これはいじめですか?
沢村カニホタテさんは小・中・高といろんな人にいじめられてきたのだという。なんでも、酷いことを言われるのだとか。
「妖怪ゲボ吐き。それが僕のあだ名でした」
初めてそう呼ばれたのは小学3年の時だったという。
「気分が悪くて吐いちゃって、その時ちょうどドルあもんに出てくるジャイオンみたいな子が近くにいて、それからですね」
瞬く間に校内中に噂がヒョロガリ、誰かとすれ違う度に「妖怪ゲボ吐き」と言われるようになったのだという。
いじめに耐えきれなかった沢村さんは小学5年の夏に、県外の小学校への転校を決めた。
「でも、またいじめられるようになってしまいまして⋯⋯」
生来戻しやすい体質だった沢村さんは、転校先でも戻してしまったのだという。
そんな生活を高校まで続けた。
地獄のような日々だったことだろう。
「だから僕、僕みたいな体質の子を治せるように、医者になろうと勉強しているんです!」
13浪中だという。
「今年こそは医学部に受かって、う、ゔぉっ!? お、お、おげぇぇぇええええ!!!」
そんな声を出しながら、沢村さんは私に向かって嘔吐した。
「沢村さん、大丈夫ですか?」
「おぇおろろ! おぇ、おっ、おぇっ、くらえっ、おぇっ、おぇぇぇえええ!!」
2発目があった!
そういえば今、小さい声で「くらえっ」って言わなかったか?
「沢村さん、わざとかけてるんですか?」
「そうです! くらえっ! くらえっ!」
「妖怪ゲボ吐きじゃねーか!」
私は沢村さんを殴った。どれだけ彼が叫んでも、拳が壊れても、ペチャンコになるまで15時間、休むことなく殴り続けた。
沢村さんはネギトロみたいになった。
妖怪ゲボ吐きの最期にふさわしい見た目をした、真っ赤なゲロのようなネギトロだった。
fin
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