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【短編】赤ん坊を一瞬で泣き止ませる方法
休日、鼻をほじったり耳をほじったりほじったものを食べたりしながらスマホをいじっていると、赤い字でデカデカと「どんな赤ちゃんも一瞬で泣き止みます!」と書かれたアイコンのアプリが目に止まった。
俺にも生後1ヶ月3日12時間40分27秒の息子がいるが、さすがにこんなふざけたアプリは興味本位でダウンロードしてみるよそりゃ。夜泣きすげーもん。
起動してみると、1枚の画像が表示された。
夜の暗い時
【怖いけど怖くない怪談】#8異声
借金を苦に首を吊って死んだ家主の霊が出ると噂の廃墟に、友人のかつやと2人で夜中に行った帰りの出来事だった。
「なんにもなかったな。幽霊どころか、嫌な臭いすらしなかったな」
「んだんだ。ありゃ眉唾だべ」
暗い道を歩きながら、廃墟への不満をこぼしていた。
「なぁまつや、あの場所誰に聞いたんだ?」
「んー、誰だったっペかなぁ〜」
俺様が記憶の引き出しを右端から順に開け閉めしていると、か
【怖いけど怖くない怪談】#7布団から手を出して寝ると
何かに触られた気がして目を覚ましたが、そんなわけがない。ひとり暮らしなんだから。よし、もう1回寝よう。
それからすぐに布団から出していた右手の甲を〈トントン〉とされた気がした。
気味が悪かったが、それ以上に眠たかったので、手足を布団の中にしまってそのまま眠った。
次の夜、今度は布団から出ていた足に冷たさを感じて目を覚ました。
〈誰かが触った〉
そう直感した。
それに、一瞬だけ
【怖いけど怖くない怪談】#6またいる
当時、その場にそんな男は居なかった。
しかし、実際に写っている。撮影した写真全てに、その男が写り込んでいるのだ。
ただ花が綺麗だね、気持ちいいね、と日常の1枚として撮影したにすぎなかった。当然そこも、その周辺も、なんのいわくもない普通の場所だった。
それから男はどこに行くにもついてくるようになった。
東尋坊、水族館、スカイツリー、沖縄の海、遊園地、旅館など、奴はあらゆる記念写真に写
【怖いけど怖くない怪談】#5お父さんとジョウシ
こんな話を聞いた。
同僚のSが小さかった頃の話だ。
「大変な仕事があるからお父さんをしばらく借りるね」
Sにそう告げたのは、Sの父親とたまに顔を会わせている〈ジョウシ〉という男だった。
ジョウシはSの父親に厳しく、会う度に怒鳴りつけていたが、Sに対してはいつも優しかった。
「Sくん、ドラえもんとカオナシ、どっちがいい?」
DVDでも買ってくれるのかと思ったSは、嬉々として「ドラ
【怖いけど怖くない怪談】#2デルヘヤ
このホテルには、「出る」という噂の絶えない部屋がある。
「先輩とラブホに来ることになるなんて思いもしませんでしたよ」
露骨に不満な顔をして言う阿蘇古。
「俺だって男2人でこんなとこ来たくねぇよ」
不機嫌そうに言い返す照減。
弱小サイトのWebライターである2人は、霊が出るという噂が本当なのかを確かめに来たのだ。
「で、どんな霊が出るんですか? ここで亡くなった人がいたとか?」
【怖いけど怖くない怪談】#1真夜中のドライブ
ドライブ好きなSさんの彼はその日も急に連絡してきたそうで、深夜のドライブに駆り出されたのだという。
「もうお風呂も入っちゃって、あとは寝るだけだったんだよ?」
寝る準備をしていたSさんが不満を述べる。
「ごめんごめん、ネット見てたら良い道見つけちゃってさぁ、Sと一緒に走りたくなっちゃってぇ」
彼はいつも思い立つと昼夜問わずSさんをドライブに誘うのだそうだ。
暗い山道をただただ進ん