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ちんちんの学校

 ここはちんちんの学校。
 今日もちんちんの時計が、ちんちんのチャイムを鳴らしている。

『チーンコーンカーンコーン』

 時計に内蔵されたちんちんが、ゆっくり左右に揺れながら1日の始まりを告げる。
 今日もクラスにはちんちんのついた生徒17名と、ちんちんのついていない生徒18名が元気にちんちん学を学びに登校していた。

「今日はちんちん座談会をやろうと思う。いつものように机をくっつけて7つの班に分かれてくれ」

 ちんちん学担当のチンチンの指示通り教室内の地形を変動させて作った7本のちんちんの如き机の列に生徒たちが腰を下ろす。

「それでは始め!!!!」

 座談会スタート。

生徒A「ピザって10回言ってみて」

生徒B「ピザピザピザピザ⋯⋯」

生徒A「ここは?」

生徒B「ちんちん!」

A&B『ガハハハハ!』

 座談会そっちのけで悪ふざけをする生徒。

「やる気がない奴は逮捕だ!」

 私語で授業を妨げた生徒2人は陳に連行され、ちんちんの刑務所にヤギとして収容されることとなった。

 陳がクラスに戻るとすでに議論は終了していたので、みんなでちんちんの歌を歌って下校した。

「ふぅ、今日も疲れたな⋯⋯」

 やや下を向きながら廊下を歩く陳。その視線の角度は、普段なにも考えていない時のちんちんと全く同じであった。

「おや陳先生、いいところに」

「これは校長先生、お疲れ様です」

「陳先生、これ。今月もお疲れ様でした」

「そういえば今日でしたね、ありがとうございます」

「そいじゃまた」

「はい」

 ちんちんでピコピコ会釈をして別れる2人。陳の手には給与明細が握られていた。

「どれどれ、今月はいくらかな」

 ╭━━━━━━━━━━╮
 |差引支給額:ちんちん|
 ╰━━━━━━━━━━╯

「はぁ、少ない⋯⋯」





 夜。
 ちんちんの看板をぼーっと眺めながら、ちんちんの踏切が開くのを待つ陳。
 駅前ではちんちんの団体が、ちんちんのための募金活動をしている。

「精が出るねぇ」

 彼らの頑張りを見た陳は、右のポッケから1万円札を取り出すと、そのまま左のポッケにしまった。

「なに見てんだよ。もらえると思ったのか? ん? あ? あぁん?」

「ぐすん⋯⋯」

 団体の中でも最年少と思われる女の子が泣き出してしまった。

「まったく最近の若いもんは⋯⋯」

 ブツブツ言いながら駅に入る陳。ちんちんのSuicaを改札にあて、ホームへと進む。

『まもなく、ちんちんが通過します。黄色い線の内側までお下がりください』

 ガタンゴトン ガタンゴトン

 矢の如く迫るちんちん。

 ガタンゴトン ガタンゴトン

 その時だった。
 1人の男が線路に飛び込んだ。

「こんなちんちんでスンマセン!」

 そう言い終わる前に、男は轢かれた。

「人ちん事故だぁ!」

「うにゃー!」

 構内は騒然となった。
 パニックになりちんちんを振り回す者、ちんちんをすり潰す者、自販機の硬貨投入口にちんちんをねじ込もうとする者、近くの客とちんちんのE.T.をする者、ハワイの地名を暗唱し出す者など、253人が253様の動揺を見せた。

 そんな中、陳は静かに狂っていた。
 何も言わずその場でじっとして、ただちんちんの皮を引っ張って伸ばしていたのだ。

 やがて清掃も終わり、ちんちんの運転が再開された頃、陳は悟りを開いていた。

「この世の真実、真理、それは⋯⋯ちんちんのおひたし!」

 以前読んだ本にそう書いてあったのだ。ママラミラ惡卿あっきょうという人物の受け売りである。
 満員ギュウギュウすし詰め状態の車内。乗客のちんちんは時折触れ合っていた。

「どの娘にしようかな」

 悟りを開いた陳は、ちんちんのマッチングサイトのアプリを開いていた。ちんちんのマッチングサイトとは、プロフィール写真が全員ちんちんのマッチングサイトである。

「おっ、この娘良さそうだな」

名前:ホモラッシーボーボーチン
趣味:ちんちんのクイズ
特技:ちんちんのクイズ
経歴:ちんちん部
犯罪歴:ちんちんの殺人

「『次の土曜にでもホテルに行きませんか』っと⋯⋯よし」

『まもなく、ちんちん公園前〜ちんちん公園前〜』

 陳が降りる駅である。

『お出口は左側です。開きますドアにご注意くだちい』

 ホームに降り立った陳。どこからか声が聞こえる。

「ちんちんやめよう!」

「ちんちんやめよう!」

「ちんちんなくそう!」

「ちんちんなくそう!」

 駅を出ると、マイクを持った男女数名が演説をしていた。先ほどの団体と対立している、ちんちん撲滅運動の団体だった。




 オンボロアパートのドアを開け、部屋に入る。明かりひとつない完全な闇の中、手探りで廊下の電気をつける。

 ふにっ

「ん? なんだ今の感触」

 陳の手に、スイッチではない柔らかいなにかが触れた。改めて壁を探る。

 ギンッ

「硬くなった! なんだこりゃ!」

 棒状のそれは、ちょうど人の腰のあたりの高さにあった。

 パチン

「あ、ついた」

 無事に電気をつけることが出来た陳は安堵の表情を浮かべ、ズボンとパンツとパンツと服を脱いで風呂場へ向かった。

「情熱の赤いバラ〜♪」

 教師という職業柄、彼には遠方への転勤があった。今回のように、引越しを伴うような転勤では、家族を連れて来ずに単身赴任の形をとっている。そのため、シャワータイムは誰にも邪魔されることなく、好きな歌を歌うのだ。

「うるせぇぞ!」

 隣人ちんちんからのクレームだ。

「そしてジェラシ〜にゃおにゃお♪」

 シャワーから上がった陳は、真っ先にちんちんの水分を拭き取った。あとは自然乾燥。

 居間に腰を下ろし、ちんちんのリモコンでテレビをつける。

「ちんちんの甲子園かぁ」

 野球に興味がない陳は1秒でチャンネルを変えた。
 ちんちんの時代劇だ。刀は危ないので、ちんちんでチャンバラをするという番組だ。

「ギャッホホホ! オホホ! やっぱりちんちんの時代劇はおもしれーなぁ! オッホホ!」

 テレビの横にはちんちんの家族写真が飾られている。ちんちんの家族写真とは、家族のちんちんだけを写した写真である。ちなみに、娘1人の3人家族なので、写真には彼のちんちんが写っているのみである。

「はぁ⋯⋯たま保子ぽこ、会いてぇなぁ」

 写真を見ながら、家族に思いを馳せる陳。

『ちんちんのニュース速報です』

 ちんちんの団子屋のシーンから、突如画面が切り替わった。

『今朝、都内に住む男性のちんちんが逮捕されました。以上、ちんちんのニュース速報でした』

「今朝の話かよ」

 画面が戻ると、ちょうどちんちんの侍がちんちんを抜くシーンになっていた。

『次回も見てくれよな!』

「さて⋯⋯」

 番組が終わると、陳はちんちんをひと撫でし、立ち上がった。夜ご飯を作るのだ。

「パスタしかないな⋯⋯」

 規定の時間、パスタを茹でる陳。味付けは塩としっこだけだ。

 チンポーン

 ちょうどパスタが茹で上がる頃、ちんちんのインタホーンが鳴った。

「ちっ誰だよこんな時に」

 火を止め、玄関に向かう陳。

「はーい」

 ドアを開けると、髭面の大家が紙袋を持って立っていた。性別は女、身長は3メートルだ。

「これ、去年旅行に行った時のなんだけど、良かったらどうぞ」

 紙袋から取り出した箱のパッケージには、筆のようなもので「ちんちんのまんじゅう」と書かれていた。

「おおきに」

 大家が帰ってから側面を見てみると、消費期限が3年過ぎていた。

「さて、パスタ引きあげないと⋯⋯あっ」

 持ち上げた麺がぶちぶちと切れる。食べてみると、案の定ふにゃふにゃになっていた。

「とほほ、あのババアのせいでふにゃふにゃに⋯⋯ってそういえば、家帰って来た時ふにゃふにゃのちんちん触った気がするぞ! 誰か家に忍び込んでるんじゃないか!?」

 ピコン

 マッチングサイトのホモラッシーボーボーチンからだった。

『土曜日? いいねー! 何曜日にする〜?』

「おっ」

 どうやら脈アリのようだ。

「『土曜日はどう?』っと⋯⋯よし、送信」

 不味いパスタをちんちんで啜りながら、ウキウキ気分で返事をする陳。

 プルルンコ プルルンコ

 電話だ。どうやら妻のちんたまからのようだ。

「もっしもし」

『あもしもしあなたぁ? テレビ見たぁ?』

「なんだ? もしかして誰か出てたのか?」

『さっきニュース速報で流れてたんだけど、お義父さんが捕まったのよ』

「えっ!? あれ親父だったのかよ!」

『そうなのよ!』

「草」

『それな』

「じゃあな」

『またねあなた』

 電話をしていたせいでパスタが冷めてきた。「熱いパスタ以外は認めません。許しません。裁判です」が口癖の陳は、冷める前にと口いっぱいに頬張った。

「もむっ!? 喉につまっパ! うばぁ!」

 悶えながら立ち上がり、コップに氷を入れ、しっこを注ぐ陳。

「ゴクゴクゴクキャァーーーーーー!!」

 なんとかパスタを飲み込んだ陳は、プリンの味を想像しながら続きを食べ進めた。

「かっとばせーちんちん!」

 コップと氷を取りに行っている間になぜかチャンネルがちんちんの甲子園になっていたので、仕方なく応援をするちんちん。

「あっ」

 肘がコップに触れた。

 パリンモッ

 音もなく、コップは割れてしまわれた。

「懸賞で当てた珍しめのコップがぁー!」

 泣き叫びながらちんちんの掃除機でこぼれたしっこを吸う陳。体勢は腕立てに似ている。

「アウッ!」

 マイケルに似た短めの悲痛な叫び声が上がった。コップの破片まで吸ってしまったのだ。

 ビッビッビー!!!

 ビッビッビー!!!

「うるせぇぞ!」

 午前0時のチャイムである。爆音で鳴るが陳は気にしない。耳が遠いから。もちろん隣人からのクレームも聞こえない。耳が遠いから。

「もうこんな時間か⋯⋯ちんちんの体操して寝るか」

 ちんちんの体操とは、オ○ニーの最上級のキモい言い方である。

 シュッシュッシュッ

 シュッシュッシュッ

 シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ

 シュッ シュッ シュッ シュッ

  シュッ シュッ シュッ

シュッ シュッシュッシュッシュッ

シュッシュッ シュッ シュッ シュッ シュッ

 シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ

 シュッ シュッ シュッ シュッ シュッ

 シュッシュッシュッシュッシュッシュッ





 シュークリーム曜日、早朝。

「あら陳さん、ちんちんのおはよう!」

「ちんちんのおはようございます」

 ゴミ捨て場にちょうど居たちんちんのおばさんと挨拶を交わす陳。ちんちんのおばさんは、いつもちんちんの柄の服を着ているのでちんちんのおばさんと呼ばれている。県民全員が呼んでいる。

「よし、今日も頑張るか!」

 今朝もちんちんの泥棒にちんちんを引っ張られたりしたが、陳からするとこんなことは日常茶飯事なので、いつも通り校長とお揃いのちんちんで元気に出勤だ。

 朝のちんちん(電車)では、ちんちんがずらりと並んでいた。壮観だとニュースにもなった。
 そんな中で1人、ちんぶんを広げて2人分の席を取っている男がいた。この世界は、こういう輩を許さない。新社会人はこれから起こることをよく見ておくとよい。

「ちんちん!」

 1人の男がちん聞男に向かって声を発した。

「ちんちん!」

「ちんちん!」

 それに続いて1人2人とちんちんが並ぶ。

「ちんちん!」

「ちんちん!」

「ちんちんちんちんちんちん!」

 やがて、ちん聞男は15人の男に囲まれ、大音量のちんちんの連呼を浴びせられ始めた。

「ちんちんちんちん!」

「ちんちん!」

「ちんちんのちんちん!」

「ちんちんからもらったちんちん!」

「ちんちん!」

「ちんちんだよまったく!」

 15人のちんちんが激怒し、実に30分の間ちん聞男を責め立てた。

 陳はこの光景が好きだった。古き良き令和の文化。人が人を大声で責める。なんと気持ちのよいことか。

 いつの間にか、陳のちんちんも歌っていた。

「あ! しもった!」

 微笑ましい光景に口元が緩んでいた陳だったが、大事なことを忘れていた。

「コンビニ寄らんと!」

 ちんちんの封筒を出さなければならないのだ。
 コンビニに着いたら大きめの封筒を購入し、45円のちんちんの切手を貼ってちんちんのポストに入れる。
 ちんちんのポストとは、ちんちんの郵便屋さんがちんちんの手紙などを回収するために設置されている大きなちんちんである。





 2日後。
 陳は校長に殴られていた。ちんちんを。

「どうして頼んだことをやってくれないのかね! 先方はカンカンだよ!」

 陳は先日、校長から郵便物を出すように頼まれていた。朝の時間のない時に頑張ってコンビニに行って茶封筒を買って切手を貼ってポストに入れた陳だったが、先方が言うには中が空っぽだったというのだ。

「我が校の生徒の個人情報を1人10円で売ろうとしてたのに! 今日までにいるんだよ! 君が立て替えてくれるかね!? えぇ?」

「ちんちんのビーム」

「ちょっ、やめなさい陳先生!」

「ビーム! ビーム!」

「やめんしゃい!」

 みるみるうちに体が溶けていく校長。

「ちんちんのビーム! おりゃあ!」

 2時間後、校長はちんちんのネクタイだけを残し、跡形もなくなって消えていた。

「ちんちんのビーム!」

 上手く当たらなくて最後の1ピクセルだけ残ってしまったので、その1ピクセルを消そうと必死にビームの照準を合わせる陳。

「ウオオオオ」

 バシュン

「やった! ついに、ついに最後の1ブロックを!」

 クリア画面を記念撮影した陳は、次の授業がある9年6組に向かった。

「フン、校長は我らちんちんの四天王の中でも最弱⋯⋯」

 残されたちんちんのネクタイを見ながら呟くジグザグちんちんの男。

「いかにも、校長の代わりなどいくらでもいる」

 ひと昔前の、2つ折りちんちんの男。通称ガラちん。

「でもやっぱちょっと寂しい」

 ちんちんが10本ある男。

 3人で手を繋いで喋っていた。





 夜。
 ちんちんのスーパーでお惣菜を吟味する陳。

「うーん、今日はちんちんのアヒージョと⋯⋯ちんちんのキムチにしよう」

 ちんちんのお酒も選び、ウキウキで店を出る陳。その刹那、下半身に違和感を覚えた。

「お客さん。レジ通してないちんちんありますよね」

 万引きGメンにちんちんを握られていたのだ。

「バレましたか」

「そりゃバレますよ。校長倒したくらいで調子に乗ってるからですよ。警察呼びますね」

 ピッピッピー ピッピッピー

「すいません、ちんちんのタイマーが鳴ってるので帰らせてください」

「えっ、ちんちんのタイマーが鳴ってるなら仕方がないですね。さようなら。ちんちんのさようなら」

「ちんちんのさようなら」

 数年後、彼がちんちんの大会で新記録を叩き出すのはまた別のお話。

 ちんちんのさようなら。

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