【怖いけど怖くない怪談】#4トンネルの起爆霊
ある日、あるカップルが、あるトンネルへ肝試しに訪れていた。
「んでさぁ、ボタン押したらRちゃんのアゴのホクロから毛が生えてきてさぁ〜」
「あるあるだよなぁ〜」
霊が出ると言われている時間になるまで他愛もない会話で時間を潰すカップル。
「それにしても、ほんとに真っ暗だね」
「使われてないトンネルだからなぁ。本当は立ち入り禁止だしな」
「ゲボラゲボラゲボラゲボラ!」
「ちょっ、ちょっ、アキちゃん4ゲボラ! 大丈夫?」
「大丈夫だけど、ごめんね、新車なのにゲボラしちゃって。さっき食べた超盛りシリアル全部出ちゃった⋯⋯」
その時、トンネルの奥の方から大きな音がした。
「なに今の!? 岩かなにかが崩れたの!?」
「分かんないけど、ただごとじゃなさそうだ」
「あ、ロキくん! 時計見て!」
「あっ!」
6時66分。霊が出ると言われている時間だ。
「いやぁっ!!!」
アキが悲鳴を上げた。
「どうしたのアキちゃん!」
「今、何かが足に触れた⋯⋯! もしかしてロキくん触った?」
「いや俺そんな軟体動物みたいな構造してないから。どうやったってアキちゃんの足まで届かないよ。それにアキちゃんの足元ゲボラだから触りたくないよ」
「じゃあ、さっきのは一体⋯⋯あっ! また触ったぁ!」
「電気つけよ! 電気!」
電気をつけ、足元を確認するアキ。
「きゃぁーーーっ!!」
「アキちゃん!」
アキの足元には、両足を掴む2本の腕と、青白い女の顔があった。
「やめてやめて離してゲボラゲボラゲボラ!」
3ゲボラをしたアキを見つめながら、女が笑った。
その瞬間大爆発が起き、2人は帰らぬ人となった。
次話
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