鳥居真道

1987年生まれ。トリプルファイヤーのギタリストで、バンドの多くの楽曲で作曲を手がける…

鳥居真道

1987年生まれ。トリプルファイヤーのギタリストで、バンドの多くの楽曲で作曲を手がける。他アーティストのレコーディング・ライブへの参加および楽曲提供、音楽関係の文筆業、選曲家としての活動も行っている。http://notoriious.starfree.jp/

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  • 日記と夢日記

    少なくとも月に4本は更新しています。音楽、映画、ドラマ、本の感想、バンド活動のこと、身の回りのこと、考えたことなど。

記事一覧

人間の練習

人間のふりができない。元気に挨拶する。機嫌良く人に接する。大きな声でハキハキと喋る。自信を持って堂々と喋る。通りの良い発声を心がける。大きなリアクションを取る。…

鳥居真道
15時間前
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鳥居ゼミ番外編の振り返り/選曲、それは楽しい/ウケるウケない問題

9月5日(木)。鳥居ゼミの特別編として緊急シンポジウム『アルバムの現在地を問う(仮)』を開催した。8月13日に歌舞伎町のROCK CAFE LOFTで開催した鳥居ゼミ『EXTRA』回の…

鳥居真道
8日前
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TENCAを取ろう!-鳥居の野望-

8月が一瞬で過ぎ去っていった。7月末日にトリプルファイヤーの『EXTRA』がリリースされてからレコ発の「アルティメットパーティー11」まで怒涛の日々だった。さくっと振り…

鳥居真道
2週間前
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鳥居ゼミ 第8回 トリプルファイヤー『EXTRA』

この記事は、8月13日(木)に歌舞伎町ROCK CAFE LOFTで行われた鳥居ゼミで使用したスライドを再構成したものです。リーダビリティを優先して、講演の書き起こし風を装って…

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鳥居真道
2週間前
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『アルパ(アルティメットパーティー)11』の振り返り

今月は更新が滞っておりごめんなさい。例によって月末までにこれのほかにあと2本更新する予定です。自分よ、ファイティン。 お盆明けの月曜日。トリプルファイヤーの自主…

鳥居真道
4週間前
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トリプルファイヤーのバイトリーダー

先月末、めでたくトリプルファイヤーの『EXTRA』が世界に放たれた。たくさん聴かれているようで嬉しい。ずっと4千人ぐらいだったSpotifyのリスナーも2万人を超えた。願わく…

鳥居真道
1か月前
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トリプルファイヤー『EXTRA』が野に放たれた

本日7月31日、ようやくトリプルファイヤーの7年ぶりとなるアルバム『EXTRA』が野に放たれた。一時は完成しないのではないかという説が浮上していたし、ようやく完成したら…

鳥居真道
1か月前
41

なんだかんだ叫んだってやりたいことやるべきなのかもしれない日記

先週7月17日から配信が始まったトリプルファイヤーの新曲「相席屋に行きたい」が思いのほか好評で良かった。バンド内においては、アルバムから一曲を先行配信するのなら、…

鳥居真道
1か月前
27

トリプルファイヤーの新譜を野に放て

トリプルファイヤーの新作『EXTRA』が7月31日にリリースされる。ようやくここまでたどり着いた。前作『FIRE』からすでに7年近く経過している。バンド活動に従事していなが…

鳥居真道
2か月前
47

バンドの人格

トリプルファイヤーの新作リリースを控えているため、トリプルファイヤーがバンドとして人々にどういう印象を与えているか、人々からどう見られているか、自分たちとしては…

鳥居真道
2か月前
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ギターをたくさん弾いた日

前回、前々回とトリプルファイヤーに関する真面目な記事を続けて書いた。なぜああいう記事を書いたのかと尋ねられたら、書きたかったから書いたのだと答えるしかない。真面…

鳥居真道
2か月前
15

トリプルファイヤーにまつわるイメージについて

トリプルファイヤーと聞いて多くの人がイメージするのは、日本語の響き、リズム、イントネーションとポストパンクっぽいサウンドの組み合わせのようだ。 私がトリプルファ…

鳥居真道
2か月前
29

トリプルファイヤーの音楽について

音楽関係のイベントで出会った初対面の人に自分がトリプルファイヤーというバンドの一員だと明かすと「あ、タモリ倶楽部の」という反応をいただくことがたまにある。あ、タ…

鳥居真道
3か月前
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残高照会怖すぎて無理、とルイス・コールは言った

久しぶりに殺人の夢を見た。とはいえ、この手の夢で決定的瞬間を演じたことは一度もない。どうも誰かを手に掛けてしまったらしいと事後的に事態を飲み込むパターンばかりだ…

鳥居真道
3か月前
20

ヒザ打つな!

少し前に千葉雅也『センスの哲学』を読んだ。千葉雅也の制作論が好きなので楽しみにしていた一冊だ。当方は常々ハイセンスな奴でありたいと願って生きてきた。だから当然セ…

鳥居真道
3か月前
18

新しいアルバムのお披露目会

5/23水曜日。代官山の晴れたら空に豆まいてにてトリプルファイヤー新譜完成試聴会を開催した。お集まりいただいた方にはお礼申し上げます。どうもありがとうございました。…

鳥居真道
3か月前
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人間の練習

人間の練習

人間のふりができない。元気に挨拶する。機嫌良く人に接する。大きな声でハキハキと喋る。自信を持って堂々と喋る。通りの良い発声を心がける。大きなリアクションを取る。相手の目を見て話す。相手の名前を呼ぶ。相手に興味を示す。相手を褒める。自分から話題を振る。ほどよく自己開示する。共感を示す。ことコミュニケーションに関して、社会に生きる人間として期待されていそうな振る舞いがことごとく苦手である。

「情けは

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鳥居ゼミ番外編の振り返り/選曲、それは楽しい/ウケるウケない問題

鳥居ゼミ番外編の振り返り/選曲、それは楽しい/ウケるウケない問題

9月5日(木)。鳥居ゼミの特別編として緊急シンポジウム『アルバムの現在地を問う(仮)』を開催した。8月13日に歌舞伎町のROCK CAFE LOFTで開催した鳥居ゼミ『EXTRA』回のチケットが完売したことに気を良くして、急遽阿佐ヶ谷ロフトAでの補講を企画し、以前からゲストとして待望されていたスカートの澤部くんをお招きした次第である。会場にお越しいただいた方、配信のご覧になった方に感謝申し上げたい

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TENCAを取ろう!-鳥居の野望-

TENCAを取ろう!-鳥居の野望-

8月が一瞬で過ぎ去っていった。7月末日にトリプルファイヤーの『EXTRA』がリリースされてからレコ発の「アルティメットパーティー11」まで怒涛の日々だった。さくっと振り返ってみたい。

7月31日(水)

江戸川橋のキングレコード本社で柴崎祐二さんとエレクトリックバードを巡る対談。ちなみに柴崎さんは学生の頃に所属していたサークル<British Beat Club>の先輩。今こうして仕事でご一緒で

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鳥居ゼミ 第8回 トリプルファイヤー『EXTRA』

鳥居ゼミ 第8回 トリプルファイヤー『EXTRA』

この記事は、8月13日(木)に歌舞伎町ROCK CAFE LOFTで行われた鳥居ゼミで使用したスライドを再構成したものです。リーダビリティを優先して、講演の書き起こし風を装っています。イベントでお話した内容をそのまま文字起こししたものではないのであしからず。内容も多少異なっています。

この日の鳥居ゼミで取り上げたのは私が所属するバンド、トリプルファイヤーの新作『EXTRA』でした。当イベントでは

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『アルパ(アルティメットパーティー)11』の振り返り

『アルパ(アルティメットパーティー)11』の振り返り

今月は更新が滞っておりごめんなさい。例によって月末までにこれのほかにあと2本更新する予定です。自分よ、ファイティン。

お盆明けの月曜日。トリプルファイヤーの自主企画単独ライブ『アルティメットパーティー11』の日。ひとまずこの日を無事に迎えられたことに安堵した。病気や怪我、不祥事、何らかの事件に巻き込まれるなどの理由で開催できない可能性だって決してゼロではなかった。けれども開催できたから良かった。

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トリプルファイヤーのバイトリーダー

トリプルファイヤーのバイトリーダー

先月末、めでたくトリプルファイヤーの『EXTRA』が世界に放たれた。たくさん聴かれているようで嬉しい。ずっと4千人ぐらいだったSpotifyのリスナーも2万人を超えた。願わくばゼロがもうひとつくらい増えてほしい。

このところ取材やラジオ出演などで忙しい日々を送っている。ありがたい。こうした機会がなければなかなか会わないような人と再会してお話したり、新たな出会いがあったりして、刺激的で楽しい。他方

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トリプルファイヤー『EXTRA』が野に放たれた

トリプルファイヤー『EXTRA』が野に放たれた

本日7月31日、ようやくトリプルファイヤーの7年ぶりとなるアルバム『EXTRA』が野に放たれた。一時は完成しないのではないかという説が浮上していたし、ようやく完成したらと思ったら、今度はなかなかリリースされないので「こいつはどうも様子がおかしいぜ?」といった声が挙がったりしたものの、おかげさまでなんとかこの日を迎えることができた。この間、心をざわざわさせたり、もやもやさせたりしてしまったことを心か

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なんだかんだ叫んだってやりたいことやるべきなのかもしれない日記

なんだかんだ叫んだってやりたいことやるべきなのかもしれない日記

先週7月17日から配信が始まったトリプルファイヤーの新曲「相席屋に行きたい」が思いのほか好評で良かった。バンド内においては、アルバムから一曲を先行配信するのなら、定石に則り、ポップでキャッチーでわかりやすい曲を選ぼうということで意見が一致しており、他の曲が候補に挙がっていたのだが、知人友人関係者に意見を請うたところ、「相席屋に行きたい」が良いのではないかという声が多く、それに従った次第だ。それで正

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トリプルファイヤーの新譜を野に放て

トリプルファイヤーの新譜を野に放て

トリプルファイヤーの新作『EXTRA』が7月31日にリリースされる。ようやくここまでたどり着いた。前作『FIRE』からすでに7年近く経過している。バンド活動に従事していながらも、30代に突入してからの7年を何もリリースしないまま過ごしたのだと考えると、お腹にずしんと来るものがある。気がつけばもうアラフォーだ。

決してお休みをいただいていたわけではない。ご存知の通りライブは頻繁に行っていた。曲作り

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バンドの人格

バンドの人格

トリプルファイヤーの新作リリースを控えているため、トリプルファイヤーがバンドとして人々にどういう印象を与えているか、人々からどう見られているか、自分たちとしては人々からどう見られたいと考えているのか、といったことをどうしても意識せざるを得ない。

しかし、意識したところで100%ハンドリングできるものではない。バンド側は、見せるという意味では主体であると同時に、人から見られる客体でもある。この「見

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ギターをたくさん弾いた日

ギターをたくさん弾いた日

前回、前々回とトリプルファイヤーに関する真面目な記事を続けて書いた。なぜああいう記事を書いたのかと尋ねられたら、書きたかったから書いたのだと答えるしかない。真面目かと突っ込まれたら、誠に残念ながら真面目ですと真面目に答えるつもりだ。

根がセレブリティの人物は、どれだけ人々から視線を注がれようと溢れることのない巨大な器を携えており、その主体性はぐらつくことがないように見える。自分が客体であることに

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トリプルファイヤーにまつわるイメージについて

トリプルファイヤーにまつわるイメージについて

トリプルファイヤーと聞いて多くの人がイメージするのは、日本語の響き、リズム、イントネーションとポストパンクっぽいサウンドの組み合わせのようだ。

私がトリプルファイヤーに誘われたのが2010年のことだ。それから5年ほどはポストパンク的な音楽に取り組んでいたと言って差し支えないだろう。当時の私がドイツのパレ・シャンブルグ、ベルギーのハネムーン・キラーズ、日本のアーント・サリーといったバンドに感化され

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トリプルファイヤーの音楽について

トリプルファイヤーの音楽について

音楽関係のイベントで出会った初対面の人に自分がトリプルファイヤーというバンドの一員だと明かすと「あ、タモリ倶楽部の」という反応をいただくことがたまにある。あ、タモリ倶楽部の。何も間違っちゃいない。この上なくアキュレイトなディスクリプションである。

たしかにトリプルファイヤーはタモリ倶楽部でお馴染みのバンドだ。しかし、タモリ倶楽部がトリプルファイヤーの本質かと問われたら、それは違いますと答えたくな

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残高照会怖すぎて無理、とルイス・コールは言った

残高照会怖すぎて無理、とルイス・コールは言った

久しぶりに殺人の夢を見た。とはいえ、この手の夢で決定的瞬間を演じたことは一度もない。どうも誰かを手に掛けてしまったらしいと事後的に事態を飲み込むパターンばかりだ。相手も誰なのかはっきりしない。今回の夢は、殺人がまだ露見しておらず、周囲の人に悟られぬように平静を装うという内容だった。

こうした夢から目覚めるたびに深い安堵を覚える。「取り返しのつかないことをしてしまった」という後悔と「一体どんな罰が

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ヒザ打つな!

ヒザ打つな!

少し前に千葉雅也『センスの哲学』を読んだ。千葉雅也の制作論が好きなので楽しみにしていた一冊だ。当方は常々ハイセンスな奴でありたいと願って生きてきた。だから当然センスについての理解も深めたいと思っている。他方で、センスが良いってそれほど大層なものではなくて単に空気を読むのに長けているだけじゃねぇの、と乱暴に結論付けたくなる誘惑にもかられていた。そもそもセンスって何。

読み進めるとリズムについての言

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新しいアルバムのお披露目会

新しいアルバムのお披露目会

5/23水曜日。代官山の晴れたら空に豆まいてにてトリプルファイヤー新譜完成試聴会を開催した。お集まりいただいた方にはお礼申し上げます。どうもありがとうございました。

アルバムが完成したら試聴会を開こうという話は早い段階で出ていたと記憶している。2022年の年末、新宿のシネマートに『ケイコ 目を澄ませて』を観に行ったら、たまたま監督の舞台挨拶とティーチインのある回だった。退出するのも忍びないので、

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