何を殺して、いくつ死んでいるのか。  明日になれば分かる気がした。  そう思ってから千年経っていた。  鬼を喰らう。  旬の鰻と似た味わいだ。  俺は何者でもない。  決まっているのは、地獄に落ちるということだけ。  これはそれまでの暇つぶし。それ以上でも、以下でもない。  体の違和感で目を覚ますと、腹の上に傷だらけの女が跨っていた。  錆びた乱杭歯を剥き出しにして、ネチャネチャと汚い音を出しな

        • 黒い原風景

           目を閉じると、暗闇の中に顔が浮かび上がってきます。  それはいつも笑っています。  幼い私を抱きかかえ、とても幸せそうな顔をしています。  それは若い頃の母によく似た顔をしていますが、決して母ではありません。AIで作った画像みたいな、本人の要素で構成された別人の顔です。  闇の中で微笑むこのモノクロの女性は、いったい誰なのでしょうか。  2ヶ月前のことでした。  通勤のためにバスに乗っていると、妊婦さんが乗ってきたんです。  優先席はお年寄りで埋まっていたので、

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        いろはにほいと

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        記事

             上になります。

             上になります。

          ジジイを殴りたい

           ジジイ殴りを趣味にしているとかではなく、殴りたいジジイがいるのだ。殴るべき理由のある特定のジジイが⋯⋯  遡ること400万299時間1分8秒前。  セルフレジで「なんでカニってクモと同じようなフォルムなのにキモくないんだろう。毛ガニなんてほぼクモなのに」なんて思いながらお会計をしていたところ、隣の会計機の方から「おい」と声がした。  振り向くと70代くらいの男子がこちらを向いて立っていた。付近には誰もいなかったので、100%私に向けた言葉だろう。なんだ? 告白か?

          ジジイを殴りたい

          タケノコ

           真夜中の公園。  ふとベンチに目をやると、1組のカップルが逆立ちをしてこちらを見ていた。  4つ並んだその目には一切の光がなく、表情も虚ろであった。  今日は三男の誕生日だった。そして、命日でもある。  私の子は3人とも、生まれたその日に自ら命を絶ったのだ。  三男の顔を思い出していると、次第に猫が集まってきた。午前2時である。  1匹、2匹と立ち上がり、やがて集まっていた全ての猫が直立した。  私を囲む猫たちは両手を合わせると、静かに目を閉じた。  その頃、ベンチ

          タケノコ

          【短編】赤ん坊を一瞬で泣き止ませる方法

           休日、鼻をほじったり耳をほじったりほじったものを食べたりしながらスマホをいじっていると、赤い字でデカデカと「どんな赤ちゃんも一瞬で泣き止みます!」と書かれたアイコンのアプリが目に止まった。  俺にも生後1ヶ月3日12時間40分27秒の息子がいるが、さすがにこんなふざけたアプリは興味本位でダウンロードしてみるよそりゃ。夜泣きすげーもん。  起動してみると、1枚の画像が表示された。  夜の暗い時間に撮られたと思われる、1人の男が街灯の近くに立っている写真だった。真っ黒な上着

          【短編】赤ん坊を一瞬で泣き止ませる方法

          【日記だじょ】激安人形!ほほほ( ^ω^)ほう!

          ※画像が80枚あるのでWiFi推奨  川柳みたいなタイトルで失礼。  今回は、書こう書こうと思って4ヶ月経ってしまった12月中旬の日記だ。メモを頼りに書いていく。  この日私は、大学時代の友達と遊びに行く約束をしていた。  のに、前日の夜にお酒を飲みすぎてしまい、シャワーも浴びずに、歯も磨かずに寝てしまった。 「汚い」「うんこ人間」「非国民」「鮫」など非難の声が聞こえてくるが、諸君らにもそういう日はあるだろう。ない者だけ石を投げなさい。  硬い床に寝ていたせいか、6時

          【日記だじょ】激安人形!ほほほ( ^ω^)ほう!

          手羽先エッセイ

           すみません、言葉より先に手羽先が出てしまいました。失礼しました。こんにちは。  やっぱり名古屋人ともなると、こういうことも少なくはないわけで。日々手羽先のことばかり考えていますからね。  ほら、待ち受けも。  名古屋民ってみんなこうなんですよ。全員手羽先大好きですし、全員美味しく料理出来ます。  ということなので、今日は愛知県を除いた46都道府県と、日本以外の195ヶ国に住んでいる方に向けて、手羽先への愛の伝え方をレクチャーしていこうと思います。  まず、手羽先を

          手羽先エッセイ

          ミューのカニ散歩 1歩目

           私は〝白銀の騎士〟ミュー・ホワイト。普段は王宮に仕えていて、休みの日は町の畑を回って野菜泥棒をしているの。でも今日は泥棒の顔は封印しとかないとね!  せっかくだから、趣味のカニ散歩でもしようかしら。  ううん、違うわ。横歩きするんじゃなくて、カニを探しながら歩くの。  今日はいい天気ね。見て、綺麗な雲。  テレビや漫画なんかで子どもが「わたあめみたい!」って言って、周りの人に「可愛い〜」なんて言われてるのをよく見るけれど、私はそうは思わないわ。  だって、わたあめっ

          ミューのカニ散歩 1歩目

          さるかに合戦(ほんもの)

           むかしむかしあるところに、カッパが500匹住んでいました。  それとは別のところに、柿の親子がおりました。親子はとても仲が良く、ご近所では「あいつらデキてんじゃね?」と噂されるほどでした。  そんなある日、子柿が散歩をしていると、反対車線から大きな桃が転がってきました。 「こんにちマ」 「こんにちモ」  両者は挨拶を交わし、唾を吐き合ってすれ違いました。子柿の口の中には桃の味が、桃のお尻の中には大根の味が広がっていました。  それから約1年後、柿の親子の家にカニ

          さるかに合戦(ほんもの)

          【エッセイ】酒飲めば勝手になんか書き上がる

           川柳みたいなタイトルで失礼します。七宝です。  実は私、20歳を超えているのでお酒を飲んだり飲まなかったりするんですけどね、最近お酒に飲まれることがあるんです。  と言っても全裸で外を走り回ったりとか、通行人にビーム撃ったりとか、そういう人に迷惑をかけるということはなくって、1人で変な行動をしちゃうんですね。まぁ酔っ払いってみんなそうなんですけど。  ただ、私のその変な行動の中に、『使えるヤツ』がありまして、それがタイトルにもなってる自動執筆機能なわけです。  まだ

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          【エッセイ】酒飲めば勝手になんか書き上がる

          これはいじめですか?

           沢村カニホタテさんは小・中・高といろんな人にいじめられてきたのだという。なんでも、酷いことを言われるのだとか。 「妖怪ゲボ吐き。それが僕のあだ名でした」  初めてそう呼ばれたのは小学3年の時だったという。 「気分が悪くて吐いちゃって、その時ちょうどドルあもんに出てくるジャイオンみたいな子が近くにいて、それからですね」  瞬く間に校内中に噂がヒョロガリ、誰かとすれ違う度に「妖怪ゲボ吐き」と言われるようになったのだという。  いじめに耐えきれなかった沢村さんは小学5年

          これはいじめですか?

          しっこ寿司

           ここはしっこ寿司。しっこ村唯一の寿司屋にして、創業2年の老舗である。  今日も村の重役の男が黄色いスーツで来店した。  歳は恐らく52歳〜52歳4ヶ月。身長は2m、肌の色は銀、血液型はAB型といったところだろう。 「すみません」 「はい!」  カウンター越しに大将に声を掛ける男。 「お茶くだちゃい」 「えっ」 「お茶くだちゃい」 「あ、はい、かしこまりました!」  数秒後、カウンターに黄緑色の玉露の入った湯呑みが置かれた。 「大将、これは誰のしっこですか

          しっこ寿司

          ちんちんの学校

           ここはちんちんの学校。  今日もちんちんの時計が、ちんちんのチャイムを鳴らしている。 『チーンコーンカーンコーン』  時計に内蔵されたちんちんが、ゆっくり左右に揺れながら1日の始まりを告げる。  今日もクラスにはちんちんのついた生徒17名と、ちんちんのついていない生徒18名が元気にちんちん学を学びに登校していた。 「今日はちんちん座談会をやろうと思う。いつものように机をくっつけて7つの班に分かれてくれ」  ちんちん学担当の陳・珍の指示通り教室内の地形を変動させて作っ

          ちんちんの学校